堺の母娘殺害容疑のブラジル人夫が母国に逃亡、身柄の引き渡しは?…「可能性は非常に低い」と元刑事が推測

小川 泰平 小川 泰平

大阪府堺市の集合住宅の一室で住人の荒牧愛美さん(29)と長女のリリィちゃん(3)が刺されて死亡した事件で、殺人容疑で指名手配されたブラジル国籍の夫バルボサ・アンデルソン・ロブソン容疑者(33)がブラジルに出国したことを受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏が当サイトの取材に対し、海外逃亡した容疑者に対する国際的な捜査について今後の行方を解説した。小川氏は国際捜査課での勤務経験もあり、国際手配などの「国際共助」を担当していたこともある。

大阪府警によると、母子の死亡推定時刻は8月22日夜ごろ。司法解剖の結果、リリィちゃんの刺し傷が十数カ所あり、愛美さんにも多数の刺し傷を確認し、2人の死因は大動脈などの離断や心臓刺創などで即死だった。2人の遺体近くで血の付いた包丁が発見されたことも分かった。府警は殺人事件と断定。同居しているバルボサ容疑者が同日朝、勤務先に「骨折したので、2週間休む」と連絡し、その後の連絡が取れていなかったが、既にブラジルに出国し、肉親の家に潜伏しているとみられている。

殺人容疑で指名手配されたバルボサ容疑者の弁護士は現地9月2日、日本のメディアに対して、本人が容疑を否認しているとした上で、説明のためブラジルの連邦警察に「10日以内に出頭する」との見通しを示した。

日本が逃亡犯罪者の引き渡しを義務づける「逃亡犯罪人引渡条約」の相手国は米国と韓国の2カ国のみ。ブラジルに「協力要請」し、逮捕後に引き渡しされる流れがある一方、死刑制度のある日本に対して、引き渡しを拒絶される可能性も考えられるという。

小川氏は「まず国際手配をするでしょう。それをしないことには、バルボサ容疑者がブラジルの警察に出頭しても、警察は何の情報も持っていない。容疑者の一方的な話を聞いても意味がないわけです。最終的にはブラジルでの『代理処罰』を視野に入れて、ブラジルでの公判に耐えられるだけの捜査資料を日本の警察側が送ることが必要になるとと思います」と解説した。

では、同容疑者の身柄は日本に引き渡されるのだろうか。小川氏は「ブラジルという国は過去に自国民を他国に引き渡した例がなく、バルボサ容疑者の身柄が日本に引き渡される可能性は非常に低い」と推測した。

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