「湯船にカレーを浮かべて食べていた」 バブリー芸人・平野ノラさん「汚部屋」から脱出できたワケ

松田 義人 松田 義人

 

その顔を見ただけで『ダンシング・ヒーロー』のメロディが頭に浮かんでしまうほど、バブリー芸が定着した女性芸人・平野ノラさん。何度見ても笑ってしまいますが、人気を獲得するまでの生活は、あのバブリーな印象とは真逆に、挫折の連続でした。

10代の頃から舞台女優、ダンサーなどを目指していましたが、いずれも実らず、今度はお笑い芸人を目指しますが、オーディションの場では「向いてないよ」「本当にお笑いやりたいの?」とボロカスに言われ、だんだん引きこもるようになります。

なんの生きがいもなくなった彼女は、好きだった絵を描き続けるしかなくなりましたが、のちに当時の絵を見た専門家からは「これはかなり危険。精神状態が良くない人が使う色使いです」と言われるほど……。

その後、彼女の部屋はモノが散乱するようになり、ご飯を食べるスペースさえなくなります。いわゆる「汚部屋」で、「ここで食事をするのは気が失せる」と、風呂場でご飯を取るようになったそうです。

 

トイレが目に入らないようシャワーカーテンを閉め、カレーを湯船に浮かべて食事する生活

ユニットバスだったため、トイレが目に入らないようシャワーカーテンを閉めて、レトルトカレーを湯船に浮かべて食べていたそうですが、憂鬱で満足することができない日々の中、今度はその憂鬱を「新しいモノ」で埋めようとし、部屋はさらにモノで溢れ返り、結果足の踏み場もなくなるほどになってしまいました。

そんな彼女でしたが、31歳を過ぎた頃、過去の経験、それまでの場所、生き方を全て手離し一度リセットして、一度は諦めたお笑い芸人を目指して再出発を図ります。

これに伴って始めたのが「片づけ」でした。「ガラクタのせいで自分の人生が停滞しているのかもしれない」と、「必要のないモノ」を捨て、「必要なモノ」を選ぶことを繰り返すことで、同時に「自分は本当は何がしたいのか」を見つめ直すことができたと言います。

以降、「片づけ」は彼女にとって良い効果ばかりを生み出します。それまでは「あっちがダメならこっちのネタで」と、保険をかけながら芸人を目指していた彼女ですが、バブリー芸に絞って挑んだところ、一気に大ブレイク。さらには夢の実現を応援してくれていた彼氏との結婚も実現し、遅咲きではあったものの少しずつ幸せを掴んでいきました。

 

買うのは3秒、捨てるのは30年かかる

こういった平野ノラさんの知られざるエピソードと、片づけにおけるコツをふんだんに紹介した本が『部屋を片づけたら人生のミラーボールが輝きだした。1日15分のノラ式実践法』です。

 

本書中盤からは、片づけにまつわる「ノラ語録」、1日15分で実践できる「ノラ式バブリー片づけ」などが続きますが、特に納得の「ノラ語楽」をいくつかここでご紹介します。

部屋が汚い女子はパワースポットに行きがちだゾ
買うのは3秒、捨てるのは30年
収納ケースを買えば片づくという勘違い
ため込んだものは、モノではなく不安な気持ち
捨てることは悪いことじゃない。使ってあげないことのほうが失礼
モノを減らすと「今」が見えてくる
千円のシャツを10枚買う女ではなく、1万円のシャツを1枚買う女になる

この他にも数多くの「ノラ語録」が収録されており、それぞれの語録には解説もあり読み応えも十分です。

ここまで片づけのスピリットを平野ノラさんから学んだ後、いよいよ具体的に「ノラ式バブリー片づけ」に入っていくわけですが、世にあまたある「断捨離本」のなかでも、実によく考えられた構成で、平野ノラさんという「先生」を通して、楽しく片づけできる画期的な本だと思いました。

 

読めば、人生をノリノリの上向きにできる一冊

発売即重版、好調な売れ行きとなっている本書。どのような思いで編まれたものか、発行元・KADOKAWAの担当編集者に聞きました。

「平野ノラさんがブログやYouTubeで『片づけ』について発信されているのを発見し、興味を持ちました。『片づけをしたい』『片づけすればいいとは思っているけどできない』と思っている方は多いと思います。そうしたとき、楽しくて背中を押してくれる、お片づけがやりたくなる本があればいいなと以前から思っており、平野ノラさんだったら片づけ下手な人を励まし+どうしたらよいかやり方も教えてくださるのではないかと感じて企画を立案しました。

たくさんある『片づけメソッド本』と比べ、この本だからこそ片づけたくなる! とするためにはどうしたらいいか工夫することをがんばりました。

最初に平野ノラさんから『汚部屋時代は部屋が汚くてごはんを食べられず、湯船のふたにカレーをのせてお風呂で食べていた』と伺い、エピソードのインパクトに、これは本物だ! と思いました。そこからの脱出の話は必見です。私もできるかもと思えます。

ほかにも書籍内に平野ノラさん直筆のPOPで楽しいイラストをたくさん入れて(『実録!ノラは見た!!おったまげ家の実態』イラストはノラさんがいろいろな汚部屋につっこみを入れられていて面白いです!)、とにかく細かく面白さを詰め込む工夫をして、1冊読み終えるころには、片づけのマインドが刷り込まれます。

もし『片づけたいけど腰が重くて実行できない』『片づけたらいいのはわかっているけど一歩が踏み出せない』という方がいらっしゃったら、ぜひ本書をパラパラお読みください!

役立つ片づけメソッドも、片づけなきゃという気分になれるやる気コントロールもこの1冊に詰め込まれています。

ノラさんの劇的ストーリーの説得力と、片づけやる気がみなぎってくる『ノラ語録』、1日15分で実践できる『ノラ式バブリー片づけ』、この3構成で、とにかく片づけしたくなります!! 明るく楽しく片づけて、ノラさんと一緒に人生をノリノリの上向きにいってください」(KADOKAWA・担当編集者)

誰でもスンナリ楽しく読める1冊です。ぜひチェックしてみてください!

『部屋を片づけたら人生のミラーボールが輝きだした。1日15分のノラ式実践法』平野ノラ・著(KADOKAWA)
https://www.kadokawa.co.jp/product/322110000154/

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