「去年の夏、東京に行った際に皇居東御苑を訪れて買いました。まさか、こんなに人気が出て、買えなくなるなんて」
話題になった「皇居財布」を愛用中の女子大生コロさん。あまりの人気に2025年の年末より販売中止が続いています。もともと人気だった年配層だけでなく若い世代にも人気になった理由は?
コロさんが購入に至った経緯を取材。そして、皇居東御苑内の売店を運営し、財布などを販売する公益財団法人 菊葉文化協会に販売中止に至った理由、今後の再開などについて話を聞きました。
昭和時代から販売されていたもの…急に人気が!?
平成5年4月の設立当初より、皇居東御苑内の売店を引き継ぎ運営している菊葉文化協会(※1)によると、財布類は皇居(京都御所)を見学した人への記念の品のひとつ。
少なくとも昭和時代の後半から販売されており、収益を目的としていないため、抑えめの価格(千円~五千円程度)で提供。製作している組織・場所、製法や製造数などついてもすべて非公開となっています。
昭和・平成時代は、ある意味知る人ぞ知る存在。皇居を訪れる人々にとって、お土産・記念品のひとつでした。
なかなか若い世代が目にする機会が少ないなか、女子大生のコロさんが存在を知ったのは、2024年末頃。SNSのタイムラインで、皇居財布を買ったという人の投稿を見て「牛革製で質も良さそうだし、いいな」と思ったそう。
その後、財布を買い替える際、購入候補のひとつに。海外ブランドの財布を含め、金額・デザインなど含めて検討した結果、「皇居財布しかない!」という思いに至ったと言います。
女子大生が、選んだ理由とは?
「周囲の友達と同じブランドのものは持ちたくなかったんです。私のまわりで持っている人はいないのに、ほとんどの人が知っている場所で販売している点にも惹かれました。
日本を象徴する場所で売っているって縁起が良さそうでしょう!ブランド名がデカデカとあるわけでもなく、菊の花がさりげなくて、押しつけ感がないのも上品でいいと思いました」
何よりも手に入れやすい価格も魅力的に感じたそうです。
「ちょっといいなぁと思ったら、1万円以上する財布が多かったので、この価格はありがたいと思いました」
実際に、購入したのは2025年の夏。売店(大手休憩所)では完売していたものの奥の売店(本丸休憩所)では財布を求めている人はちょうどだれもおらず、4500円の二つ折りを購入できました。
「色もきれいだし、使い勝手もいいし、値段も安いし。皇居でしか買えないという希少性もある(※編集部注:現在は販売中止だが京都御所・昭和天皇記念館ミュージアムでも販売)。欲しくなる理由もわかります。大切に使いたいです」
キャッシュレスで財布の出番が以前に比べて減少している昨今。数万円の高級財布を持つのが当たり前みたいな風潮も変化し、今は手頃な100均財布も人気になるほど多様に。
そんな今だからこそ、「ブランド」名は関係なく、収益を目的としない価格のコストパフォーマンスの良さに注目が集まったといえるのではないでしょうか。また、コロさんが話す通り、「菊紋」があることや、「皇居」で買うという体験も人気の一因になったと思われます。
深夜0時から並ぶ人も出現…やむなく中止
実際に、SNSなどを通じて注目を集めるようになったと菊葉文化協会が認識したのは2025年2月頃。
「縁起が良いとされる日に合わせて財布を新調したい、とお求めになる方が増えました。皇居というパワースポットで販売しているから、というお声もありました」(担当者)
それでも、人気が上がり始めた当初は開運日とその前後に売り切れになる程度でした。
しかし、2025年11月にテレビ番組で紹介されるや、飛ぶように売れ、求める人の列も日に日に増加。1000人以上の行列が続き、深夜0時から並び始める人も現れました。
「この寒空の下で体調を崩す人が出てきてはとんでもないことです。年末に販売中止の決断に至りました」と担当者。販売中止を決めると、苦情が殺到したそうです。
販売中止やブームの過熱によって、転売サイトでは10倍近くの高値で販売される品も一時は出現。同協会ではそれも確認していますが、販売中止を強制する法的根拠がなく、転売をやめて欲しいと呼びかけるしか策はない、とのこと。現在も販売は中止されており、再開のめどは立っていません。
「店舗への行列対策、販売店のスタッフ確保、転売対策などさまざまな対策を練っているところです。万事整ってからの販売再開を目指しておりますので、お待ちください」
再度販売されるようになるので、高額転売やSNSでの「余っているので売ります」といった詐欺には手を出さないように。人気、入手困難と聞くだけで…「なんとしても欲しい」と物欲が増してしまうかもしれませんが、本当に今、必要なものか検討を。
財布は開運日に購入・使用したり、春財布(張る財布)を意識したり、入れるお札の向きさえも気にしてしまうほどのもの(ちなみに2026年3月5日は、一粒万倍日・大安・寅の日、そして2026年初の天赦日とあって、最強の開運日のひとつとされています)。転売品を購入することで、「金運」が逃げてしまいませんように。
(※1)財団法人として平成5年4月に設立。平成24年4月1日に公益財団法人に移行
■公益財団法人 菊葉文化協会公式サイト https://www.kikuyou.or.jp/index.html