白と緑!懐かし「200系カラー」の東北・上越新幹線が復活 開業40周年でE2系が大変身…乗車して振り返る“新幹線の進化”

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今年は、新橋(汐留)~横浜(現:桜木町)に鉄道が開業して150周年を迎えるだけでなく、東北・上越新幹線が開業してから40周年に当たる。そこでJR東日本は、2023年春に引退が予定されているE2系電車の中で1編成を、東北・上越新幹線が開業時に使用されていた200系電車の車体色に復刻して運行を開始した。アイボリーホワイトに、窓回りがモスグリーンの往年のカラーリングに加え、車内放送では東北・上越新幹線が開業時に使用されていた「ふるさとチャイム」を復活させていて、乗客からは好評である。

東北・上越新幹線が開業した当時の200系電車

200系電車は、1982(昭和57)年、東北・上越新幹線の開業に際して登場した新幹線用の電車だ。東北・上越新幹線は、東海道・山陽新幹線と比較すれば、寒冷地を走るため、冬季の寒さや雪へ対策が大幅に強化された。東北・上越新幹線では、豪雪地帯には線路の雪を溶かすスプリンクラーが設けられ、スプリンクラーがない所でも、200系電車の先頭部には、スノープロウ(雪かき)を設けて、少々の積雪であれば跳ね飛ばす仕組みが導入された点が、東海道・山陽新幹線で使用されていた0系電車との大きな違いである。

また東海道・山陽新幹線では、アイボリーホワイトにブライトブルーと呼ばれる青色を使用していたが、東北・上越新幹線の200系ではアイボリーホワイトは継承されたが、窓の部分はモスグリーンとなり、イメージを一新している。

東北・上越新幹線は、東海道・山陽新幹線と比べて駅間距離が短い以外に、急勾配やトンネルが多い上に、冬季は除雪をしながら走行することに配慮し、0系電車と同様に全車が電動車であるが、モーターの出力が約3割パワーアップされた。

寒冷地対策を行う必要性から、装備品が増えて重くなるため、200系電車ではアルミ製の車体を採用して重量の増加を抑えた。さらにボディーマウントと呼ばれる車体構造を採用し、車体の床下の機器類を覆う構造とすることで、床下の機器類に雪が付着しづらい構造とした電車であった。

東北・上越新幹線が開業した当時は、最高速度が210km/hであったが、1985(昭和60)年3月14日の上野開業時には、東北新幹線の大宮~盛岡間の最高速度が、240km/hに引き上げられた。その後、上越新幹線の下りに関しては、大清水トンネル内で最高速度を275km/h運転を実施するようになった。

だが200系電車では、これ以上のスピードアップが難しいことから、後継車となるE2系電車が開発され、そちらと置き換えられる形で廃車となった。

E2系電車の概要

E2系電車は、JR東日本の新幹線の標準型車両として、開業を控えていた北陸新幹線の高崎~長野間の「あさま」用や、200系電車の置き換えも念頭において、開発された車両である。

1995(平成7)年に先行試作車が完成し、1997(平成9)年3月22日に、秋田新幹線が開業したことで、東京~盛岡間を「こまち」と併結する速達型の「やまびこ」で営業運転を開始した。

E2系電車は、スピードアップと急勾配区間へ対応するため、1時間当たりの定格出力が300kWのモーターを、電動車1両当たりに4基搭載し、歯車比を3.04と新幹線としては高めにすることで、加速性能の向上による高速化と北陸新幹線に介在する急勾配への対応を図っている。また急勾配区間へ対応するため、抑速ブレーキを搭載している。

東北新幹線で使用するE2系電車は、最高速度が275km/hであるが、急勾配が介在する北陸新幹線用のE2系電車の最高速度は260km/h、上越新幹線で使用するE2系電車は、最高速度が240km/hとなっている。

台車は、軽量化とメンテナンスが簡単なボルスタレス式であり、ブレーキシステムは応答性に優れている以外に、ブレーキを掛けた際に発生した電気を、架線に戻して再利用が可能となる、回生ブレーキ併用の電気指令式の空気ブレーキが採用された。故に200系電車と比較した場合、当時の最新の技術が盛り込まれた車両である。

北陸新幹線で使用するE2系電車は、勾配抑速ブレーキだけでなく、軽井沢~佐久平間で周波数が切り替わるため、60Hzにも対応するための機器類を搭載している。

E2系復刻色の感想と「ふるさとチャイム」

E2系電車の塗装は、車体の下半分を紫苑ブルー、上半分を飛雲ホワイトとし、境目にN編成は真紅な赤色であり、J編成はピンク色を配している。車体側面には、エンブレムが配されており、N編成は「そよ風」を、J編成は「りんご」をモチーフとしている。

200系電車の復刻色を採用したE2系電車であるが、開業時の「ふるさとチャイム」も復活させているが、車内はE2系電車のままである。

200系電車のグリーン車は、新幹線の広い車体幅を活かして、2-2の横4列の座席配置で、シートピッチは1160mmと、E2系電車のグリーン車と比較すれば、スペックは同じである。

だがE2系電車のグリーン車は、リクライニングのシステムが、無段階のガスオイルロック式である上、可動式のヘッドレストを備え、かつフットレストも折り畳んで使える構造になるなど、この40年間で進歩が見られる。またテーブルも、ひじ掛け内蔵式であるだけでなく、国際線のビジネスクラスのように、拡げて使用することが出来るため、便利である。

一方の普通車は、グリーン車以上に大幅に座席が進歩している。2-3の横5列の座席配置で、シートピッチも980mmである点は、200系電車と同じであるが、E2系電車では3人掛けの座席も、回転が可能となった。

200系電車の普通車の初期の座席は、2人掛けの座席は回転が可能であったが、3人掛けの座席は一方に向きが固定されていた。場合によれば、進行方向とは逆向きに座らなければならないだけでなく、座席を向かい合わせ出来ず、修学旅行生には非常に不評であった。

それがE2系電車からは、3人掛けの座席も回転が可能となり、大幅にサービスが改善された。また200系電車の初期の座席は、背もたれを固定するストッパーこそ備わっていたが、簡易リクライニングシートであった。それゆえ傾いたか傾いていないか、分からない座席であったが、E2系電車からはリクライニングの傾斜角度も深くなった。

現在は、東北新幹線ではE5系電車が主力であり、普通車の座席はさらに進化して、シートピッチも1040mmに拡大されただけでなく、各座席にコンセントと可動式のヘッドレストが備わるようになった。

E2系電車の復刻色であるが、E2系電車が廃車になるまで継続されると聞いている。昨今では、国鉄時代の塗色に戻すなど、復刻色が一種のブームになっているが、これは国鉄色に対する郷愁というよりも、国鉄時代の塗色が、派手過ぎることもなければ地味過ぎることもなく、汚れが目立ちにくいなど、総合的な面で優れていたため、利用者に受け入れられていると、見なければならないと言える。

今回は、車体色だけでなく、開業時の「ふるさとチャイム」も復活している。「ふるさとチャイム」は、東北・上越新幹線の沿線は、民謡の宝庫であるから、それをアレンジして流すことで、少しでも旅情を感じて欲しくて採用された。

しかし停車駅のパターンが増えると、その分だけ様々な「ふるさとチャイム」を用意しなければならず、煩雑になった。そこで1990(平成2)年のダイヤ改正からは、東北新幹線、上越新幹線で画一的なオリジナルなチャイムに変更されている。

E2系電車の復刻色と「ふるさとチャイム」は、乗客から好評な感じであるから、今後は他社や他の列車などに普及するか、注目したい。

◆堀内重人(ほりうち・しげと) 1967年大阪に生まれる。運輸評論家として、テレビ・ラジオへ出演したり、講演活動をする傍ら、著書や論文の執筆、学会報告、有識者委員なども務める。主な著書に『コミュニティーバス・デマンド交通』(鹿島出版会)、『寝台列車再生論』(戎光祥出版)、『地域で守ろう!鉄道・バス』(学芸出版)など。

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