「こちらが高知の酒クズによるアフタヌーンティーです」と投稿された、美しく料理が並べられたアフタヌーンティーの写真に4.8万いいねがつき、お酒好きに話題に。投稿した高知の産直オンライン市場「高知かわうそ市場」(@kawausoichiba)さんにお話を聞きました。
一見すると女性好みのスイーツかと思いきや、よく見てみると、カツオの塩たたきに、須崎勘八や真鯛のお刺身、酒盗、みょうがの甘酢漬けといった酒のアテがずらり。優雅なアフタヌーンティーどころか、飲んべえを吸い寄せる品々です。
「アフタヌーンティーという名のお洒落な皿鉢料理」「今迄見てきたアフタヌーンティーはなんやったんやろ。」「何この夢のようなアフタヌーンティーはどこのお店ですか?」「さすがお酒好きの聖地、高知ですね☆全てが美味しそう☆」「オシャレに盛られた皿鉢料理で大笑い」など、大絶賛の声が多数あがっています。
さらには「自分も正月に酒飲みのアフタヌーンティーしました」「似たようなこと自分がしていたんですが、完成度高くてビビりました」といった声とともに、皿にたっぷり乗せたアテとお酒を楽しむ様子が投稿され、スレッドは大盛り上がりの様相に。
普段は、高知のご当地キャラ「しんじょう君」のグッズ販売のほか、地元の生産者自慢の海・川の幸、肉、野菜などの逸品を販売している「高知かわうそ市場」のSNS担当者に話を聞きました。
「高知の食べ物や食べ方を紹介できれば」
――この楽しいセットを作られたきっかけは?
「Twitterでは日頃から高知の食べ物の紹介や食べ方の紹介などをしているのですが、高知ってお酒が強いイメージと美味しい食べものが多いイメージがあるんじゃないかと思っていて、そういう部分を面白く発信したいなと考えていました。そんな中でスタッフがアフタヌーンティーの写真を見て閃きました」
――どのアテも高知県の名物ですか?
「はい。どれも高知の名物・名産品です。会社のある須崎は漁師町なのですが、魚に偏りすぎないように意識しました。高知といえば鰹のタタキが有名ですが、他の海産物ももちろん、野の食材もとても美味しいのでそのあたりもご紹介できればと思いまして」
――おすすめは何でしょう?
「特に地元須崎のブランドカンパチ“須崎勘八(すさきかんぱち)”は本当に美味しいです。めちゃくちゃ手間をかけて育てているので、脂の乗りも食感も見た目も最高だと思っています。わさび醤油でも良いですが、天日塩もオツですね。
イタドリの炒め煮も地元ならではですね。居酒屋のつきだしとか、定食屋の小鉢とか、スーパーのお惣菜コーナーでも見かけるくらい定番です」
ーーイタドリを普段から食べるんですか?
「イタドリは全国どこにでも生えている野草ですが、恐らく食材として食べているのは県民くらいではないでしょうか。アク抜きに手間がかかりますが、丁寧に処理すると、爽やかな風味ととても心地よい歯応えを味わえて美味しいんですよ。春先の新芽を使いますが争奪戦になるほど人気なので、県外へ採りに行く人もいると聞いたことがあります」
「ちくきゅうは、キュウリを切らずに詰めます」
――県民の皆さんの普段のアテも教えてください。
「やっぱり高知って食材がなんでも美味しいので、千差万別なのではないかと。でも定番といえばお刺身ですね。スーパーの刺身でさえすごく活きがよくて。特にカツオは味も鮮度も抜群です。都会だったら、高級な居酒屋で提供されてもおかしくないほどのレベルです。“ちくきゅう”は子供も好きですよ。上級者になると塩がつまみです(笑)」
――ちくきゅうのキュウリが大きく見えるのですが、ほかの地域と違うんですか?
「全国的にメジャーなつまみですが、きゅうりを切らずにちくわに詰める”ちくきゅう”は高知だけだと思うんですよね。この方法を皆さんにやっていただきたいのですが、一般的なちくわは小さくて裂けてしまいます。
高知ではきゅうりを丸ごと詰められるちくわが売られているので、来られた際には、スーパーで購入いただき、高知流のちくきゅうを作ってみてください。作るときのワンポイントは、レンジでチンするとちくわが柔らかくなって、きゅうりを入れやすくなります。
こちらのちくきゅうに慣れてしまうと、きゅうりをカットしたものだとバランスが悪い気がして物足りないんですよね。」
――「皿鉢料理に絶対ついてくる誰も食べない羊羹」については? 「たしかにこの羊羹は誰っちゃあ食べん」「三色羊羹は真っ先に一人占めする」と好きな人と嫌いな人に分かれるようでしたが。
「なんなんでしょうね、アレ(笑)。いつも残される羊羹を見つつ私は手をつけないんですよね。正体は確か、昔駄菓子屋で売っているようなニッキ水を固めたものだったと思います。
かなり甘くて、ニッキの香りと時々辛みを感じる独特の味なんですが、好きな人はいて、お酒を嗜まれない人はわりと楽しみにしてる人もいるようです。玄人になると、この羊羹が立派なアテになりますが、私はまだまだその域には達していません」
――高知県ならではのお酒にまつわる習慣があれば教えてください
「『〜さんって普段どれくらい飲むんですか?』の問いに「升々(しょうしょう)」と返す冗談があるくらい、大酒飲みのイメージはありますよね。
――やはりすごい飲まれるんですね。
「宴会の席ではスタート時は他県と変わらないのですが、お酒がまわり出すとしだいに席を立つ人が多くなり、徳利とお猪口を持ってそれぞれ喋りたい人のところで飲みだします。
そこで繰り出されるのが「献杯と返杯」という儀式で、一つのお猪口を共有してエンドレスに飲ませ合うという究極の飲みニケーションです。高知県民ってわりとシャイな人が多いのですが、お酒が入ることで饒舌になり、そこから交流が深まっていくんです。
この「献杯と返杯」ですが、新型コロナウイルスの感染を予防するために、県庁から献杯・返杯禁止の通達が県内各所に入ったというエピソードもあります」
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今回の反響については「とても嬉しいです!」と喜んでいた高知かわうそ市場さん。ただ素敵なアフタヌーンティーの撮影の裏には、ケーキ台が見つからず香川まで買いに走ったり、テーブルセッティングや盛り付けに四苦八苦したりと、苦労もあったとのことです。
「あわよくば、この反響を受けて、高知のどこかのホテルがルームサービスでこの酒クズアフタヌーンティーを商品化しないかな」とのことですが、各家庭でもお気に入りのつまみを皿盛りするだけでも楽しそうですよね。一部のメニューは「高知かわうそ市場」から通販で買えるので、全国の飲んべえはお試しあれ。
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