「青春をカルトに奪われる」青山学院大が統一教会を名指しで注意喚起 キャラバン隊に動員され全国で花売りに利用された過去も

伊藤 大介 伊藤 大介

青山学院大学(東京)が統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の名前を挙げて、「サークルのふりをした危険な宗教団体に注意しよう!!」とホームページで注意を呼び掛けています。旧統一教会をはじめとした危険な宗教団体がサークル活動を装って学生を勧誘しているとし、「マインド・コントロールの手法は、少しずつあなたを洗脳していく」「彼らはあなたの貴重な時間を奪い、経済的・肉体的・精神的に大きな負担をかけ、大切な学生時代を台無しにしてしまいます」と注意喚起しています。青山学院大学の塩谷直也宗教部長に聞きました。

1980年代から注意喚起 学生を実働部隊に

ーー統一教会を名指しで警戒するよう呼び掛ける理由を教えてください。

「統一教会が学生たちを勧誘し、多くの被害をもたらし続けてきたたからです。1988年には注意喚起のチラシを学生配布物に挟み込んでいました。それ以前から被害は確認されていたと思われます。(ホームページでの注意喚起は)ホームページを開設した1999年当初からと思われます」

ーー青山学院大学の学生に金銭的な被害があったのでしょうか。

「具体的な事例は申し上げられませんが、金銭的な被害はむしろ社会人、中高年です。若者が受ける深刻な被害は、かけがえのない青春時代をごっそりカルト活動(実働部隊、労働搾取)に奪われることです。かつてはキャラバン隊に組み込まれ全国で花を売ったり、募金活動、統一教会系列の店で営業をさせられたりなど、主にその労働力の供給源として利用されました。当時の状況は、浅見定雄『統一教会=原理運動:その見極めかたと対策』をご覧ください。現在は多様化し、現状を把握できておりません。お金は失ってもまた取り戻せるかもしれません。しかし奪われた時間は決して返ってこないのです。結果的に学業はおろそかになり、また熱心であるほどに勧誘を行い、新たな被害者を生み出します。命令を無批判に受け入れるロボットとなり、『考える力』は奪われます」

ーー統一教会(現・世界平和統一家庭連合)が結成するサークルは青山学院公認なのでしょうか。

「そのようなサークルは決して公認されません。学内では大学宗教主任会(チャプレン会)が認めるキリスト教活動しか行えません」

ーー現在も統一教会(現・世界平和統一家庭連合)は青山学院大学で勧誘活動を行っていますか。

「これは本学のみならず、多くの大学で『形を変え名前を変え』行っているはずです。それを想定して、私たちはカルトの啓発活動、および被害に遭った場合は速やかに知らせるよう常に情報を発信しています。またそのような勧誘活動を確認した場合は、その場に担当者が直行し学外に退去するよう警告します」

ーー入信し、マインドコントロールされた学生に対し、御学が洗脳から抜け出すために助力している点があったら教えてください。

「原則、奪われてしまった『考える力』をとりもどしてもらい、自らの誤りに気付く形でしか、真の脱会は成立しません。私どもは教育機関として、そもそもそのようなカルトに近づかないための予防教育を、全学必修の『キリスト教概論Ⅰ、Ⅱ』で展開し、宗教センターからの情報発信につとめています」

◇  ◇

青山学院大学は30年以上前から統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の勧誘に目を光らせ、注意を呼び掛けてきました。各大学で宗教団体を名乗らず、サークル活動を装って学生を勧誘している団体があるといいます。ボランティア活動や環境問題に関心が高い学生ほどターゲットにされやすいので、「怪しいな」と思ったらくれぐれもご注意を。

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