20~30代男性に多い「群発頭痛」とは 医師が解説「もだえ苦しむ」「偏頭痛より痛い」

ドクター備忘録

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 日常的に偏頭痛を発症するという方は非常に多く、その発症率は人口全体の約8%といわれています。その発症率の高さから、偏頭痛の存在を知っている方は多いのですが、さらに激しい痛みをともなう“群発頭痛”の存在は、意外と知られていません。特に若い男性に多くみられる“群発頭痛”について、吉田病院付属脳血管研究所(神戸市兵庫区)の吉田泰久院長に詳しく聞きました。

――群発頭痛とはいったい何なのですか?

群発頭痛とは非常に激しい頭痛のことを指します。激しい頭痛と聞くと、偏頭痛を思い浮かべる方が多いかと思うのですが、それよりもさらに激しい痛みが短時間で訪れることを群発頭痛と呼びます。発症した患者さんは思わずもだえ苦しんでしまうほど、群発頭痛は非常に激しい痛みをともなうんです。

――この症状は高齢者の方に多いのでしょうか?

いいえ、実は若い男性に多いのです。

――発症率はどうなのでしょうか?

偏頭痛で人口全体の約8%といわれているのですが、対する群発頭痛は約0.1%の発症率といわれています。

――この病気は、ある日突然発症するものなのでしょうか?

発症しやすい時期というものがあるんです。“群発”という名の通り、発症すると耐えがたい痛みが数日間連続して起こります。季節の変わり目や、気候によるものというよりは、ストレスがかかった際に発症しやすいのかもしれません。

――群発頭痛と偏頭痛、どちらなのか見極めるのが難しいですね。

片側の目の奥にえぐられるような痛みを感じたり、あるいは鼻水、目の充血などの症状が同時にみられる場合には群発頭痛である可能性が非常に高いですね。

――1度発症すると痛みは長引くのでしょうか?

いいえ、群発頭痛の痛みは非常に短いのです。偏頭痛の場合、なかには2〜3日にもわたり痛みが続くという方がいる一方で、群発頭痛の場合はおよそ15分〜3時間ほどといわれています。痛みが長時間続くのではなく、短い痛みが何度も繰り返されるのが群発頭痛なのです。

――どのようにして群発頭痛であると診断されるのでしょうか?

症状をみての診断になりますね。片側の目の奥にえぐられるような痛みを感じたり、鼻水が出ていたり、目が充血しているなどの症状がそろった場合に群発頭痛であると診断されます。また、群発頭痛は朝方の発症が多いといわれているのですが、明確な原因などはわかっていないのです。

――治療は可能なのでしょうか?

飲み薬による治療では間に合いませんので、偏頭痛の場合と同じ注射薬を使用します。あるいは、酸素吸入によって痛みが治るという方もいらっしゃいます。

――予防法はあるのでしょうか?

明確な予防法はないため、ストレスがかからないよう、規則正しく生活を送っていただくのが良いかと思います。もしも発症した場合には、救急もしくは専門医にかかっていただければと思います。

◆吉田泰久 社会医療法人榮昌会 吉田病院 / 理事長兼院長 /
1952年12月の開設以来70年近くにわたり、神戸市の救急医療のなかでも脳卒中患者の診療を主に担い、急性期から回復期、在宅まで一貫した脳卒中治療を提供している。
診療科は、神経外科、脳神経内科、内科、循環器内科、リハビリテーション科

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