梅雨明けで猛烈な暑さ…注意したい車内温度 「子どもの放置は絶対やめて」

堤 冬樹 堤 冬樹

 列島各地で異例の早さで梅雨が明け、猛烈な暑さが続いている。子連れで車に乗って出掛ける際に気を付けたいのが、炎天下で温度が急上昇する車内の危険性だ。熱中症や脱水症状に陥る恐れがあり、子どもが車内に放置されて死亡する事例も発生している。JAF(日本自動車連盟)は「短い間でも危険。放置は絶対やめてほしい」と呼びかけている。

 気象庁によると、6月29日までに東北北部を除く各地で梅雨明けした。29日は全国914カ所の観測点において、30度以上の真夏日だったのは613カ所、うち35度以上の猛暑日は151カ所に達した。

 暑さへの警戒が求められる中、子どもが車内に放置され、熱中症とみられる症状で亡くなるケースは毎年のように発生している。今年5月、新潟市で1歳5カ月の男児が車内に約3時間放置されて死亡した。昨年7月には、福岡県で保育園児が送迎バスに置き去りにされて亡くなったほか、千葉県でも同月、駐車場で軽乗用車内に放置された1歳の女児が死亡した。

 JAFによると、思いがけないトラブルで車内に取り残されるケースも。2020年8月にJAFが出動した「キー閉じこみ」の救援のうち、子どもやペットが車内に残された件数は全国で98件あった。このうち2件はドアガラスを割るなどして対応したという。「子どもが鍵のロックボタンを押した」「ペットの犬が誤って運転席ドアのロックボタンを踏んだ」などが原因だった。

 炎天下の車内で、人が短時間でも置き去りにされた場合、どれほど危険なのだろうか。JAFが2012年8月に行った実験によると、気温35度で、エアコンを付けず締め切った乗用車(黒色)の車内は30分で45度を超え、最高57度、ダッシュボードは79度まで上昇した。さらにエンジン停止から15分で、温度や湿度などから測る「熱中症指数(WBGT)」は「危険」に達した。

 比較的涼しくても油断はできない。気温23~24度で行われた実験(2019年5月)では、1時間後には大型SUVの車内温度が43・5度、最高46・5度まで上がった。軽ワゴン車は1時間後に37・5度となり、最高は39・9度。また、同じ気温でも湿度が高い方が熱中症になる恐れが高まるという。

 体温調節機能が未発達だったり低下していたりする乳幼児や高齢者は、高温下で短時間に体温が上昇する恐れがあり、特に警戒が必要だ。JAFは「『少しの時間だから』『寝ているから』といった理由で車内に子どもを残したまま車を離れることは熱中症を引き起こす事故になりかねない」と注意喚起している。

 暑くなりすぎた車内は、どう温度を下げればいいのか。JAFは最も効率的な方法として、「窓を全開にしてエアコンを外気導入にして走りだし、車内の熱気を出したら窓を閉め、内気循環にして冷やすこと」を勧めている。

 ただ車内温度が下がっても、ハンドルやダッシュボードなどに熱がこもっていることがあるので注意したい。高温になったチャイルドシートの表面やベルトの金具で、子どもがやけどを負う事例もあるとし、「子供を乗せる際などは十分に注意することが大切」としている。

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