注目を浴びているのは、スウェーデン伝統楽器・ニッケルハルパの奏者で講師の小柏(おがしわ)奈々さんのツイート。「久しぶりにスウェーデン大使館に行ったら、自販機に『シュールストレミング』が売られていた。お値段は5500円」というものです。
「シュールストレミング」といえば、ニシンの塩漬けを缶に入れて発酵させた缶詰で、先述の通り「世界一臭い」と評されることもしばしば。その臭いは強烈で一度ついてしまうとなかなか取れないことから、屋外での開缶が推奨されるほどです。日本ではバラエティ番組やYouTubeでよく取り上げられており、それらで知った人も多いのではないでしょうか。
同缶詰のことを知っており、この投稿を見たSNSユーザーたちは「本物の飯テロ」「兵器では…?」と恐れながらも「え、行こうかな」「一度は食べてみたい」と興味津々の様子(ちなみに投稿者の小柏さんはもう10回近く食べているそうです)。一体この自販機は何物…? 設置されている「スウェーデン大使館」に話を訊きました。
「スウェーデン北部では文化の一つです」
--話題の自販機はどういった目的で設置されているんでしょうか。
「スウェーデンの食を日本にプロモーションするための一環として、2019年にプログラム『Try Swedish!』をローンチしました。この自販機は、スウェーデンの食の認知度を向上させることを目的に、2020年の春より大使館内に設置されているものです」
--なるほど、スウェーデンの食品などが気軽に手に入れられるのでしょうか?
「はい。『日本でスウェーデンの食品がまとまって手に入る場所がない』との声が多くありましたため、こちらの自動販売機にまとめて販売させていただくことにしました」
--スウェーデンの食を求めている人にはすばらしい機会ですね。しかし、「シュールストレミング」とは…なぜ採用されたのでしょうか。
「日本ではパーティーグッズとしての色が強いシュールストレミングですが、スウェーデン北部では文化の一つです。伝統的な文化を発信するためにも販売しております。過去にはイベント出展の際に多くの在庫を用意していましたが、会期中に売れ切れてしまうほど関心が高かったです」
--発祥国と日本ではそもそもの認識に違いがあるんですね。スウェーデンではどのような際に食べられるのでしょうか? おすすめの食べ方など…とても興味があります。
「春にバルト海でとれたニシンを加工して発酵を進め、8月下旬から9月の屋外で初物を『シュールストレミングパーティー』として食べるのが伝統です。おすすめの食べ方は『ツンブロード』というパン(おすすめはハードタイプ)の上にバターを塗り、その上にスライスした茹でたジャガイモと刻んだレッドオニオン、刻んだシュールストレミング、サワークリームとディルをのせて食べるのがおすすめです!
このようにして食べると皆さんが思っているよりも食べやすいです。日本では、そのまま食べてしまう方がいますが、そのままでスウェーデンで食べる人はいません」
--パンにオニオン、じゃがいも…めちゃくちゃ美味しそうじゃないですか。「ツンブロード」は、ソフトタイプであれば「IKEA」でも販売があるようで、日本でも再現できますね。この自販機は一般の方も利用可能ですか?
「当初は、大使館にお越しいただき一般の方の利用も想定しておりましたが、現在はコロナの影響もあり、『スウェーデン大使館』に用事のある方のみ自動販売機を利用いただけます」
--最後に、この投稿をきっかけにスウェーデンに興味を持たれた方も多くいらっしゃるかと存じます。魅力や素晴らしさなどを一言いただけますでしょうか。
「スウェーデンは『グローバルサステイナビリティインデックス』で世界ランキング1位で環境先進国リーダーです。高品質でサステイナブル、革新的な食品をこれからも日本に紹介していく予定ですので気になる方は『Try Swedish!』のSNSをフォローよろしくお願いします」
日本では納豆、中国では臭豆腐…など、その美味と反して強烈な匂いを放つ個性的な食べ物(とはいえ納豆は大好きです)。そのなかでも、世界一臭いとされるスウェーデンの缶詰「シュールストレミング」がSNSで話題を呼んでいます。
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7月16日~18日には、「立川グリーンスプリングス」(東京都立川市)にて開催されるイベント『TACHIKAWA LOPPIS』にプログラム『Try Swedish!』が出店するそう。『スウェーデンの夏の食』や、『シュールストレミング』の伝統的な食べ方についてトークショーがおこなわれるほか、販売されるようなので、興味のある人は立ち寄ってみてはいかがでしょうか。