指南書「正統派スーツの描き方」が話題…基本デザイン・構造・柄・シワ・小物まで図解「待ってました」「スーツ好きにはたまらない!」

山本 明 山本 明

 端麗なイラストと詳細な注釈でスーツの構造を分かりやすく説明した本「正統派スーツの描き方:基本デザイン・構造・柄・シワ・小物」の発売告知ツイートが「マール社」(東京・文京区)公式アカウントから投稿され注目を集めています。

 こちらは同社の7月の新刊とのことで、告知を見た人たちから「スーツ好きにはたまらない!」「うぉぉぉ!欲しい!買おう」などの発売を待ち望む声が引用ツイートで届いています。本書出版の経緯を担当編集者に伺うと、過去に同社から出版された、ある本がきっかけとなった、とのことで詳細をお聞きしました。

 版元のマール社は昭和50年の創業以来、主に美術・デザイン図書を発行してきた出版社です。絵画や漫画を愛好する人たちに向け、「本当に役に立つ、分かりやすい本づくり」を心がけながら、デッサンやクロッキーなどの絵画技法書や、人物作画資料・ポーズ集などの実用的な書籍を作り続けてきたといいます。

 ただ、今回の告知ツイートでは「絵を描く方の資料としてはもちろん」としたうえで、「純粋にスーツを知りたい方の資料としても幅広くお楽しみいただけます」とも書かれています。いったいどういう人たちに届けたいという思いから、この美しくユニークな本は作られたのでしょうか…?

「絵を描く人だけでなく、小説を書く人のイメージづくりにも、さらにフォーマル・ファッションについての知識を得たい方にもぜひ手に取ってもらいたい」

――本書の企画意図を教えてください。

 エレガントなスーツスタイルは特に女性に人気で、イラストやコミックに登場することも多いように思います。2016年に弊社で出版した画集「アート オブ J. C. ライエンデッカー」が大きな話題となり、スーツに憧れを抱く絵師さんがぐっと増えたように感じています。

――「アート オブ J. C. ライエンデッカー」はどんな本なのですか?

 アメリカン・イラストレーションの黄金時代に大きな人気を誇り、あらゆる大手誌の表紙をその作品で飾ったアーティスト、J. C. ライエンデッカーのイラストを彼の生涯と共に紹介した本です。ライエンデッカーはイラストはもちろん、本人自身の洗練されたライフスタイルから、彼の友人である米作家スコット・フィッツジェラルドの代表作「華麗なるギャツビー」のギャツビーのモデルとなった人物なのでは、とも言われています。この本がヒットしそのスタイルが現代の日本に受け入れられたということは、スーツの男性を描きたい、スーツについてもっと知りたい、と願う人たちの潜在的な層が存在するのではないか、と思いました。

――そうだったのですね。

 しかし、スーツは描こうと思っても資料が少なく、構造を理解できず戸惑ってしまいます。例えばタキシードを着た人物を描きたいと思っても、どんな状況に相応しいかドレスコードがわかりません。襟の形は? 靴は? ネクタイは? わからないことだらけなのです。弊社としては、ファッション誌とは違う、服そのものを図解した本が欲しいと思いました。

――編集者としてこだわった点は?

 こちらは韓国の書籍の日本語版です。本書の文と図版を描いているイラストレーターのユン・イェジュさんも韓国の方です。韓国で日本カルチャーが人気のように、日本では定期的に韓流ブームが起こり、韓国人気は途絶えることがありません。韓国のイラストレーターにも目が向けられています。
スーツの本は私自身もずっと欲しいと思っていたので、実はオリジナルで企画を立て進行していたのですが、思うように進まず頓挫していました。そんな時に、この書籍の原本となる韓国語版を見つけ、ぜひ日本語版を出したいと思いました。
監修者の福地宏子先生は、ご自身でもファッション画を描くと同時に服飾大学で教鞭もとっておられます。翻訳の際に服飾用語や裏付けをより正確にするために監修をお願いしました。

――告知ツイートに反響があり、出版への喜びの声がいくつも届いています。予約状況はいかがですか?

 正直、ここまで反響があるとは思っていなかったので驚いています。「待っていた」「欲しい」という引用ツイートを見ると、ホッとします。たくさんの方に役立てていただけたら何よりです。予約は入ってきてはいますが、正確にはまだよくわかりません。発売まで約1ヶ月ありますのでこれからどこまで伸びるか楽しみです。

◇ ◇

 さらにこの本をどんな人に届けたいか、そしてどんなふうに楽しんでほしいのかを尋ねると以下のような答えが返ってきました。「メインとなるのは、漫画家さん、イラストレーターさん、アニメーターさん、服飾関係の方など、やはり絵を描く方になります。他にも小説など、文字で創作される方のイメージづくりにも役立つと思います。また、絵を描かなくても純粋にスーツを知りたい方、服に興味がある方、普段あまり目にすることのないフォーマル・ファッションについての知識を得たい方にも楽しんでいただけたらと思います」(担当編集者)。本書の購入を検討している人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

◇「正統派スーツの描き方:基本デザイン・構造・柄・シワ・小物」(マール社)、 2022年7月11日発売予定、定価:2200円(税込)
◇「アート オブ J. C. ライエンデッカー:The Art of J. C. LEYENDECKER」(マール社) 定価:3190円(税込)

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