電車内でふと聞こえてくるアナウンスに、ハッとした経験ってありませんか。先日利用した阪急電鉄神戸線。特急電車の車掌も運転士も女性でした。もう当たり前の光景になってきたなぁと独りごちていると、車掌の声がなんか舌足らずで、妙にかわいいアニメ声! 疲れていただけに大いに(?)癒やされましたが、個人的には男性の抑え気味で低めの声が落ち着くように思います。
独特の車内アナウンス、実は理由がある?
電車の車掌のアナウンスって、独特ですよね。昔、お笑い芸人・中川家の弟礼二さんが京阪電鉄のアナウンスを物まねして笑いをとっていましたが、鼻が詰まったような声とクネクネとしたイントネーションは印象的です。これは、乗客の話し声や車内の雑音の中でも目立つようにしているためとの説を聞いたことがありますが、最近の車掌は男性、女性かかわらず割と普通の話し方をしている人が多いですね。(最近は、普通の話し方で教育というか、指導をしていると、どこかの記事で読んだ記憶もあります)
電車の車内アナウンスで鼻にかかったような高い声の車掌さんがいますね。これは意識して、あえて声を高くしているそうです。電車の走行中やトンネルの中などでは、高い声の方が乗客は聞き取りやすいとのこと。女性のアナウンスが耳になじみやすいのも、女性の声が男性に比べると高く、聞き取りやすいからなのかもしれません。
マニュアル通りのアナウンスには疑問も
電車のダイヤ乱れに遭遇した経験のある人も多いでしょう。突然ストップした電車の車内で、どうすればいいか戸惑う乗客にとって、ほとんど唯一の道標が車内放送です。乗客の立場ではどうしてもイライラしてしまうもの。Twitterや鉄道会社が提供するアプリもありますが、やはりトラブル発生時は車掌の案内放送が果たす役割が大きい。
ただし、車掌も乗客と同様、情報を持ち合わせていない場合もあり、毎回同じお願いの繰り返しと同じトーンで列車の遅れや運転見合わせの放送を棒読みされても、逆にイライラを募らせることにもなりかねません。乗客も心を広くして、正確な情報を待ちたいものですが…。
音声合成の発達で、日本語で内容を選ぶと、英語や中国語など多言語で発信できるようになりました。JR西日本の新快速でも自動音声による放送が本格化しましたが、「トイレは一番後ろの1号車にあります」などといったきめ細かな案内も英語でなされます。訪日外国人客への対応がそうさせるのですが、最近はコロナ禍でほとんど乗っていないのに、大きな音量で流されると、画一的な対応に疑問を感じる時もあります。
放送が多すぎるのも「?」…まだまだ工夫の余地が
車内放送にほとんど耳を傾けていない人も多いですね。要因のひとつとして、車内放送が多すぎることがあるのではないでしょうか。優先座席、携帯電話、女性専用車両、迷惑行為、さらには新型コロナウイルス関連のお願い…。駅と駅の間、ずっと車内放送が流れているときもあります。たまに「車内は禁煙です」というアナウンスも聞きますが、車内で煙草を吸っている人など、久しくお目にかかったことがありません(笑)。
もちろん、視覚障害者など音声情報を頼りにしている人がいます。公共交通機関である以上、無視はできませんが、動画再生が可能な液晶ディスプレイが付いた車両も増えています。聴覚情報と視覚情報をうまく使い分けるなど、駅ホームの放送を含めて、工夫の余地はまだまだあると思います。技術の革新が「何が本当に必要な情報なのか」「最適の案内手段は何か」を考えるきっかけになってほしいものです。
(まいどなニュース/神戸新聞・長沼隆之)