「腹八分目」が健康に良い理由 医師が解説「動物実験で長生きするという結果が出ています」

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健康に長生きするためにも、適度な運動や健康的な食事は欠かせません。なかでも、健康的な食事方法として“腹八分目”がありますが、なぜ“腹八分目”が推奨されているのでしょうか? “腹八分目”が健康に良いとされている理由と、健康的な食べ方について、吉田病院付属脳血管研究所(神戸市兵庫区)の吉田泰久院長に詳しく聞きました。

――腹八分目が良いといわれているのは、なぜなのでしょうか?

経験的にも腹八分目で食事を摂り健康を保っている人の方が長生きするといわれていますが、実際にいくつかの動物実験も行われており、ラットの場合でも食事量を制限したグループの方が長生きするという結果が出ています。その数値は、制限していないグループと比較して、1.6倍も長生きするという結果になっています。つまり、食事を制限した方が長生きするための遺伝子が発動し、その結果生活習慣病になりにくくなり、長生きできるということなんです。

――満腹になるまで食べると、カロリーオーバーとなってしまうことが1番の原因なのでしょうか?

そうですね。満腹になるまで食事を摂ると、生活習慣病の主な原因となるメタボリックシンドロームになってしまう可能性があるんです。そうならないためにも、腹八分目になるよう食事制限を行うことが推奨されています。

――自制することはなかなか難しいと思うのですが、なにかコツはあるのでしょうか?

どれだけ運動をしていても食べ過ぎてしまうと良くありませんので、食事制限は絶対的に必要になります。方法としては、カロリーの高いものをできるだけ避けていただくのがよいですね。脂肪がグラムあたりのカロリー数が最も高く、その次に高いのが白米などの炭水化物といわれています。煮物やサラダなど調理方法は問いませんので、まずはカロリー数値の低い野菜類から食べていただくのがおすすめですね。その際、ドレッシングなどをたくさんかけないように注意してくださいね。

――食事にゆっくりと時間をかけるのも良いのですよね?

早く食べると満腹中枢が満足しないため、ゆっくりと食べることが重要です。ひと口食べたらお箸を置いて会話をする、というようにゆっくりと食べていただくと、満腹中枢が刺激され、たくさん食べずに済みます。

――よく噛むことも大切ですよね?

そうですね。噛む回数を多くすれば、その分だけ食事に時間をかけられますので、よく噛むことも大切ですね。

――ただ、自分にとってどれくらいの食事量が腹八分目なのかは分かりづらいですよね。

大体1日に2000キロカロリー摂取すると考えると、2割は400キロカロリーになりますよね。ご飯1杯分が約200キロカロリーといわれていますので、ご飯2杯分くらいを減らすと腹八分目になるといえます。また、脂ものが最もカロリーが高いので、牛・豚・鶏の脂を取ってから食べていただくと少しずつカロリーを減らすことができます。

◆吉田泰久 社会医療法人榮昌会 吉田病院 / 理事長兼院長 /
1952年12月の開設以来70年近くにわたり、神戸市の救急医療のなかでも脳卒中患者の診療を主に担い、急性期から回復期、在宅まで一貫した脳卒中治療を提供している。
診療科は、神経外科、脳神経内科、内科、循環器内科、リハビリテーション科

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