梅雨入りの声が聞こえる季節になると、注意したいのはゴキブリをはじめとした害虫対策ですね。自宅に害虫が出ると回答した人に「なぜ害虫が出ると思うか」を聞いたところ、3割近くの人が「床にものをたくさん置いてある」ためだと回答しました。その一方で「わからない」と回答した人も24.6%いたそうです。
ホームインスペクション(住宅の建物診断)や不動産業務支援などを手掛ける「株式会社南勝」が、2022年5月に行った調査で、関東または近畿地方に在住の20歳以上60歳未満の男女1996人を対象に聞きました。
「自宅に害虫は出ますか」と聞いたところ、「あまり出ない」(35.5%)、「まったく出ない」(34.2%)との回答の一方で、「たまに出る」(26.7%)、「よく出る」(3.7%)と答えた人もいて、害虫に悩んでいる人が3割を超えることがわかりました。
また、「たまに出る」「よく出る」と回答した人に「害虫は自宅のどこに出ますか」と聞いたところ、最も多かったのは「キッチン」(73.1%)でした。次いで、「洗面所・浴室・トイレ」(46.4%)、「リビング」(31.7%)、「玄関」(19.8%)、「寝室」(12.5%)と続いたそうです。
さらに、「なぜ自宅に害虫が出ると思いますか」と聞いたところ、「床にものをたくさん置いてある」(27.4%)、「隙間風が入る」(24.9%)、「家の中に食べもののゴミが多い」(24.8%)、「自宅がなんとなくジメジメしている」(24.3%)といった回答が目立つ一方、「わからない」と回答した人も24.6%いたそうです。
続いて、害虫に対しての対策については、「掃除」(48.8%)、「ゴミ捨て」(42.9%)、「毒餌剤を置く」(39.6%)、「こまめな換気」(16.7%)、「隙間をふさぐ」(15.2%)といった回答が上位に並びました。ちなみに「特に何もしていない」と回答した人は14.4%だったそうです。
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はたしてゴキブリなどの害虫が出る家の特徴というのはあるのでしょうか。効果的な対策法などについて、同社代表取締役で、「住宅専門チャンネル Youtube不動産」で建築・不動産などのノウハウを解説している一級建築士兼宅地建物取引士の印南和行(いんなみ・かずゆき)さんは、以下のように解説しています。
「害虫が出る家」の特徴とは
【1:ジメジメしている家】
みなさんの家には湿度計はありますか。害虫を防ぐ上で湿気を管理することはとても重要です。特に、植物を鉢植えで育てている方は要注意。ずっと受け皿に水が溜まっていませんか。水を溜めていると、水溜りに卵を産む習性のある蚊に増殖の場を与えていることと同じことになってしまいます。その他にも、洗濯機の下や浴室など湿気の多い所は害虫にとって生育しやすい環境ですので、しっかり換気することが大切です。
【2:隙間風が入ってくる家】
家にいる害虫の侵入経路は、換気口や窓が多いです。特に、古くなった換気口や窓の網戸は隙間が広く、もはや害虫が堂々と侵入可能な状態です。最低限、壊れている場所がないかチェックしておきましょう。
【3:掃除をしない家】
ゴキブリの大好物には、人が食べ残した物だけでなく、髪の毛や虫の死骸なども含まれます。普通に生活をしているだけでこうした目に見えないゴミも増えていきます。掃除が面倒だという方は、ロボット掃除機などを取り入れてみてください。
「害虫が出る部屋」はこんなところ
【1:1階の部屋】
種類によって生息地は異なりますが、家の外にいる害虫の多くは地面、土の近くに存在しています。高さがある2階よりも、地表に近い1階の方が害虫は多く出現するでしょう。防虫剤の説明書書類などを確認して、いつどのような対策をしてその効果がいつまであるか、振り返ってみるのもよいでしょう。
【2:洗面所・浴室・トイレ】
日当たりの良い場所にはリビングや子ども部屋などを配置して、浴室や洗面所などの水回りを日当たりの悪い場所にまとめてしまうことがあります。そうなると、日当たりの悪い部屋は、湿気が溜まってゴキブリが大好きな環境になりがちです。
水回りは日常生活において一番使用頻度の高い重要な場所です。そこにゴキブリが出現してしまったら、日々の生活が憂鬱なものになってしまいます。これから新築やリノベーションなどを考えている人は、水回りをどの季節でも風が通って湿度が低くなるような場所に配置することをオススメします。
もし、採光・採風がないところに水回りが集中するような間取りでしたら、1階であれば開閉のできる小窓、2階であれば天窓を設置するなどして光や風を取り入れるという対策がよいでしょう。
【3:キッチン・玄関】
キッチンにはたくさんの侵入経路があります。代表的なものは、シンク下の配管周りの隙間です。配管と床の間に隙間があると危険です。ここから侵入してくる可能性が高いので、隙間はしっかり塞いでおきましょう。もう1つは換気扇です。不衛生にしていると危険。意外とここからも入ってくるので、掃除はこまめにしておきましょう。
玄関扉は常に無防備に開閉するので、知らぬ間にゴキブリが侵入していることがあります。また、勝手口があってゴミを置いておくような場合は、侵入してくる機会がかなり増えますので、玄関同様気を付けてください。
【4:ウォークインクローゼット】
ウォークインクローゼットを本来の役割ではなく、物置のように使っている人も多いのではないでしょうか。収納するスペースが十分にあるからたくさん服を買ってしまうが、そのうち服を掛けるところがなくなって衣装ケースに入れて床に置いてしまう、宅配で届いたものも段ボールに入ったままおいてしまう、実際にこのようなケースを聞くことがあります。
ウォークインクローゼットは、普段は閉め切っていて日が当たらず風通しも悪いため湿気が溜まりやすい場所です。収納量を8割程度に抑えて風通しを良くしておけばよいのですが、荷物をぎっしり詰め込んで何カ月も動かさずにいると、湿気が溜まってきてゴキブリに快適な生活場所を提供することになってしまいます。
また、引っ越しの際に使用した段ボールや宅配で届くものにもゴキブリの卵が付着していることがあります。そのままウォークインクローゼットに入れっぱなしにして荷物を詰め込んでしまうとどうなるでしょう。ウォークインクローゼットは、収納するものの量をほどほどにして、頻繁にドアを開け換気することが大切です。除湿機を設置しておくこともよいでしょう。
【5:ウッドデッキ】
リビングの掃き出し窓からウッドデッキに出られる間取りにするご家庭も増えています。リビングの延長のように使えて開放感も得られるので、開けっ放しにすることがあります。ウッドデッキ周りに土や草木があると、ここからゴキブリが侵入する可能性は大。
ウッドデッキの下は日が当たらず、雨が降った後は特にジメジメしています。ゴキブリだけでなく、ハエや蚊などもどんどん室内に入ってきてしまうので、開けっ放しにしないことが一番の解決策ですが、それも難しい場合、(1)害虫が苦手なハーブなどを植える(2)防草シート+砂利を敷く(3)コンクリートやタイルにするなどの対策を検討してみてください。
【6:使わない部屋】
特に用途のない部屋は、使わない荷物がどんどん持ち込まれる部屋になってしまいます。たくさんの荷物が置かれて、掃除もほとんどしない、人の出入りもない、換気もしないとなると、ゴキブリの支配下です。
できる限り掃除をして窓を開けて、採光・通風のある環境にしておきたいものです。どうしても荷物を置いてしまうような場合は、壁に荷物をピッタリくっつけず、少し隙間を開けておくと、風の通り道ができ、掃除も行き届きます。
害虫が「出ない家」をかなえるためには
害虫対策は、それぞれの特徴に合わせた対策が必要です。しかし、共通して効果的な対策もあります。それは、掃除です。ごみを捨て、カビや埃をなくすことは誰でもすぐにできます。基本的な掃除が終わったら、住宅の隙間や湿気の溜まりやすい場所への対策を行っていきましょう。隙間対策は、自分自身で行えない場所も多く対応することが難しいところです。
例えば、換気扇や窓が古くなったことできた隙間などは専門業者によって新しいものに交換したり、修繕を行ったりする必要があります。自分自身ですぐできることとしては、室内側の換気扇にフィルターを付けることです。これは100円均一などでも安く手に入れることができるので、専門的な業者を頼まずにすぐにできます。
ゴキブリは、同じ住宅内に多く仲間が存在することも特徴的です。そんな繁殖力の高いゴキブリにも効果的なものは毒餌剤(毒の入った餌)です。彼らが餌に食いつきそうな湿気の多い場所や部屋の隅に置いておくことがベストです。食べてもらうことが重要なので、上手くいかなかったら場所を変えるなど工夫を続けていきましょう。
ダニは、暖かい場所を好むので、室内では年中対策を取る必要があります。その上、人間が出す垢やフケ、床や電化製品に付いている埃が大好物です。まさに人間と共存することを望んでいる害虫です。特に、カーペットは髪の毛やフケが付きやすいので、ダニにとっては大好きな環境になります。ダニ対策として掃除機をこまめにかけることはもちろんなのですが、乾燥させることも大切です。水洗いした後にしっかり乾燥させることでダニは死滅するので、乾燥をキーワードに対策していきましょう。
住宅の性能が上がったことで、害虫にとっても居心地のよい環境ができあがりました。休みの日はクローゼットの扉などを全部開け、布団やカーペットなどを乾燥させるなどして、日々の対策を心掛けましょう。
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【出典】
▽YouTube不動産
https://www.youtube.com/channel/UCu5pac3VmabJ-OvFiPxlzIA