「魚のキラめきや、ウロコの凹凸を印刷技術で再現した【さかなかるた】をデザインしました!」と画像をツイートしたのは、ISHITA Kyosuke(@kyosuke_ishita)さん。
魚の表面の色や模様をリアルかつきらびやかに再現した「さかなかるた」がTwitterに投稿され注目を集めています。何と、こちらのかるたは魚のウロコの質感までをも特殊印刷で再現したという徹底ぶり。この驚くべきかるたを考案したISHITA Kyosukeさんは、東京を拠点に活動するデザイナーです。「さかなかるた」誕生の経緯をお聞きしました。
かるたには全24種類の魚が登場 水に浮かべて遊ぶことも
「さかなかるた」は「オンデマンド印刷の可能性を広げる」というテーマのもと、1年以上かけて「千葉印刷」という印刷会社とISHITA Kyosukeさんが主宰するデザイン事務所「SANAGI design studio」が協業で商品化。全24種類の魚の名まえを、表面の模様や色のみで判断し札を取っていくという、魚の美しさを楽しむかるたに仕上げました。「メタリック印刷」という手法で魚が光を反射する時のキラめき感を再現しただけでなく、「厚盛り印刷」という特殊な印刷技術を駆使してウロコの凹凸感をも再現、見て楽しむのはもちろん、目を閉じて触ったり、水に浮かべて遊ぶことも可能とのこと。
遊び方は以下の通り。
①読み手が魚の名前が書かれた読み札を読みあげます。
②魚をかるた表面の模様や色、手触りだけで判断し、分かったらすばやく取り札を取ります。
③魚の名前でわからない時は、読み手が読み札に書かれたヒントを読みあげます。
④取り札数の多い人が勝者になります。
このユニークなかるたの投稿に「欲しい」という声が多数寄せられたほか、「さかなクンさんに圧倒的強さを見せつけられたい」と願う声や「こういうスマホケースあったら最高かも!」と提案する声も届いています。それにしてもなぜ、かるたのデザインのモチーフにISHITAさんは「魚」を選んだのでしょうか。
生産追いつかず嬉しい悲鳴 ちょっとした図鑑や写真集のように楽しんでみても
――「さかなかるた」完成までの経緯を教えてください。
実は、最初に印刷会社から与えられた課題は「オンデマンド印刷機の良さをもっと広めたい!」というものでした。印刷には、版を使用する「オフセット印刷」と版を使用しない「オンデマンド印刷」の2種類の印刷方法があり、前者が主流です。そこで後者はどんな印刷ができるのか見本帳を見せてもらうと、「メタリック印刷」や「厚盛り印刷」という特殊な印刷が可能ということが分かりました。
それが本当に美しかったので、「この美しさを活かすために、もう余計なことせず自然界の美しいものをそのまま印刷で再現したら良いのでは?」と思い、魚の美しさをそのまま印刷で再現し、それをかるたにしたという流れです。魚の他にも、昆虫や鉱物という案もあり、今後はもしかするとこれらについても商品化していくかもしれません。
――投稿に多くの反響がありましたね。
いちばん嬉しかったのは、協業した印刷会社の方が喜んでくれていることです。Twitterでの反響もあり、ありがたいことに売上も順調で、生産が追いつかないという嬉しい悲鳴も伺っています。また、「今の印刷ってこんな事ができるんだ!」という声もいただき、高い印刷技術というものを世間の多くの方に知っていただけたことも非常に嬉しかったです。
――どんなふうに遊んでほしいですか。
かるたとして遊ぶのはもちろんですが、ちょっとした図鑑や写真集のように楽しんでいただく事もできるかと思います。メタリック感を楽しんだり、手で触れてみて凹凸感を楽しんだり、気分転換に使ったりしてもらえると嬉しいです。
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さらに「大人でも難しいかるたかと思いますので、子ども達と一緒に、ワイワイと遊びながら学んでいただいても」と続けるISHITAさん。また「さかなかるた」は「YUPO(ユポ)」という耐水性に優れた合成紙でできていて、お風呂や家庭用プールの中でも遊ぶことができるそうです。水中のかるたはきっと、水を得た魚のように、よりいっそうきらきらと輝くのでしょうね。
【「さかなかるた」販売情報】
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