「日本語を話せない子とお話できるカードを作りたい」小3息子の優しい行動力 「どうしたら、そんな素敵な心の持ち主に育つの?」と絶賛の声

太田 真弓 太田 真弓

今春に、日本語を全く話せない子と同じクラスになった、小学3年生の長男くんの母親であるおみかんさん(@omikan_ka_san)。ある日、「オレはあの子の言葉が全く分からないから、お話しできるカードを作りたい」と言われ、「え、こんな子ほんとにいるんだ…?道徳の教科書にしか存在しないと思ってたわ」と驚いたというエピソードが話題に。

我が子の想像を超える言動にびっくりしつつも感心しながら対応したおみかんさんにお話を伺いました。

すぐになんとか作成させてあげたいとGoogle翻訳で言葉を検索。その文字を見よう見まねで紙に書き写しながら「喜んでくれるかなぁ」と話す長男くん。おみかんさんは「伝わるといいなぁ、言葉」と願いつつ、ご自身も「英語が人並みに分かる程度でその他はさっぱりだし、相手がもし返事をくれてもわからないぞ…」と不安を募らせる中、「オレにできるのはこれしかないから…」と長男くんは頑張って書き続けました。

この様子を綴ったツイートに
「良い子だわぁぁぁぁ おばちゃん泣いちゃいました」
「長男くんの気持ち届きますように」
「色んな立場の人に向き合おうとする素晴らしい素質の持ち主だと思います」
「どうしたら、そんな素敵な心の持ち主に育つんですか?」
「その気持ちと行動力 本当に素敵だわ」
「優しいですね!絵カードとかどうですかね?相手の国の言葉と日本語表記の」
と、長男くんの優しさを絶賛する声や、海外現地校に通った方からのアドバイスなど温かいリプが届きました。

この時の状況やその後のお話をおみかんさんに伺いました。

相手の方の言語が英語ではなく母も苦戦

――4月から同じクラスになったと想像しますが、いつカードを作成したいと?

ツイートした5月6日です。「日本語を全く話せない子がいるんだよね」という話だけはちらっと聞いていました。

――「え、こんな子いるんだ…? 道徳の教科書にしか存在しないと思ってたわ。」という我が子への感想が印象的です。

まずびっくりしました。元々人が好きな子なので、いろんな子と仲良くなろうとする子ではありましたが…。「問題に関して自分でどうしたらいいかしっかり考えられる」そして「自分でこうしようと決めた上でやってみたいと親に相談してくる」という行動って学校の宿題ですらやったことがなかったんです。もちろん私自身も人のためにそこまでしようと思ったことがないので、なんて立派なんだろう!と思いました。我が息子ながら。

――カードはどんな感じに?

実はカードではなくて、まずは手紙みたいにしようと話し、A4の白い紙に大きな字で相手の子の国の言葉を書きました。「こんにちは。ぼくの名前は〜です。よろしくね!」みたいな簡単な文章です。相手の方の言語が英語ではなかったので、私ですらよく分からず、文字には苦戦しました。

――お手紙の内容は?

どんな言葉にするかは結構考えましたね。初めてお話する相手だからまずは挨拶自己紹介からかなと思ったけど、長男は「ドッジボール一緒にしよう」とか、ちょっと難しい言葉を選んでいたので。「ドッジボールって世界共通じゃないかも」とか「実際に見せたほうがきっと早いよ!」などと話し合いました。

長男はスマホもパソコンも文字打ちができないので、私が彼の考えた言葉をGoogle翻訳に入力して言葉を出して見せました。「長すぎる文章や日本語独特の言葉もとりあえず初回はやめておこう」ともアドバイスしました。

あと、絵も描いていました。いつもはゲームのキャラや戦いの絵ばかり描いているのですが、今回はきちんとした人の絵を描いていたので、それもびっくりしました。

また、長男の名前をローマ字で書くことになったのですが、よく考えたらローマ字もまだ習っていなかったので、本当に見て丸写しするスタイルで。字がひょろひょろというか、判別しづらくなってしまったりで難しかったです。トータル30分くらいで完成させていました。

――ローマ字なども入れながら頑張って完成させたのですね!

もし相手の子が何か返事をしてくれたとしても長男には全く分からないし、私もローマ字読むくらいしか分からないからどうしようと思いました。英語だったら良かったんですけど…。

――作成中、どんなお気持ちでしたか?

すごいな…宿題はギリギリまでやらないのに…一生懸命言葉を考えて書いてるなぁ…と半ば信じられない気持ちで見ていました。

ただ、お手紙を書いた後、夜寝る前にもまだ「どうやったら仲良くなれるかな」「オレには何ができるかな」「一緒に遊びたいなぁ」と悩んでいて、ほんとすごいなと思いました。夫もそんなタイプでは全くないので、一体誰に似たんだろうと。

――その後、手紙は無事に渡せたのでしょうか?

たまたま相手の子のお父さんが一緒に来ていたらしく、長男は普通に「はい」と渡したそうです。お父さんが受け取ってくれ、息子さんに渡してくれたそうです。

お父さんも言葉が分からないようで、笑顔を返してくれて何か話されたらしいのですが「全然何言ってるか分からなかった」と。お相手からの返事はまだなのですが喜んでもらえたとは思います。

「話したい!」と自ら行動した息子を誇りに思います

――今後、どのように見守っていかれますか?

長男は幼少期から自分でガンガン会話していき、知らない子ともすぐ遊べる子でした。私は人見知りで1人遊びが好きな子供だったし、今でもそうなので、私自身が何か教育してそういう性格の子に育ったわけではありません。なので、今後も見守るだけですね。ただ、老若男女国籍問わず声をかけてしまうので、そこだけは注意しています。

それでも、人が好きなところ、いろんな人に自分でコミュニケーションを取りにいけるところは長男の一番素晴らしいところです。苦手なところ、悪いところもたくさんあるけど、そこだけはとても誇れる部分なので、そのまま育っていってほしいです。

――当該ツイートに2.5万件のいいねがついています。

やっぱり素晴らしい行動なんだなと思いました。今回はコメントつけられる人を限定したため、引用リツイートしか読めないのですが、「自分自身が小さい時にこういう子がいたら良かったな」みたいなことを書いている方がいて、なるほどなぁと思いました。

全く言葉が分からないってただでさえ肩身が狭いのに、誰も手を差し伸べてくれなかったらすごく辛いですもんね。長男はそれを何とかしたい!と思ったわけなので、偉いなと思いました。コミュニケーションを取ってみようという気持ちがとても素晴らしいなと。「ドッジボールをやりたい」と言っていたのでそのうちできるといいなと思います。

◇     ◇

お話を聞いていて、長男くんの優しさや強い思いに胸を打たれました。思ったり考えてはいてもなかなか行動には移せないものです。びっくりな発言と行動の連続におみかんさん自身驚きつつも、長男くんの成長を感じられたのではないでしょうか。思いが伝わって一緒にたくさん遊べますように!

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