野球、芸能の裏ネタからプロレス、宇宙人と徹底した娯楽路線を貫いてきた異色の夕刊紙「東京スポーツ新聞社」が「東スポ餃子」に続き、今度は「東スポからあげ国産鶏肩小肉ニンニクマシマシ醤油味」(1キロ=税抜2300円)を業務用として販売を開始した。
また調子こいて…とはいわない。「東スポからあげ」は国産鶏肉の希少部位である肩小肉をすべて全農チキンフーズから仕入れて使用。「東スポ餃子」と同様に青森県産ニンニクをふんだんに効かせたガッツリ、食べ応えのある唐揚げに仕上がっている。
すごいことに、この「東スポからあげ」は4月13日に開催された一般社団法人・日本唐揚協会主催「第13回からあげグランプリ」の東日本しょうゆダレ部門に初参加し、早々の金賞までかっさらっている。
いきなりのタイトル獲得とはビックリだが「東スポ餃子」同様、気合の入った研究を重ねて商品化したのだろう。「からあげ」と平仮名にしているのも「お子様にも親しみを持ってもらうためにあえて漢字にはしなかった」(東スポ関係者)とのこと。異業種への参入も2品目とあって気配り、いや、芸が細かい…。
現在は業務用しかないものの、すでに「東スポ餃子」が180店舗の外食チェーンやECを展開しており、販売ルートは安泰だ。早速、東スポ本社での大試食会も行われ『ミス東スポ2022』の渡辺ありさら5人が「ニンニクの匂いがすごいけど、めっちゃおいしい!何個でもイケます!」などと大絶賛。大皿に山盛りにされた唐揚げはあっという間に空になったとか。今後は容量をコンパクト化した家庭用の販売を目指しているという。
「東スポ餃子」「東スポからあげ」と連続プロデュースした仕掛け人はおなじみの平鍋幸治・東スポ取締役編集局長だ。唐揚げがデビュー早々、金賞に選ばれ、さぞや鼻高々と思いきや、そうでもなかった。むしろ、怒りの形相が…。異業種参入に反対する本業重視の社員から〝吊るし上げ〟でもあったのか?
「いや、いや、違います(笑)。唐揚げの金賞受賞は東スポにとって明るいニュースでしたが、手放しで喜んでもいられないのです。実は餃子の方の小売り用(15個入り)を今春から販売したかったのですが、ロシアのウクライナ侵攻が長引いたせいで原油価格が高騰。工場がストップしたりして小売り用に使う冷凍トレー、パッケージなどの包装素材がウチにまで手に入らない状況になったんです」
何と激化する一方のロシアの侵略戦争が東スポの〝対餃子戦略〟まで直撃。これはただ事ではない…。
「元々、唐揚げは餃子の小売り用を出してから売ろうという計画だったのにできなくなった。冷凍トレーなどが回ってくるのは早くて7月。でも、ウチとしてはこのまま指をくわえて待ってられない。餃子の小売りができない分、その穴を埋めるために唐揚げを急ピッチで販売したというわけです。その中で唐揚げが金賞を取れたのはまさにケガの功名(笑)…」と振り返ったが、腹の虫は収まらない。
最後は「1日も早い平和を、と願ってますが、誰もプーチンを止められない。何とかして戦争を止めさせないと第三次世界大戦になりかねませんし、東スポ餃子の家庭用発売もいつになるかわからなくなりますよ。それにしてもプーチンは許せません!」とプンプンだった。
話は唐揚げからずいぶん〝脱線〟したが、東スポが紙面やWebサイトでプーチン叩きに目の色を変えているのはこうした怒りも関係していたのか。せっかくなので東スポのロシアのプーチン大統領に対する怒りの1面記事見出しをいくつかピックアップしてみる。
「プーチン 狂人化は愛人と過剰~ ぎっくり腰が原因か!?」(3月10日発行)
「プーチンをロケットで木星に飛ばせ ウクライナ副首相訴え 実現に寄付呼びかけ」(3月17日発行)
「プーチンを朝食オムレツ毒殺秒読み すでに食事のメニューバレバレな状態」(3月23日発行)
どれも他のメディアがいっさい後追いできないほどの東スポらしい出来栄えだ。怒りというより、おちょくっている気がしないでもないが、誰がナニを言おうと唯一無二の報道姿勢といえる。
いずれにせよ、今は唐揚げの売り上げはもちろん、1日も早い「東スポ餃子」小売り用の販売が待たれるが、今後も東スポは守りに入る気はさらさらない。筆者のKGBばりの〝インテリジェンス〟によると、新たに「東スポ~~~」「東スポ~~」が計画に浮上しているとか。プーチン氏に怒り心頭の割りには全く懲りないというか、そこがまた頼もしいのである。