4月23日はベスパの誕生日 名作映画「ローマの休日」にも登場した“イタリアンスクーター”の魅力とは

小嶋 あきら 小嶋 あきら

 オードリー・ヘプバーンとグレゴリー・ペックが共演した名作「ローマの休日」に登場したイタリアのスクーター、ベスパ。お洒落でかわいらしいと変わらぬ人気です。そんなベスパの誕生日は4月23日です。

そもそもベスパって?

 メーカー名ではなくて車名であるベスパの意味は「スズメバチ」。エンジン音がスズメバチの羽音に似ていたからとか、ボディの膨らみがスズメバチのお尻に似ていたからとか、諸説あります。ピアッジオという会社が作っています。ピアッジオはもともと航空機メーカーでしたが、イタリアの敗戦で飛行機が製造できなくなってしまいました。航空機メーカーとしての技術を活かしたモーターサイクルを作ろうとして生まれたのがベスパなのです。

 ベスパを設計した同社のエンジニア、コラディーノ・ダスカーニオさんの映像が残っています。その中で彼はこう語っています。

「まず最初に、シートの上に気楽に座っている人の絵。そしてその前と後ろに対称的に2つの車輪。さらに、シートから伸びて車輪を覆うマッドガード。最後に、前輪の上にはハンドルバーを描きました。すると自然にこんなデザインが出来上がったのです」

 どんな服装で乗っても大丈夫なように、足を揃えて乗れて、熱や汚れの心配のあるエンジンは内側に隠されていて、ドロはねが掛からないようにレッグシールドがある。とてもシンプルで実用的な形なんです。

 特徴は、前後共に片持ちの車輪とスチール製のモノコックフレーム。ベスパのあの丸い外観、実はスチールのボディで、中にフレームは入っていません。国産スクーターみたいに「外装を剥いでいけば中からフレームが出てくる」構造ではないんです。

 モノコックフレームは航空機のボディーを作っていた技術、片持ちの車輪はヘリコプターの車輪からの転用といわれています。エンジンは航空機エンジン用のスターターエンジン、つまりセルモーターの役目をしていたエンジンが元になっているとされます。

元々は2サイクル、最近は4サイクル

 誕生以来、ベスパは2サイクルエンジンでした。構造が簡単で軽くてパワーがあるかわりに、やや音が大きくて燃費が良くなくて煙が出るやつですね。そして1990年代半ばに4サイクルのモデルが登場し、徐々に置き換わっていきました。静かで、燃費が向上し、エコの時代にしっかりフィット。いま新車で手に入るのはこの4サイクルのモデルです。

 例外はありますが、2サイクルのモデルはほぼほぼマニュアルです。クラッチとシフトの操作が必要です。ハンドシフトと呼ばれるもので、左手でクラッチを握って、そのまま手前に回せば一速。奥に回して二速、三速とチェンジしていきます。四速ではクラッチレバーはほぼ下を向きますが、そのギアで微妙なクラッチ操作をすることはまず無いので問題ありません。

 4サイクルになってからのモデルはオートマチックになっていて、右手のアクセル操作だけで走ることができます。

ベスパの誕生日

 ベスパが生まれたのは1946年。公式な誕生日は4月23日ですが、この日はなんの日かというと「ベスパの製造が認められた日」です。その前、4月15日にはベスパはMotociclismoとLa Motoという二輪雑誌で紹介されていて、さらに3月29日にはCorriere dello Sportという新聞に載っていたようです。また、ベスパのロゴマークが作成された1946年2月20日を誕生日とする説もあります。

 世界中で人気のベスパなので、各地に愛好者が居てベスパクラブがあります。もちろんベスパの生まれ故郷・ポンテデッラ市にもベスパクラブがあり、4月23日は誕生祭ということで大きな集まりが催されるといいます。

 2021年は75周年ということで盛り上がり、日本でもイベントがありました。今年はどうなるかわかりませんが、とりあえず筆者は日頃取材の足としてがんばってくれてるベスパに感謝する日にしたいと思っています。

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