新学期が始まり、子どもたちも新しいクラスでの生活が始まります。そこで気になるのが「学級崩壊」です。全国の小学校で起きている問題で、小学生や入学を控えたお子さんを持つ親御さんは、不安を感じているかもしれません。学級崩壊に至ってしまう理由や状況はさまざまで、低学年、高学年でも、その様子はまたぜんぜん違ってくるようです。実際に我が子のクラスで学級崩壊が起きていた保護者のみなさんに、その時の様子や、保護者としてどのような対応をしたのか、聞かせてもらいました。
そもそも学級崩壊とはどういう状態?
学級が崩壊する、この言葉のイメージかなり強烈ですよね。まだお子さんが保育園のママは、「学級崩壊」と聞いてもピンとこない方が多いと思います。一言で言えば、クラスが荒れて授業が成り立たなくなる、ということです。
もっと詳しく言うと、授業中の子どもたちの私語や集中力が保てないことから始まり、授業中に席を立って歩き回ったり、教室から出て行ったりする。それによって授業が妨げられ、子どもを先生に集中させる求心力が失われてしまう現象、それが学級崩壊です。
さらにエスカレートすると、極端な例になりますが、先生から注意されると逆切れして先生を殴ってしまったり、先生に物を投げるというケースもあるようです。先生が完全に諦めて匙を投げてしまう場合もあるそうですが、そんなことになってしまう前に保護者たちがアクションを起こした例を見ていきたいと思います。
低学年(1~2年生)の学級崩壊の理由は意外とシンプル
1~2年生はまだまだ小学校生活に慣れるのがやっとという時期。1日5時間から6時間、集中して授業を受けるのは相当きついと思います。それが学級崩壊につながってしまう場合が多いようです。
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▽学級崩壊の理由
私の子ども(1年生)のクラスの場合は、授業中じっと座っていられない子につられて、ほかの子も一緒に立って歩き回るようになってしまいました。それで授業どころではなくなり、学級崩壊の状態になってしまった。それまで保育園や幼稚園で楽しく走り回って過ごしていたのですから、いきなり40~45分の授業をじっと座って聞いていなければならないのが辛いのは当たり前なのかもしれませんが…
▽保護者たちのアクション(対応)
5月くらいから何人かの子どもの立ち歩きがひどくなってしまいました。担任と介助の先生2人でも抑えられない状態だったので、保護者が2人一組順番でほぼ毎日教室で授業を見守りました。どうしても専業主婦の方が中心になってしまいましたが、フルタイムで働いている私も、1~2回だけやりました。
▽どうやってクラスが落ち着いていったのか
先生2人、親2人と対応できる大人の人数が多かったので、立ってしまう子が多くてもその場ですぐ注意することができ、立ち歩きが少しずつ減っていきました。そうしているうちにクラスもだんだん落ち着いていったんです。1年生の1学期と、夏休み明け2週間ほどで見守りが必要なくなるほど立ち歩きがなくなりました。〔Yさん、子ども7歳双子〕
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原因が「まだ慣れない授業で座っていられなくて立って歩いてしまう」というシンプルな場合は、落ち着くのも割と早いようです。しかし毎日保護者が見守りなんて、なんとも大変だったと思います…。
中学年(3~4年生)の学級崩壊は生徒vs先生!?
低学年に比べ中学年になると、学級崩壊に至る理由が少し複雑になってきます。それはいったいどんな理由なのでしょうか。
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▽学級崩壊の理由
先生のことが気に入らない数人のグループが授業中に先生の言うことにいちいち反抗したり野次を飛ばす。それにいちいち対応していると授業がストップしてしまい、なかなか進まない。しかし先生が無視を決め込むと、野次がひどくなったり「やってらんねえ」と教室を出て行ってしまう子がいる、というケースです。そうしているうちに授業が成り立たなくなり、学級崩壊に至ってしまいました。
▽保護者たちのアクション(対応)
そのときの学級代表(保護者の学級委員のようなもの、連絡網を回すなどの役目)のお母さん2人が、担任の先生と話し合ってくれたんです。その結果、週3日6時間目が終わった後に担任の先生とほか2人の先生を入れて、特別ホームルームを開くことになりました。このホームルームで「なぜ先生をバカにするのか」「そうならないようにするにはどうしたらいいか」などを、クラス全体でじっくり話し合うことにしたそうです。
▽どうやって落ち着いていったのか
最初は「帰る時間が遅くなる」と文句を言っていた子もいたようですが、話し合うことで野次を飛ばしていた子たちも気持ちが落ち着いたのか、半年ほどでクラスが落ち着いていき、授業が成り立つようになったそうです。〔Nさん、子ども9歳、2歳〕
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3~4年生といえば9~10歳。大人にたてつきたくなる年齢なのかもしれません。その気持ちにしっかり向き合って聞き取ってあげることで、子どもも落ち着いていくようです。この先生たちの対応はとても参考になりますね。
高学年(5~6年生)は受験がらみで学級崩壊!
高学年にもなると、心身ともかなり成長し、本気で反抗されると大人は恐怖さえ感じてしまいそう。高学年の学級崩壊と聞くとちょっと怖そうですが、どうなのでしょうか…。
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▽学級崩壊の理由
5~6年生にもなると、中学受験をする子は塾でかなり進んだことを学びます。私の子のクラス(6年生)は、学校の授業はすでに習ったものばかりでつまらないという理由でまったく授業を聞かない、授業中に塾の勉強を始める、もっとひどいと勝手に図書室に行って勉強しようとするという子どもが増え、学級崩壊に至ってしまいました。
▽保護者たちのアクション(対応)
割と問題意識を持ったママたちが多いクラスだったので、先生に掛け合って臨時保護者会が開かれました。いつもはまばらな保護者会も、このときはほぼ全員出席。収集がつかないほどさまざまな意見が出ました。結局、今目の前の勉強でいっぱいいっぱいの子に「落ち着いて授業を聞きなさい」と言ってもきっと学級崩壊は収まらないという結論に…。
▽どうやって落ち着いていったのか
算数と国語に限って、受験する子どもとしない子ども(わが子はしませんでした)で完全にクラスを分けることに。受験する子のクラスはほぼ自習だったようですが…理科や社会は先生が授業を工夫してくださり、全員楽しく聞けていたようです。ともかく学級崩壊はなくなったし、受験する子としない子で格差が出てしまう、ということも幸いありませんでした。でも仕方なかったとはいえ、この方法が本当によかったのかなぁと、子どもが卒業した今も考えてしまいます…。〔Nさん、子ども14歳〕
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受験がらみの学級崩壊、なかなか難しいですね…対応するほうもさまざまな手法を考えなくてはならなくなってくるようです。保護者もですが、先生も本当に大変だと思います。
「働いて忙しいから学校任せ」ではなく、ほんの少しでいいからできることを
「私は仕事が忙しいから学校生活に関してはノータッチ」ではなく、子どもにそれとなく今のクラスの様子を聞き取ってみたり、チラッと授業を覗きに行ってみてはいかがでしょうか。
年に何度かある保護者会(ほぼ平日)のうち、1回でもいいから出席してほかの保護者と情報交換する、数分の立ち話でいいから先生と会話する。これだけでも充分いろいろなことがわかるのです。もしクラスでなにか起きていたら、得た情報からどうしたらいいか、自分になにができるのかということを考えることができます。
なにかアクションを起こさなくても、知ったうえで見守るということもママの大切な役目。子どもに安定した楽しい小学校生活を送らせてあげるためにも、ママがまずできることをやってみてほしいと思います。