すし銚子丸の人気メニュー「オーロラサーモン」が販売休止→11日後に再開できたワケ 担当者に聞いた

松田 義人 松田 義人

 

ロシア・ウクライナ情勢の悪化が連日報道されています。現地の方々の安否や戦況にまつわる報道が中心である一方、この影響による世界中が受けている経済的打撃についても様々な報道や識者による見解もよく目にします。

身近なところでは、物価の上昇や輸入品の品薄などですが、特に魚好きの人にとって気になるのが輸入魚種が入りにくくなっていることです。特にサーモンは品薄状態が続いており、今後もさらなる価格上昇が考えられるといった報道もあります。

関東圏で91店舗を展開する寿司チェーン『すし銚子丸』でも、一時この事態をそのまま直撃した格好となりました。

 

看板メニューの一つで人気ナンバー2の支持を得ているネタ「オーロラサーモン」の仕入れが一時できなくなり、約11日ほど販売を休止するという事態になりました。十数年間提供し続けたという「オーロラサーモン」の供給がストップし、販売休止に至ったのは今回が初めてとのことですが、販売休止から無事再開に至るまでにおいて、どんな背景があったのでしょうか。今回は『すし銚子丸』担当者に話を聞いてみました。

販売休止に至るも、約11日間ほどで再開できた理由とは

まず、『すし銚子丸』の人気ネタ「オーロラサーモン」の従来の輸入経路について聞きました。

「『オーロラサーモン』は産地・ノルウェーからフィンランドに陸送し、ヘルシンキから日本への直行便で、冷凍せず生のまま空輸されます。北極圏の冷たくきれいな海で育ち、水揚げから36時間で日本に到着する、高品質かつ新鮮なサーモンです。良質の脂がたっぷりのっていながら身の引き締まった食感と濃厚な旨みが評価され、『すし銚子丸』では『まぐろ」に次ぐ人気ナンバー2の看板商品です。

ところが3月4日の日本到着予定分から仕入れが出来なくなり、3月8日にはおおむね全店の在庫が尽き、販売休止をせざるを得なくなりました。急きょ仕入れた国内産の銀鮭などで販売価格を据え置いて代替しました。

ただし、『オーロラサーモン』の提供休止が長引けば、お客さまと私どもだけでなく、生産や流通に関わる全ての人や会社にとっても大きな痛手になる可能性があります。それを避けるために、商売としての採算よりもサプライチェーンを少しでも早く再開することを優先しようと、生産や流通に関わる協力業者との間で話し合いました。これら生産者、貿易会社、卸業者との協力により、ロシア上空を迂回する飛行経路での空輸をいち早く実現させ、3月19日より販売再開にこぎつけることができました。ただし、当面空輸できる量に限りがあり、ご提供は数量限定となることをご了承いただきたく存じます」(『すし銚子丸』担当者)

当面は数量限定&値上げで提供

また、当面は数量限定であることに加え、やむを得ず価格の改訂も行わなければいけない事態にもなったという。

「『オーロラサーモン』のご提供再開にあたり、私どもとお取引先さまで負担を分かちあいましたが、それでもご提供を継続させるためには、値上げせざるを得ませんでした。代替商品については価格据え置きのまま引き続き販売を継続いたします」(『すし銚子丸』担当者)

 

 

 

 

 

「オーロラサーモン」「オーロラサーモン西京炙り」「オーロラサーモン塩炙り」「オーロラサーモンマヨネーズ」は旧価格から60円アップの新価格330円(税別)になりました。また、「オーロラサーモン大トロ」は旧価格から120円アップの新価格450円(税別)になりました。

筆者個人的には、ただでさえ魚類の高騰が続いている中での緊急事態では、やむを得ない値上げであり、いただけるだけでも十分ありがたいと思いました。

今後の見通しはわからない

ただし、ロシア・ウクライナ情勢は収束の気配を見せず、今後の見通しは明るいものとは言えなさそうです。今回は短時間で乗り越えることができた「オーロラサーモン」の輸入ですが、今後はどうなっていくのでしょうか。

「現在のロシア・ウクライナ情勢に関しては、先の見通しが立たたないため、輸入に関しての対策も試みもありませんが、『すし銚子丸』として常日頃心がけていることとしてはお取引先さまとの協力関係を保ち、いち早く情報収集を行い、いち早く判断するように考えています。『すし銚子丸』ではお客さまにご満足いただけるよう、今後も生産者の方々、流通に関わるお取引先さまとともに、より良い商品、より良いサービスをご提供していきたいと思っています。今後ともご愛顧たまわりますよう、お願い申し上げます」(『すし銚子丸』担当者)

結局のところ、ロシア・ウクライナ情勢、あるいはコロナ禍のような不測の事態を前にした場合、そこから先の未来を予測することはなかなか難しいということでした。世界的に広がる和食ブームなどの影響もあり、様々な魚種が諸外国に買い負けてしまっているという今の日本。これ以上、魚の輸入状況や価格に著しい変化が起きないことを願うばかりです。

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