年に1回「春分の日」にだけ運行する京都バス(京都市右京区)の路線のうち、京都市右京区太秦や左京区大原などを走る6路線が、19日のダイヤ改正で廃止された。将来の需要増に備えてほそぼそと維持していたが、「今後も増える見込みがない」として役目を終えた。ファンからは「幻のバス路線」と呼ばれていたが、今年の運行日を前に本当に幻になった。
春分の日に片道1本のみ走る路線は計11あった。いずれも沿線人口が少なかったり近くを別の路線が並走していたりと、需要はほとんどない。しかし一度廃止すると国の認可や住民との調整が再び必要になるため、再開へのハードルは高い。慢性的な運転手不足も重なり、「需要が増えた時にすぐ対応できるように」と維持していた。
2012年に4路線を年1回に変更して以降、同様の路線は年々増えていた。物珍しさから運行日には全国からバスファンが訪れ、1台では乗り切れず臨時便が運行されることもあった。
しかし「年1回は本来の姿ではない」(同社)上に、バス停の道路占有料もかかる。6路線は「今後も増便する見込みがない」と判断し、廃止に踏み切った。
対象となったのは、右京区太秦一ノ井町を経由する63系統や左京区大原の府道草生上野線を通る出庫便、同区岩倉から烏丸通を経由して京都駅へ行く45系統など。年1回しかバスが止まらない9停留所も廃止された。一方、大原と鞍馬を結ぶ95系統や嵐山-高雄パークウエイを走る90系統など5路線は、引き続き毎年春分の日に片道1本だけ走る。
インターネット上ではファンから「ついに運行終了か」「一昨年に乗ってて良かった」などと惜しむ声が上がった。同社は「(年1回にした当初は)ここまで注目を集めるとは思っていなかった。ファンは寂しいかもしれないが、将来のことを考えて廃止した」としている。