コロナワクチン接種の低年齢化が進み、5~11歳の子どもにもワクチンを打つことが認められ、全国的に推奨されています。もうすでに手元に「接種券が届いた」あるいは「もう接種した」「予約した」という方も多いのではないでしょうか。
12歳以上の3回目の接種も徐々に進み、ワクチンの効果が認められつつある一方、「2回接種しても結局罹患した」あるいは「ワクチンの副作用は思い出すだけでも辛い」など、リスクを懸念する意見もあります。わが子の接種となると、自分自身のとき以上に「接種しようか、やめておこうか」と悩んでしまいますよね。5~11歳のお子さんを持つ保護者のみなさんに思いを聞いてみました。
積極的に接種する派
積極的に接種させるというママたちの意見を聞いてみると、その理由は家庭環境やお子さんの健康状態などによってさまざまなようです。
▽集団生活を安心して送らせてあげたい
賛否両論あると思いつつも、学校や習い事などで集団生活を過ごす時間も長い。今後まだまだwithコロナは続くと思われるし、ワクチン「した」「していない」のせいで行動制限されるのはかわいそうなので、受けることにしました。〔Sさん、子ども7歳〕
▽子どもに基礎疾患があるので
子どもは生まれたときから基礎疾患があり、2カ月に1回定期検診を受けています。主治医の先生に相談したところ、「打っておいた方がいい」とのことだったので、予約しました。近日中に接種を受ける予定です。副反応などももちろん心配ですが、注射が大嫌いなので、大暴れで取り押さえるのが大変だろうな~と今から不安です…〔Tさん、子ども5歳・2歳〕
▽1回目の副反応は軽く済んだけど…
国内で10歳未満の子どもがコロナで亡くなったというニュースや、韓国でステルスオミクロンが流行っていて小さい子でも重症化するというニュースなどを見て、「子どもを守るためにも打たせよう」と思い、先日接種を受けさせました。子どもに聞いたところ、打つ瞬間はインフルエンザワクチンよりも重い感じの「ズン」という痛みがあったそうです。副反応は、打った翌日に接種部分とその周りの腕の痛みと、軽い頭痛だけでした。発熱や倦怠感はまったく出ませんでした。とりあえず1回目は無事終了しましたが、2回目をどうしようか…と悩んでいます。〔Iさん、子ども8歳〕
接種はさせない派
副反応が強く出たら耐えられるか心配という不安だけでなく、安全面がまだ信用できないなどの懸念から「打たない」という選択をする方も少なくないようです。
▽どうしても安全面が信用できない
コロナワクチンで亡くなっている人もけっこういるくらいだから、まだ小さい子どもに耐えられるのかすごく心配です。コロナに感染しても重症化する可能性が低い傾向にある子どもには、正直現時点では打たせたくないです。まだまだ安全性の面で信用できません。〔Oさん、子ども6歳〕
▽自分の副反応があまりにも辛かったから
私も主人も2回目のときの副反応がひどく、2人とも起き上がれないほどの高熱と頭痛が2日間続きました。若い人のほうが副反応が強く出ると聞くので、娘が打ったらどんなひどい副反応が出るんだろう…と思うと、受けさせる勇気が出ません。(私の)母からは、「打たないの?」と何度も言われ、それもストレス。〔Mさん、子ども6歳・4歳〕
▽注射嫌いでとても無理
注射のたびに毎回大暴れ、大泣き。終わった後も泣きじゃくる…これまでの予防接種やインフルエンザワクチンも親子で疲弊しまくりだったので、あと2年くらいは無理かな、と思っています。それまでにもっとコロナが弱毒化し、経口薬も出て風邪レベルになってくれることを願っています。〔Yさん、子ども5歳〕
今はまだ様子見…もう少し見送りたい派
小児接種の副反応の実態がわからない、数年後どんな後遺症が出るかわからないという将来的な不安から、今は様子を見たい、あるいはもう少し見送っていろいろなことがわかってから、というママたちの意見もありました。
▽データがなさすぎる
これまでのニュースや周りの人の話を聞くと、やはり若い人ほど副反応が強く出ている気がします。子どもが打ったら、いったいどうなるのか…まだ5歳になったばかりで、自分の体の状態をうまく説明できない年齢。何かあってもわからない場合もあるし、現段階で検討するほどの情報がないので、今は見送ろうかと思っています。〔Aさん、子ども5歳〕
▽将来への影響が怖い
子どもの体はまだまだ未発達なので、接種することで何か反応が出て、成長や健康に支障が出るのが怖いです。まだ10歳にもなっていないし、初潮も迎えていないし、将来出産や妊娠に影響が出たら…と不安なので、もう少しいろいろなことがわかるまで様子見するつもりです。ちなみに15歳の長男は、部活などの関係や本人の希望で2回接種済み。2回目に微熱や倦怠感の副反応が2日間ほど続きましたが、その後はケロッとしていました。〔Uさん、子ども15歳・9歳〕
▽夫婦で考え方が違うため
私は受けさせたいと思っていますが、主人は「もう少しいろいろわかってくるまでやめておいた方がいい」という意見。夫婦で意見が割れているのに、無理やり受けさせるのも良くないし、今は大人がワクチンを打つことのほうが先決かな、と様子見中です。〔Hさん、子ども8歳・6歳〕
疑問があればかかりつけ医に相談を
まだ始まったばかりの5~11歳(小児)へのコロナワクチン接種。どんな副反応が出るのか、どの程度効果があるのかなど、わからないことだらけの中「打たない」選択をする人や、不安だけど「打つ」という方へ、厚生労働省が発表しているQ&Aをいくつか紹介します。
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Q:小児接種はどのような効果がある?
A:現在、5~11歳を対象に使用できるワクチンはファイザー社のワクチンです。日本では令和4年1月21日に薬事承認されています。これまでの臨床試験から、5~11歳でも、16~25歳と同程度に抗体価が上昇し、有効性が評価できるとされています。
Q:接種する量や回数は?
A:小児接種の有効成分の量は、12歳以上で接種する量の3分の1になります。接種回数は12歳以上と同様、3週間の間隔で2回接種します。なお、5~11歳用のワクチンは、12歳以上で使用するワクチンとは別製剤です。これは、小児専用の製剤として濃度が調整されており(12歳以上の製剤の半分)、1回量を正確に採取することができるようになっているためです。
Q:考えられる副反応や親が気をつけることは?
A:ワクチン接種後数日以内は、接種部位の痛みや倦怠感、頭痛、発熱などの副反応がみられることが多いため、このような症状に注意しながら過ごす必要があります。また、ワクチンの効果は100%ではないため、接種後もマスクの着用や手洗い・消毒の励行など、基本的な感染対策の継続をする必要があります。なお、副反応がない場合は接種の翌日の登校や登園は可能ですが、過度な運動は避けたほうがいいでしょう。
Q:小児接種は「努力義務」が適用されていないの?
A:接種の努力義務とは、「接種を受けるよう努めなければならない」という予防接種法の規定のことです。小児接種については現時点において、オミクロン株に対するエビデンスが確定的でないことも踏まえ、努力義務の規定は適用せず、今後の科学的知見を踏まえ、改めて議論することが適当であるとされました。
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子どもは大人より重症化しにくいというデータは出ているものの、「感染すると重症化して後遺症が残るかもしれない、ワクチンを打った方が重症化を防げるのはわかっているけど」という思いと、それに反して「子どもにワクチン接種をさせて後遺症や重い副反応が出たらどうしよう…」というダブルの不安や悩みが、接種の迷いにつながっているのだと思います。
5~11歳という低年齢の接種は、「受けさせる」も「受けさせない」も、あるいは「今は様子見」も、親の理解や判断にゆだねられます。
自分のこと以上に思い悩んでしまいがちですが、周りやネットに振り回されすぎず、子どもの健康状態や必要性を考え、疑問があればかかりつけ医に相談するなど、正しい情報(まだまだ少ないですが)を得て判断していきたいですね。