「えっ、ダム!?」マニアの無茶ぶりにベテラン職人も耳を疑った ダム再現したバースデーケーキが話題

金井 かおる 金井 かおる

 あるTwitterユーザーが地元のケーキ店に注文した、ダムの形の誕生日ケーキが話題です。「自分の無茶を実際に形にしてくれたケーキ屋さん、本当に凄いなぁ。もはや芸術品の域!!」と写真を公開すると、「すごすぎる」「ケーキ屋さんすごい」「これはうれしい」「ほぼジオラマ」「クオリティ高い!」など、驚きの声が上がっています。オーダーした人 とケーキを作った職人さんに話を聞きました。

「まさか立体のダムのケーキだとは」

 ダムのケーキをオーダしたのはTwitterユーザー「MD@どぼく」さん(@doboku_MD)。4歳の頃、初めて見た揚川ダム(新潟県)の迫力に心動かされダムのとりこになります。全国のダム巡りにとどまらず、学生になった現在は「全日本青少年学生ダム学会」を立ち上げ、仲間たちと交流を続けています。

 MD@どぼくさんとダムケーキとの出会いは約10年前までさかのぼります。まだ子どもだったMD@どぼくさんは、ある年の誕生日に家族からケーキは何がいいかと尋ねられ「ダムのケーキがいい!」。誕生日当日、目の前に現れたのは黒部ダムそっくりのケーキ。「まさか立体のダムのケーキだとは思っていなかったので驚きました。同時にとてもうれしかった記憶があります」

 その後も注文を続け、「回数を重ねるごとにダムのクオリティーも高くなっていて、本物そっくりのディテールやデザインに感動です」。

職人人生初の注文に困惑「ダムってどうやって…」

 ダムのケーキを手掛けるのは、新潟県で60年以上営業を続ける洋菓子店「甘美屋(あまみや)」(新潟市中央区女池)の二代目、笹川利信さん。37年のベテランケーキ職人ですが、ダムの注文は初めてでした。

 「最初は『えっ、ダム!?』と聞き返しました。ダムのケーキだなんて見たことも聞いたこともなかったので。ダムってどうやって作ったらいいんだろうと悩みました」

 これまでに作ったのは黒部ダム(富山県)、加治川治水ダム(新潟県)、丸山ダム(岐阜県)、鳴子ダム(宮城県)の4種。全てMD@どぼくさんからの注文です。

 注文が入るとダムの写真と首っ引き。「私はダムには興味がないので、毎回ダムの特徴をつかむのが一番難しいです。いろんな角度からの写真を見てアイデアを練ります。実際にケーキを作る時間は1、2時間ですが、構想には1週間ぐらいかかります」

 材料は生クリーム、生チョコクリーム、イチゴ、クラッシックショコラ、抹茶カステラ、アーモンドチョコ、ゼリーなど。「ダム本体の見えない部分はスポンジケーキ、生クリーム、イチゴを通常のショートケーキのように重ねています。コンクリートは色の薄いチョコ生クリームです。放水の様子はゼリーのかたまりを作り、削りながら形にし、粉糖をかけています。細かいパーツは粘土のように細工出来るプラスチックチョコレートを、周辺の木は抹茶のカステラをそれっぽくちぎってのせました」

 普段のケーキ作りとは勝手が違うようで「部品を作って組み立てていく感じです。ダムケーキだけは形が最優先で、味は二の次です」と笑います。その分、完成時の達成感も大きく「完成した瞬間は本物のダムを作り上げたような感覚です。喜んでもらえてたらいいんですが」。

今年の新作、モデルはどこのダム?

 あらためてMD@どぼくさんに、甘美屋の笹川さんへの思いを聞くとこんな答えが返ってきました。

 「無茶ぶりにもかかわらず、本物そっくりのとてもクオリティーの高いダムのケーキを作ってくださる甘美屋さんに大変感謝しています。味は甘さ控えめでとてもおいしく、家族一同いつも絶賛しています。また今年もよろしくお願いいたします」

 笹川さんは現在、MD@どぼくさんからとあるダムの写真を受け取り、デザインの真っ最中なのだとか。完成は4月の予定。無事に受け渡し後、店のインスタグラムにも写真をアップするそうです。今年はどんなケーキが出来上がるのでしょうか。

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