「エビフライ1本のみで勝負してる公園、気に入ってる。」
1月下旬、Twitterでそんな投稿が話題になりました。添付された画像には、公園の隅にぽつんと鎮座する、まさに“エビフライ”としか呼びようのない遊具がひとつ。どこか哀愁すら感じさせるシュールな光景に「かわいい」「笑った」などの反響が相次ぎましたが、中には「うちの近所にもあります」「エビフライじゃなくてハチなんですよこれ」という気になるリプライも。投稿主のshimizuさん(@shiroiinu432)と、開発した遊具メーカーに取材しました。
shimizuさんによると、これは都内某所にある公園。「私は時々ベンチで一休みする程度ですが、普段からあまり人がいなくて、この遊具で子供が遊んでいるのも見たことがありません」と笑い、「『もしかしたら昔はいろんな遊具があったのに、時代の移り変わりで安全なエビフライしか残らなかったのかな』など、いろいろ物語を想像してしまいます」と話してくれました。
「エビフライと言われたらニヤニヤしちゃう」
このエビフライ遊具を開発したのは、コトブキ(東京)。遊具のほか、ベンチや駅前にあるサインなど都市景観事業を幅広く手掛けている会社です。エビフライ遊具の正式名称は「ハニー」。冒険好きなミツバチをイメージしてデザインされたといいます。
開発当時(2003年)の責任者で、現在は営業本部都市環境開発部の部長を務めている上野山直樹さんに話を聞くことができました。
—「ハニー」が注目されています。
「ありがたいことに、たまに話題にしていただくんですよ。今回も『あ、まただな』と思いつつ、やっぱり嬉しいですね」
—ハチがモチーフなのにエビフライと呼ばれることについては、実際のところどう思っているのでしょう。
「もともと抽象的な遊具を目指して作ったので、エビフライだと言われたら『まあ、そうかもしれないですねえ』とニヤニヤしてしまいます」
—とはいえ、実は社内でもエビフライと呼んでいたりするのでは?
「いえ、私たちは昆虫(ハチ)だと思い込んで開発していましたので、エビフライだなんて少しも頭にありませんよ(笑)」
—では「エビフライ」と投稿した人に言いたいことは。
「遊具は楽しんで使っていただくのが一番。子供は実際に乗って動かして、大人は今回みたいに『エビフライに見える』なんて言いながら笑って、末永く愛してください」
◇ ◇
2003年度のグッドデザイン賞を受賞した「ハニー」以外にも、このシリーズには青い「ビー」(カブトムシ)、ピンクの「ハッピー」(チョウチョ)、緑の「ホッパー」(バッタ)がラインナップされています。それぞれモチーフにしている昆虫はいますが、「自由に想像しながら遊んでもらいたい」という思いもあって、リアルな造形にはしていません。「従来の遊具にはなかった新しい色と形が特長です」と上野山さんは胸を張ります。
ちなみにコトブキは2年前、昆虫や動物をモチーフにした自社の遊具を「公園に住んでいるふしぎないきもの図鑑」という冊子(非売品)にまとめています。全14種類のレア度や簡単な説明文などを掲載しているのですが、「ハニー」の欄にはなんと「エビフライと間違えないでね!」という一言が。上野山さん、御社もやっぱり自覚があるのでは!?
「いや、これはここ数年、名古屋を中心に“エビフライ説”がかなり広まっていたので、それを踏まえてのことなんです」
エ、エ、エビフリャー!!!