弟や妹に「好きなクレープ頼んでいいぞ」→「50円足りない!」お兄ちゃんのピンチを救った店主の魔法

金井 かおる 金井 かおる

 あるクレープ店の店頭で起こった、小学生3きょうだいと店主の心温まる交流が話題です。店主が自身のTwitterで紹介すると、投稿は瞬く間に拡散。「すごくいい話」「ジンとくる」「泣いてしまう」「心洗われる」などの声が寄せられています。投稿した店主に話を聞きました。

弟と妹に好きなクレープを選ばせ、自分は…

 3月上旬のある日。埼玉県飯能市内で営業中だった移動クレープ店「COTORIDO(ことりどう)」に、小学6年生ぐらいの男の子が小学校低学年と思われる弟と妹を連れて訪れました。

 「おまえら好きなの頼んでいいぞ」

 兄のひと言に、弟と妹はそれぞれトッピングを目一杯にのせたクレープを注文。しかし兄が手に握っていたのは千円札2枚のみ。予算内に収めるため兄は下の2人よりも控え目なメニューを選びましたが、お会計をすると50円の予算オーバー。

 見かねた店主、Twitterユーザーの「SRコブラP」さん(@mobamasuP)はひと肌脱ぐことに。

 「お兄ちゃん困ってたからもちろん50円は魔法で消してあげたし、お兄ちゃん立派だったからリンゴ乗せてあげた。商売人としては間違ってるけど日本人として正しいことをしたと思ってます」(SRコブラPさんTwitter投稿より引用)

店主「お兄ちゃんを認めてあげたかった」

 3きょうだいの行動を間近で見た店主に話を聞きました。

 ──面倒見のいいお兄ちゃんが話題です。

 「小さい弟と妹を連れて来店して、クレープメニューも弟妹に説明して、立派にお兄ちゃんという仕事をやり遂げていました」

 ──弟と妹のトッピングで予算オーバーを。

 「当店の従来のメニューですと、一番高くても600円ですので、3本オーダーをしても1800円で絶対に足ります。全てのクレープにプラス300円で、埼玉県入間市内で朝摘みした『あきひめ』という品種のイチゴと、サービスでチョコを乗せています。弟と妹は2人ともトッピングをプラスしたので、2人分だけで1500円になりました。お兄ちゃんはカスタードクリームとチョコソースとチョコチップが乗った『カスタードダブルチョコ』550円をオーダーし、3人分の合計は2050円になり、手持ちの2000円をはみ出てしまいました」

 ──オーバーした50円は「魔法で消してあげた」と。

 「私は赤の他人ですがお兄ちゃんを認めてあげたかったんです。よくやったと。お兄ちゃんの気持ちを考えたら、いろいろと妥協して選んだクレープでさえ50円足りなくて買えないという結果はあってはならないことでした」

 「当店はキッチンカーです。営業先は固定ではありません。このお兄ちゃんが当店に来店したきっかけはきっと、学校の帰り道に当店を見つけて、家に帰って家族に報告して、クレープ代金の相談をしたり、自分のポケットマネーと相談したりなど、いろいろな決断をして来店してくれたんだと思います。そんなお兄ちゃんに成功体験をさせてあげたいと強く思いました」

 ──注文後の3人は。

 「まず弟がクレープを受け取ると、お兄ちゃんから先に帰ってていいよと促され、1人で駆け足で帰りました。妹とお兄ちゃんは手をつないで、次のクレープの出来上がりを待っていました。クレープを受け取ると『ありがとうございます!』と元気にあいさつをして、2人で帰っていきました」

ネット「私が代わりに代金払いたい」

 Twitterでは店主の粋な計らいに対し「商売人としても間違ってない」「その代金、私が代わりに払いたい」「魔法が使える店員さんでよかった」「やさしさをトッピングしたんですね」などの声が上がっています。

 同店のクレープは、おかず系とスイーツ系で生地を使い分けるなどこだわりがあり、「保存料・着色料不使用。薄く白くパリパリサクサクの生地が特徴です」。1番人気のメニューは「カスタードダブルチョコバナナ」(600円)。焼きそばとマヨネーズ、卵を使って大阪をイメージしたおかずクレープ「なんば」(550円)も人気。営業スケジュールや出店場所などは、お店のホームページ(http://cotorido.com)で確認を。

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