大阪のソウルフード「粉もん」のひとつである「いか焼き」。他の地方でイメージされるイカの姿焼きとは別ものです。なかでも、百貨店「阪神梅田本店」(大阪市北区)で長年愛される「いか焼き」はコロナ禍前には1万枚以上が売れる日もあり、行列の光景は関西人にはおなじみです。
この「阪神名物いか焼き」は、小麦粉とカットしたイカ、秘伝のダシを混ぜ合わせて作られ、専用鉄板で挟み一気に焼き上げることで、生地はもちもちに。控えめに特製ソースを塗れば完成で、シンプルな食材と調理だからこそ、歯ごたえのあるイカの食感や旨みが際立ちます。
これまでは同百貨店のフードコート「スナックパーク」での立ち食いやテイクアウトとして親しまれてきましたが、1月29日にこの名物を存分に味わえるお弁当が登場。地階の食品フロア内で購入できる「いか焼きのっけ弁当」(864円・ミニは594円)です。連日完売が続くほど好評とのことで、開発過程や反響について、担当者に話を聞きました。
「白ご飯といか焼きを試してみたのですが…」
――このお弁当を開発したきっかけは?
お弁当を目的にお越しになるお客さまの多いエリア「惣菜ワールド」への出店が決まり、試作を始めました。「粉もんをおかずにご飯を食べる」習慣は関西特有ですよね。お好み焼きやたこ焼きはテレビなどでよく取り上げられていますが、いか焼きはあまり聞かないのでうまく完成できれば、おもしろいものになるのではないかと。
――なるほど。関西ならではの発想ですね!
「いか焼きとご飯」ってどうなんだろうという興味が大きかったように思います。まずは白ご飯といか焼きを試してみたのですが、イマイチだったのには皆で笑いました。全くダメといった感じではなく、思ってたのと違うといった感じなのですが「いか焼きをおかずにご飯」をあまり聞かないことに納得…。お弁当の完成が難しくなった瞬間でもあります。
――その後、どんな工夫をされたのですか?
ご飯にもいかをトッピングし、ひじきの炊き込みご飯にすることで相性がよくなりましたね。
――いか焼きがどーんと乗った見た目は、インパクト大ですね。
通常よりミニサイズの5種をのせました。「いか焼き」以外にも、卵入り「デラバン」、しょうゆ味「ネギいか焼き」、卵とネギ入りしょうゆ味「和風デラ」、ポン酢味の卵入り「デラポン」と一度にたくさん味を楽しめますよ。
――これまでのお客さんの反応はいかがですか?
SNSなどで掲載されたものを見てお越しになったお客さまもおられ、ありがたいことに製造したものは完売しております。お弁当という初の試みに興味を持っていただけてちょっと安心しております。
――以前から「いか焼き」はオンライン販売もされていますが、コロナ禍で変化は見られましたか?
百貨店や「スナックパーク」の休業で、売場で買えない期間は特に増えていました。帰省が減った影響なのか、府外の方への贈り物としてのご注文も増えたように思います。
――最後に、今後にむけてメッセージをお願いします!
「いか焼きをおかずにご飯」が「いか焼き」のように愛されるものになれるとうれしいです。「いか焼きのお弁当? これはあたりまえやん、普通やで」って言ってもらえる日を夢見ています! 100年後にも残したい大阪の味「いか焼き」を末永くどうぞよろしくお願いいたします。
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「いか焼きのっけ弁当」の販売は地下1階「惣菜ワールド」内「阪神名物いか焼き」店舗のみ(「スナックパーク」での弁当販売はなし)。同百貨店は約8年の建て替えを経て、4月6日に全館グランドオープン。「食の阪神」と称されるだけに、グルメの新展開も楽しみです。
【阪神梅田本店】公式サイト
https://www.hanshin-dept.jp/