「正社員が不足している」企業は約5割 最も足りない業種は「情報サービス」

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帝国データバンクが行った「人手不足に対する企業の動向調査」によると、企業の約5割が「正社員が人手不足」と回答しており、正社員が最も不足している業種は「情報サービス」だったそうです。調査は2022年1月に、全国2万4072社を対象に行われ、有効回答企業数は1万1981社(回答率49.8%)でした。

「現在の従業員の過不足状況」について聞いたところ(「該当なし/無回答」を除く)、「正社員が不足している」と回答した企業は47.8%。この割合は前年同月と比較して11.9ポイント増えており、新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた2020年2月と同水準まで上昇していたといいます。一方、過不足状況が「適正」と回答した企業は42.0%(同4.5ポイント減)、「過剰」と回答した企業は10.3%(同7.3ポイント減)とそれぞれ低下していたそうです。

「正社員が不足している」企業を業種別にみると、1位は「情報サービス」(65.7%)で、2位以下は「飲食店」(65.1%)、3位「建設」(62.6%)、4位「メンテナンス・警備・検査」(60.8%)、5位「農・林・水産」(60.6%)と続きました。

IT人材の不足が問題になっている「情報サービス」の企業からは、「ビジネスアプリケーション制作の案件が増えてきているが、1つの案件が1~3年程度のスパンであるため、人手不足で仕事が取れないことが多い」(ソフト受託開発)など、人手不足の背景に開発期間の長さなども要因としてあげられているそうです。

また、職人の高齢化など人手不足が続いている「建設」の企業からは、「引合いの減少や材料の高騰、人手不足などを実感している」(一般土木建築工事)、「資材、人手不足に加えて、仕事の件数もほとんど無い」(信号装置工事)など、人手不足だけでなく、ウッドショックやアイアンショックなどによる建材の不足も業務に影響を及ぼしているといいます。

また、「非正社員が不足している」と回答した企業(「該当なし/無回答」を除く)は28.0%(前年同月比8.9ポイント増)となりました。正社員の人手不足割合と同様に、2020年2月を上回る水準まで上昇しているそうです。過不足状況が「適正」と回答した企業は63.2%(同2.1ポイント減)、「過剰」と回答した企業は8.7%(同6.8ポイント減)となり、それぞれ低下したといいます。

「非正社員が不足している」業種をみると、1位は「飲食店」(76.6%)で、2位以下は「人材派遣・紹介」(51.7%)、3位「娯楽サービス」(50.8%)、4位「飲食料品小売」(49.4%)、5位「旅館・ホテル」(47.6%)などが上位に並ぶ結果になりました。

唯一、7割以上の企業で非正社員が不足していると回答した「飲食店」からは「人手不足がどんどん加速している」(中華料理店)といった声があげられたといいます。また、「人材派遣・紹介」は、足元で5割を上回る水準で推移。「オミクロン株の影響はまだなく、派遣需要は旺盛。ただし、人手不足は変わらないため、採用コストは上昇傾向」(労働者派遣)、「人手不足は当社にとってはチャンスである」(民営職業紹介)といった声が聞かれたそうです。

さらに、「仕事量自体は大きく落ち込んではいないが、新型コロナウイルスの影響により、技能研修/実習生の入国が叶わず在籍人数が半減しており、人手不足により混乱が生じている」(普通倉庫)、「縫製工場は、その縫製工員のウエイトを技能研修/実習生に依存している実情のなか、受入れが停止しているために生産力が激減しており、注文があっても受けられない」(成人女子・少女服製造)など、業種によっては海外からの技能研修/実習生の入国制限による影響もみられるといいます。

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調査を実施した同社は、「今後はこうした人手不足や、さらに原材料の不足・価格高騰などが企業の供給制約となり、国内景気の下振れリスクとなる可能性が高い。企業においては、賃金改善だけでなくDX(デジタル・トランスフォーメーション)へ取り組むことで、人手不足を解消していくことが求められる」とする一方で、「企業はDXに取り組むうえで『対応できる人材がいない』ことを課題にあげている。人手不足が進むなか、DXに対応できる人材をいかに採用・育成していくかが、今後の人手不足解消のカギとなろう」とも述べています。

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