「待ってたぜェ‼ この瞬間(とき)をよォ‼」。ここでピンと来た方は、1991年~97年に「週刊少年マガジン」で連載され、シリーズ累計3000万部を突破したヤンキー漫画の金字塔「疾風(かぜ)伝説 特攻(ブッコミ)の拓」をお読みになっていたはずです。この作品の続編「疾風伝説 特攻の拓 ~After Decade~」が、2月18日発売の連載誌「月刊ヤングマガジン」で最終回を迎えました。このニュースがネット上を駆け巡ると、結婚式で招待客を出迎えるウェルカムボードがTwitter上に投稿されました。これは…魍魎(もうりょう)の九代目統領、武丸(たけまる)がツルハシを手にバイクで現れる名シーン! なのにこれ、新婦が花束を持ってますが…。投稿した新郎のマキ(@toubunmasimasi)さんに聞きました。
コロナ禍で式が延期→「待ってたぜェ‼この瞬間をよォ‼」
ーーマキさんは「特攻の拓」世代なんですか?
「世代とは少しずれていると思いますが、30代前半です。高校で『特攻の拓』に出会った時にはすでに完結しておりました」
ーーなぜ武丸の登場シーンをウェルカムボードに使ったんでしょう? ずっとあたためていたネタだったんでしょうか?
「初めから親族側や会社関係者を置き去りにしても、自分達のやりたい事をやる楽しい結婚式にしようと考えていました。式がコロナ禍で延期に延期を重ねて1年半ほど延びてしまっていたことや、ちょうど新婦が単車に乗ることもあって、自分の好きな『特攻の拓』のこのシーンがぴったりだなぁと思って選びました。ずっと温めていたネタではなく、結構ギリギリまで何が面白いかで悩んで出てきました」
ーーいらすとやの素材を使ったとはいえ、シーンの再現度といい、ツルハシを花束に持ち替えるなど芸が細かいです。制作にはかなり手間がかかったのでは?
「延期、延期で準備期間は山ほどあったのですが、新郎新婦共にギリギリまで動き出せないタイプで、時間がほとんどなかったので、データだけで言えば数時間で作ったと思います」
家族で行く飲食店で特攻の拓と出会う
ーー高校時代、既に連載が終わっていた「特攻の拓」と出会ったきっかけは何だったのでしょう?
「家族でよく行く近所の居酒屋さんに置かれていたのを読んだのが最初だったと思います。バイクが好きで、バイクのよく出てくる漫画を好んで読んでいたので」
ーーところで結婚式の写真を見ると、新婦さんが刀を持っていますが、これはどういうシチュエーションでしょうか?
「抜き身で刀を持っている黒い振袖を着ているのが新婦です。私も妻も『刀剣乱舞』という作品が好きで、それにちなんだ演出ですね。新婦の本丸より2人の刀剣男士がケーキ入刀用の刀を持って駆けつけ、帯刀している加州清光を渡したシーンです」
ーー一応確認なのですが、新郎新婦とも暴走族に入っていたとか、暴走行為をしていたわけではない?
「残念ながら2人とも一般人に擬態しているオタクでした。式は2人の好きな事を詰め込み、ウェルカムボードは完全に私の好みで作ったものです」
新婦は漫画未読「なぜ花束から火花が出てるの?」
ーー奥さんはこの武丸ウェルカムボードに反対されなかったんですか?
「妻から特に反対という反対はなかったです。妻には『特攻の拓』を何度か薦めましたが未読で、『なぜ花束から火花が出ているのか』など聞かれはしましたが」
特攻の拓の根強い人気を実感
ーー結婚式では招待客にスルーされたウェルカムボードがTwitterで反響を呼んでいます。
「当日も式後も、ウェルカムボードについて触れてきた人が全くいなかったので、供養から始まった投稿でここまで反響があるとは思わず、『特攻の拓』が本当に色々な方に愛されているとあらためて知ることができました。『特攻の拓』といらすとや様のイラストのポテンシャルの高さのおかげで、たくさんの方から反応をいただけて本当に嬉しいです。今となっては、ウェルカムボードの印象が薄れちゃうくらいの式ができたって事かもしれないな、とも思っています」
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確かに新婦が日本刀を持つなど、式の内容が濃かったので、ウェルカムボードのインパクトが薄れたのかもしれません。元ネタが分からない方は不運(ハードラック)と踊(ダンス)っちまってるので、ぜひ原作をお読みください。