五輪メダリストのこだわりクレープ店が京都に 客の要望をしっかり「レシーブ」

京都新聞社 京都新聞社

 ロンドン五輪銅メダリストの元女子バレーボール選手、佐野優子さん(42)が、京都市右京区のJR嵯峨嵐山駅近くでテークアウト専門のクレープ店を開いている。生地やクリームにこだわり、店の雰囲気もかつて所属チームのあったフランスの建物を意識した。「自分が納得できるようなお店を追求したい」と、現役時代さながらの熱意を見せている。

 佐野さんは北嵯峨高(右京区)出身。身長159センチと小柄ながら、相手が打ち込むコースを予測する読み能力と屈指のレシーブ力で、国内外のリーグで活躍。守備の要リベロとして長年、日本代表チームを支えた。五輪には2008年北京と12年ロンドンに出場、ロンドンでは28年ぶりのメダル獲得に貢献した。15年の引退後は、解説や講師として活躍している。

 「いつかクレープの店を開きたい」。子どもの頃からクレープ好きで、現役時から思いを秘めていた。転機となったのは、新型コロナウイルス禍。20年春以降、バレーボール関係のイベント中止が相次ぎ、「自分のやりたいことを考える時間が増えた」といい、開店への思いを強くしていった。

 店は住まいのある嵯峨嵐山駅界わいを選んだ。開店までに京都市内のガレット店で調理を経験し、生地の作り方や具材の盛り付けも学び、昨年10月末にオープンした。カウンターには、小さな水色の木製扉を取り付けた。04年~06年にフランスのチームに所属した際、何度か訪れた町にあったベランダ部分をイメージした。

 メニューはイチゴやクリームを使ったスイーツ系から、ベーコンやカレーのお総菜系まで約10種類。バターと卵をふんだんに使った生地は、もちもちとした食感が特徴という。お総菜系用の生地は、小麦粉の配合を変えるなどして、パリッとした食感に。クリームは甘さを抑え、あっさり食べられるよう心がけた。

 妹の真実さん(39)と接客や調理をこなす。客足は好調で、1日100個以上が売れる日もある。

 1番人気の「抹茶ブリュレ」を手に持ち、カウンターの前で記念撮影する客もいる。現役時は体調管理の一環で、「甘い物を控えることもあった」という佐野さん。現在は、味見をすることも多く、「毎日クレープが食べられて幸せ」と笑う。

 店名の「PETIT BONHEUR(プティ ボヌール)」は、フランス語で「小さな幸せ」という意味。佐野さんは「お店の名前通り、クレープを食べた方に少しでも幸せな気持ちになってもらえればうれしい」と話す。

 JR嵯峨嵐山駅から徒歩1分。正午~午後6時。不定休で、営業日は店のインスタグラムアカウント「@petit_bonheur_arashiyama」で告知している。

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