4月の入学式を控え、学校で必要な文房具や物品の確保に駆けずり回る母の気持ちを代弁する投稿がSNSで話題となりました。
「去年から思ってたけど小学校の入学前に準備しとくものとか、給食用ランチョンマットや手提げカバンのサイズって機密情報なの?機密情報じゃないなら前年度の10月頃からネットにアップしときゃよくね?なんで入学前の説明会のプリント手渡し限定なん?その公式HPはただの飾りか?」
こちらをツイートした現在小学1年生の男の子を育てるはたらきあおむしさん(@CaterpillarWM)と現役の小学生の先生でもあるエイさんにお話を伺いました。
コメント欄には、「まだ機密情報が手に入らないです」「とりあえず、ランドセルと大量のお名前シールだけは買いました」「ギリギリだから、お店何軒も回らないといけないし店頭から物がなくなるなんて事態になる」「20年前と今の状況変わってないのが不思議です」「先生達は頑張ってくれている、卒業生対応と新入生対応、その他の在校生対応…他にもいろいろと。手が回らないんです」「教員の手も足りず、ギリギリです」などさまざまな声が殺到。
急いで小学校入学の準備をしなければいけなかった、はたらきあおむしさんの当時の思いはどうだったのでしょうか?
去年の苦労を思い出して投稿
――「首がもげるほど頷きました」「昭和で時が止まっています」など、現役ママから育児を終えた保護者までがあふれる思いを吐露しています。
「まさか、こんなにバズるとは!と驚いています。Twitter上で、4月から小学校入学を控えた保護者の物品準備の大変さを何件か見て、そういえば去年自分の時はこうだったな、ということを思い出して、つぶやいたんです。幅広い世代の方から共感のコメントもいただいて、それだけ学校独自の“変わらない”文化が続いているのだなと感じました」
――ママ友ネットワークを活用したり、ネットで検索したり、果ては自治体の教育委員会に問い合わせたり、情報集めから苦心していらっしゃいますよね。
「そうですよね。私も、去年の入学準備では、Twitterの#2mam_QAというタグで質問投稿して、ママ垢さん達に入学前の必要な情報を教えてもらいました。それと保育園が一緒のママさん(すでに上の子が小学校にいる)に前年度の入学のしおりを見せてもらうこともありましたね」
――「3月の入学説明会でロッカーに入るランドセルのサイズを…って言われて、え?ってなった」といったコメントもありましたが、はたらきあおむしさんは去年の物品準備で「これは困った」と頭を抱えたエピソードはありますか?
「入学説明会(2月)の会場で文房具を一式買ったのですが、鉛筆は3本入りでした。ところが、入学式の日に「鉛筆は5本持ってきてください」と言われて…。慌てて買いに行ったのが思い出です。でも、よくよく考えたらいきなり授業で5本使うことなんてないので、次の土日にでも買いに行けば良かったんですよね。保護者としては小学校初心者なので、“学校の言うことは絶対!”と思い込んでしまいました」
――今は、コロナ禍で先生も通常以上に忙しいでしょうし、なんでもかんでもモンスターペアレンツと言われそうで、質問もしづらいですよね。
「そうなんです。でも、コメントの中に、教員をされている方が“とてもそこまで手が回せないのが現状だけど、改善できないかトライしてみよう”と書いていらしゃって、無理、と最初からあきらめモードになるではない姿勢に、前向きで素敵だなと思いました」
この投稿をきっかけに、はたらきあおむしさんは、学校現場のリソース不足やITリテラシーの格差など、思ったより根が深い話だと感じたそう。学校の先生エイさんにも現場の事情について伺いました。
「保護者からの声はよりよい学校づくりに貴重です」
――エイさん(@zikatu1)は現役の小学校の先生なんですね。はたらきあおむしさんのツイートは、どのように感じましたか?
「たしかに!と思いました。保護者側の意見って、言われて気づくことほんとに多いです。学校の準備物はこまごまと多岐にわたります。集めるのは大変なのに、配慮が欠けていたと反省しました。すぐにでも本校のHPにも載せようと思いました!」
――学校で使用する文房具や物品って、毎年そんなに大きな変更があるものではないか、それなのになぜいつも直前に情報公開になるのだろう?という類のコメントも多く見られました。
「私が勤務する学校では、準備物については例年踏襲の流れです。毎年変わる物でもないので、昨年度の資料を使っています。というより、毎日が自転車操業なので、“あっ、そろそろ入学説明会の時期か。去年の資料はどこだっけ”という感じです。時期が来ないと、そこまで考える余裕がないという問題も。だから、情報をお届けするのが遅くなる大きな理由はないと思います」
――物品については、学校で決めているということですか?
「学校で必要なものは、各校で決定できます。ある程度、自治体で合わせている物もありますが、校内で協議し、OKがでれば校長判断で変えることも可能です」
――プリントだけではなく、HPに載せたらどうか?というお知らせ方法についての提案も。
「教員はHPの活用に疎いというか、伝え方に気づいてないというか、その方法があったか!と思いました。「お知らせはプリント」というこれまでの伝達手段からアップデートできていないだけなんですよね。海外の日本人学校のホームページには、新入生が必要なものをまとめている学校もあるので、今後はそうしたHPの活用を参考に、保護者の負担を減らしていくことが大切だと思います」
――エイ様ご自身、保護者からこのようなご意見やお願いを直接されたことはありますか?
「ないですね。保護者の方は、こんなこと言ったらクレームになってしまうのでは?と、遠慮してしまうのでしょう。でも、実際、保護者の方からの視点ってすごく大事だと思いますし、それでよくなることも多々あります。学校側に余裕と予算がなく実現できないこともありますが、学校づくりを一緒に考えていけるパートナーでありたいと考えています」
はたらきあおむしさんのツイートのコメント欄には、「次回から罫線の数が変わるノートが必要などはできるだけ早く教えてほしいと1年生の担任に言ったら、毎月のお便りに、『算数のノートは次から~です』と載るようになった」との経験談もありました。
お互いにコミュニケーションを取って、ともに手を取り合い、子どもたちを育て支えていければ良いですよね。
■はたらきあおむしさんTwitter https://twitter.com/caterpillarwm
■エイさんTwitter https://twitter.com/zikatu1/
■エイさんnote https://note.com/zikatu/