ある小学校の給食14分ルールが議論を呼んでいます。その名の通り、給食を14分で食べる、というものですが、きっかけとなったのは、医療従事者のprimroseさん(@primros25168558)のTwitterへの投稿でした。
いわく、「子供の小学校、マスクを15分外すと濃厚接触者になるため、給食を14分で食べるルールになった。先生がタイマーをかけ、14分経ったらおしまい…。 そんなことをするなら、一人一台のタブレットでオンライン授業に切り替えたらいいのに」。確かに「なんでこんなことをするのか」と思うのも無理はありません。
リプライには、「給食を作ってる側のものですが信じられません。急いで食べて事故が起きる事を想定していないんでしょうか?口に入れすぎて嘔吐したと、稀に連絡貰うことがあります(消毒作業の為)。保護者の皆さんから集めた給食費で作っているし、大量に返ってくる残食を見るのもいい気持ちはしません」など、この“給食14分ルール”への批判が多数寄せられました。
「全く科学的ではありませんね。何かの宗教儀式のようになっていますね。子どものいのち最優先に、ルールを見直してほしいです」
「あまりにも無意味!窓開けて5分換気すれば良いのではと思いますけどね。マスクより換気の方が効果的ですよね」
「子供は素直だから、信じちゃうんでしょうね〜。学校外でも、14分ルールでマスク外しちゃわないか心配。この14分ルールの意味は『誰も責任を取らない』ということでしょう」
「大丈夫ですか?学校。正気か?って心配になりますね」
「食べるのが遅い子には苦痛でしかないと思う。時間に急かされてとか胃にもよくない。とにかく黙って食べるという風にできないものかな。早く食べ終わった子は教室の外に出てもらうとか」
子供は「14分では無理」
まずはこのような状況下、子供たちはどうしているのかprimroseさんに聞きました。
ーーお子さんは何年生ですか?
「子供は中学年と低学年です」
ーー小学生が14分で食べられるものなのでしょうか。
「14分で完食できる子がどれくらいいるか聞いたところ、中学年はクラスで10人位、低学年はクラスで3人位、殆どの子が14分一旦マスク後また食べ始めるそうです。うちの子供はどちらも14分では無理だと話していました」
ーーこの制度は校長先生が発案されたようですが、今はどうなっていますか。
「今も変わらず14分で一旦マスクを外しているそうです。その後、マスクを付け直して、おかわりをする子と食べ残しがある子は再び10分程度で食べるそうです」
ーー「オンライン授業で」、と書かれていますが、共働きの家庭では学校で子供を預かってくれないと困る人もいると思います。いかがでしょうか。
「我が家は共働きですが、コロナ禍で60歳以上の両親にあずけるのは感染の心配があり、実際子供たちだけで留守番させ、オンライン授業を受けたことが度々あります。接続の時間を忘れなければ特に問題はありませんでした。親は昼食の準備と勤務中時々連絡して様子を確認する手間は増えましたが、学校で陽性者が続出した時は家庭で過ごさせる方が安心できました。昼食は万一喉に詰まらせそうな物(ミニトマトやミートボール)を避けたメニューにしました」
「ただ、我が家は子供が複数いるため、何かあれば子供同士で助け合えること、子供の誰かが親に連絡できる状況にあり、子供だけの留守番が成り立ちますが、低学年のひとりっ子の場合は、単独での留守番は不安なので学童などを利用すると思います。ツイートにはオンライン授業で休校を求める趣旨の内容を投稿しましたが、やむを得ず子供だけにできないご家庭のために登校選択制を導入するのが一番望ましいと思います」
ーー給食14分制度は感染対策に役立っていると思いますか。
「子供の話では、それよりも給食中の放送で流れる音楽に反応して笑ったり喋ったりする子がたくさんいるから、あまり意味がないと話しています。基本オンライン授業という形で登校選択制を導入し、登校する子供の数を減らすことで教職員も子供も保護者も安全に過ごした方が感染対策としては効果があるという考えにいたりました」
自由に給食を食べられない子供たち。息苦しささえ感じますが、これは、感染対策というより、学校から濃厚接触者が出てしまうと学校や学級を閉鎖しなければならなくなるため、それを回避するための苦肉の策だと考えられます。
なぜなら、現在の国の濃厚接触者の定義の一つに、「マスクなしで陽性者と1m以内で15分以上接触があった人」が含まれるからです。感染者はもちろん、濃厚接触者が学校から出てしまうと、学級閉鎖や学校閉鎖をしなければならなくなり、仕事を休まなければならなくなる人もたくさん出てしまいます。ただ、primroseさんが言うように、せめてオンライン授業や登校選択制について考えてもらえると嬉しいですね。
また、primroseさんは、「給食にパンや手巻き寿司など素手で食べるメニューが未だに出されますが、子供の手洗いは完全ではなく、給食前に机や椅子などに触れてから食べるため、経口感染を防ぐためにも素手を使わないメニューに変更した方がいいと思います」と心配しています。
この点について、新型コロナウイルスやワクチンについての正確な情報を発信するプロジェクト「こびナビ」の木下喬弘医師に確認したところ、
「『手で食べる』メニューについてですが、新型コロナウイルス感染症の感染については、基本的にはそれほどリスクが高いとは思っていません。もちろん手洗いも重要ですが、マスクや換気を丁寧に行っていれば、手からの感染を恐れて給食の形態を変えたりする必要はないと思います」ということでした。