競艇デビュー飾った18歳が目指す高み 父の背中追い「父を超えたい」

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 水面を疾走する競艇のボートレーサーの世界に昨秋、栗東市出身の吉川晴人さん(18)がデビューを飾った。父昭男さんと叔父喜継さんも現役のボートレーサーで、3人ともボートレースびわこ(大津市)を拠点にする。父は全国に1600人いる選手たちの中でもトップの「A1」クラスに所属する。晴人さんは「超えたい」と父の背中を追いかける。

 スポーツは水泳を3歳から続けた。高校3年を迎える前に新型コロナウイルス禍で大会などが軒並み中止になった。昭男さんは「(息子は)落ち込み、抜け殻のようだった」と振り返る。進路について悩む中、テレビに映る父親の姿に勇気づけられた。それまで興味の無かった競艇の世界に「今しかない」と飛び込む決意をし、両親に黙って養成所の入所試験に応募した。

 「誰でもなれるわけじゃない」と母親に怒られながらも、試験勉強に励み1発合格。福岡県柳川市にある養成所で、操縦や整備の訓練を「不器用なので、何度も繰り返し練習した」。厳しい生活を1年間送った。

 身長173センチで競艇選手としては高め。今も伸び続けているため体重管理に苦しむ。サウナスーツを着てランニングをして汗をかいたり、自転車で自宅から競艇場まで往復30キロ通ったり、晩ご飯を控えるなど努力を重ねる。「競艇の魅力は実力次第で上を目指せる」という思いからだ。

 昨年11月23日から地元で迎えたデビュー戦は、緊張と事故に気を遣いすぎて「守りに入ってしまった」と結果は振るわなかった。完走を果たすも、悔しい結果となった。

 昭男さんは「優勝戦を一緒に出るのが夢」とデビュー戦を終えたばかりの息子を優しく見つめる。晴人さんは「ファンに『来て良かった』と思ってもらえるようなレースをするため経験を積み、上達していきたい。遠い目標だが、いつかは父を超えたい」と高みを目指し意気込んでいる。

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