有給休暇の消化は認めない!「辞めて迷惑かけるのに…最後くらい勤めあげろ」…退職日が迫る中、困った上司との対立

長岡 杏果 長岡 杏果

転職が当たり前のようになりつつある昨今、まさに転職を検討している方もいるのではないでしょうか。退職の意向を伝えてからスムーズに退職できるケースもあれば、さまざまなトラブルに巻き込まれるケースもあります。退職をめぐるトラブルで多いといわれるのが有給休暇の消化についてです。退職前に有給休暇を消化することは、労働者の権利であり、使用者が拒否することは労働基準法に違反する行為にあたります。

長年勤めてきた会社を退職することに決めたTさん(正社員・40代)は、上司に退職したいと伝えました。Tさんの職場は就業規則では、退職日の2カ月前に退職の意向を伝えることと定められています。Tさんは後任者の決定や引継ぎなどを考慮し、退職日の約3カ月前に伝えたのですが、上司からは「退職日はこちらで決めるから。半年くらいは覚悟するように」と言われたのです。

上司の言い分は自分の勝手で退職するのだから、退職日は上司に決める権利があるというものでした。しかし次の職場が決まっていたTさんは希望する退職日を伝え、幾度となく話し合いを重ね、Tさんの希望する退職日から約1カ月後に退職することになりました。その際、上司に有給休暇を消化したいことも伝えました。

Tさんは有給休暇が30日残っており、退職日までに25日消化したいと申し出ました。すると上司は「有給休暇の消化は認めない、辞めて会社に迷惑かけるのに最後くらいはしっかり最後まで勤めあげろ」と言い、話し合いにもならない状況に。しかし退職日は刻一刻と迫ってきます。

人事に相談するととにかく上司を説得するようにと言われ、このままでは話し合いが進まないと感じたTさんは労働基準監督署へ電話で相談しました。すると、退職にあたる有給休暇の取得は労働者の権利であるため、書面にて明確に有給休暇を取得したい旨を伝えるようにとアドバイスをもらい、書面にて取得したい日数と期間を記載し提出しました。それから数日経過したある日、上司より「他の社員には自分が言ったことを口外しないように」との一言とともに、有給休暇の取得を認めるとの連絡があったそうです。

退職に関するトラブルは泣き寝入りすることが多い現状

退職に際して有給休暇を取得できないといったトラブルは少なくありません。こうしたケースの多くは、円満に退職するために労働者が泣き寝入りすることが多く見受けられます。今回のTさんのケースは書面で提出したことで、有給休暇の取得を希望している証拠が残ることから、上司は認めたのだと思います。労働環境をめぐる問題は日本が抱える社会問題の一つでもあります。労働者も自分自身が持つ権利を理解した上で、心身ともに健康的な働き方について考えてみることも大切なのではないでしょうか。

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