「背中ピン!」「背中伸ばして!」と叱るより…子どもの姿勢は少しの工夫で改善できる!試してほしい2つのこと

西村 猛 西村 猛

◆はじめに

保育園の先生方からよくご相談いただくことの一つに、「椅子に座る姿勢(座位姿勢)が悪い」ということがあります。「真っ直ぐに座れず、斜めに座る」「片足を上げる(組む)」「すぐに背もたれにもたれてしまう」など、様々な座位姿勢のお悩みがあります。

お子さんの姿勢の悪さに悩んでおられるのは、保育園の先生ばかりではなく、小学校の先生、そして保護者の皆さまの中にも多いと思います。座位姿勢が悪いと、つい「ちゃんと背中を伸ばしなさい!」「背中ピンッ!」などと声掛けをされると思いますが、「その瞬間は良い姿勢を取ることができても、それを長時間継続することは難しい」ということはないでしょうか?

座位姿勢を改善させるためには、体幹筋を鍛えるなどが効果的なのは言うまでもありませんが、実は座っている椅子に少し工夫を加えることで、座位姿勢が改善する場合があるのです。今回は、座位姿勢の悪さが気になったら、試してみていただきたい2つの方法をご紹介します。

◆方法①座面に滑り止めシートを敷く

椅子に座ると背中が丸くなってくる理由の一つに、「お尻が座面の前にズレていく」ということが挙げられます。特に座面の材質が滑りやすい素材のもの(つるつるした座面など)だと、お尻が前に滑りやすくなるため、骨盤が後ろに倒れてしまいます。それが背中が丸くなる原因となります。

こういった「お尻が前にずれるお子さん」に試してみていただきたいのが、「座面の部分に滑り止めを敷く」という対処方法です。滑り止めは、100円ショップで売っているもので十分です。それを適当なサイズにカットして、お尻が当たる部分に敷いてあげるだけです。滑り止めによって、摩擦が起きるため、お尻が(ズボンが)前にずれにくくなります。

その結果、骨盤が後ろに倒れることを予防でき、背中を真っ直ぐに起こしておくことにつながります。

 ◆方法②椅子の後ろ脚の部分だけ、少し嵩上げする

お子さんが4本脚の椅子(例えば食卓イスのようなもの)に座っている場合に試してみていただきたい方法です。

方法はとても簡単です。4本ある椅子の脚の「後ろの脚2本」を少し嵩上げしてあげるだけです(※硬い本を椅子の後ろ脚にかますようなイメージです)。そうすることで、椅子の座面は少し前に倒れてた状態(前に向かって座面が坂になった状態・前傾状態)になります。前傾した座面に座ることで、骨盤は起きやすくなり、それに合わせて背骨も真っ直ぐに伸びやすくなります。

この方法だと、物理的に骨盤を起こすことができるため、お子さん自身の体幹筋力に左右されることがなく、その場ですぐに座っている姿勢が改善することもあるでしょう。また、方法①の滑り止めシートと併用すれば、より安定した良い姿勢を保持することにつながるでしょう。

(注意点)

・嵩上げを高くしすぎると椅子が大きく傾き、危険性が増します。

・嵩上げはお子さんの様子をみながら、数センチ程度にとどめておくようにしましょう(添付画像参照)。

 

◆これらの方法でも変化しない場合

もし、①や②の工夫をしてあげても座位姿勢の崩れが改善しない場合は、体幹筋の弱さが関係しているかも知れません。こういった場合は、運動遊びなどを通して、体幹筋の筋力や持久力を高めていくのがよいでしょう。

遊びとしては、昔ながらの遊び(鬼ごっこ・かくれんぼ・だるまさんがころんだ・おしくらまんじゅうなど)に加え、公園の遊具遊び(ジャングルジム・ブランコ・大型遊具の登る部分など)などがお勧めです。

いわゆる筋力トレーニングは、お子さんが率先して取り組むことができるようであれば行っていただいても良いですが、あまり取り組もうとしない、明らかに嫌がっている等の場合は、無理に取り組ませるのではなく、お子さんの好きな活動やスポーツを行い、楽しみながら体作りをしていくことをお勧めします。

なお、トレーニングを行う場合でも、①や②の取り組み(環境を整える)を同時に行うようにすると、相乗効果が得られやすいでしょう。

◆まとめ

・姿勢が悪いお子さんは、椅子に座った時に、「真っ直ぐに座れず、斜めに座る」「片足を上げる(組む)」「すぐに背もたれにもたれてしまう」などの特徴が見られる傾向があります。

・その場合は、①滑り止めを座面に敷く、②4本脚の後ろの脚の部分を少し嵩上げして、座面を前傾させて座る、といった環境設定を行うことで、座位姿勢が改善しやすくなります。

・これらの環境設定を行っても改善しないお子さんの場合は、運動遊びや遊具遊びの中で体幹筋力や持久力を育てて行く取り組みを行うと姿勢改善につながります。

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