「救助犬」に適した犬とは?オフのとき「救助犬」は何してる?
ーー真っ白な毛並みが美しいホワイト・スイス・シェパードのコアくん。捜索や訓練以外の時間はどんな風に過ごしているのですか?
「普段は普通の家庭犬と同じように、一緒にベッドで眠り、ソファでごろごろし、お散歩を楽しみにし、元気良く遊ぶのが大好きで、そしてとっても甘えん坊です。
初めてのことに躊躇する犬もいれば、躊躇なく行動する犬もいます。また、捜索の現場では、怪我をしないためにある意味、躊躇が必要な場合もあります。そういうときはハンドラーが優しく犬をはげまします。褒めたり遊んだりして犬の気持ちを高め、怖さを和らげ、次の行動につながるように持っていきます」
ーーホワイト・スイス・シェパードのコアくんはオスですが、「救助犬」に適した犬種や性別、性格などはあるのですか?
「犬種や性別は問いません。ただ、救助犬は比較的メスが多く、その理由として、救助犬の認定試験にはハンドラーが犬を抱いて歩く『移送』という項目があるため、オスよりサイズが小さいことがあげられます。また、オスのように他の犬の匂いに執着したり、マーキングをしないこともあるかもしれません。
年齢は若い方が良く、食欲、やる気ともに旺盛で、人や遊び、おもちゃが大好きで、我慢強く諦めない犬が適しています。大型犬はあらゆる場面で活動が可能ですが、小型犬は狭い場所、体重が軽い方が良い場所などの捜索に適しています」
「災害救助犬」の活動実態とは?そして、今後の課題とは?
ーー「災害救助犬」の活動には国や市町村からの支援がなく、『日本捜索救助犬協会』さんでは装備費のすべてを、寄付金や自己資金で対応されているそうですね。
「はい。当協会は完全なボランティア団体です。協会から給料をもらっている者は1人もいません。メディアなどに出て、多くの寄付金が集まり、出動経費としてストックできている団体もあります。当協会は今まで積極的に寄付金のPRをしてこなかったこともあり、出動経費をサポートをしてくださるスポンサーや、年間を通して決まった金額を寄付してくださる企業や個人が必要です。また、被災地への出動時、災害支援団体に対して、高速道路代金が免除になる仕組みも必要だと考えています。東日本大震災の際はそれが適用されました」
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『日本捜索救助犬協会』の代表理事、江口さんによると、現在、日本では自衛隊や警察が所有する被災地などで活躍する「警備犬」などのほか、約30以上の救助犬団体が活動しているそうです。
多くの救助犬団体が被災地での迅速な人命救助に尽力するためにも、「災害対策本部からの情報の一本化と共有が必要」と、代表理事の江口さん。
「2018年の西日本豪雨の際は、対策会議のなかで被災現場の状況と情報の共有、意見交換などが行われ、救助犬が活動しやすい環境でした。当然のことですが、被災現場で活動する機関が、救助犬を使いたい、一緒に活動したいと考えてくださることがもっとも大切です。そのためにも、我々救助犬団体も日頃から訓練を積み重ね、スキルを上げていく必要があります」(『日本捜索救助犬協会』代表理事、江口さん)
過酷な現場でハンドラーさんたちと共に懸命に捜索に励む「救助犬」たち。その活躍に感謝すると同時に、救助犬の出動が少ない日々になることを願ってやみません。
■捜索現場や訓練の様子はこちら→YouTubeチャンネル『日本捜索救助犬協会』