小池都知事の命運重なる「ファースト政経塾」 入塾者113人、初回の3747人から激減

安積 明子 安積 明子

 都民ファーストの会主催の「ファースト政経塾」が1月29日に開講した。第1回目の講師は特別顧問の小池百合子東京都知事。1月28日から34都道府県で新型コロナウイルス感染症によるまん延防止等重点措置が発令されているため、講義はリモートで行われた。小池知事が2016年10月に「希望の塾」を立ち上げた時は3747人が受講したが、今回の入塾者はわずか113名。受講料も男性5万円、女性4万円(25歳以下の学生は3万円)から1人3万円(29歳以下は2万円)に“値下げ”したのに、寂しい限りだ。

 しかも「目玉」がない。講義は5月までの全5回を予定しているというが、講師が決まっているのは第1回の小池知事と第2回の松田馨氏(選挙コンサルタント)くらいなもの。荒木ちはる代表は「来たる参院選に対して都民ファーストの会は、ファーストの会を立ち上げ、東京選挙区などでの挑戦を予定している」と威勢は良いが、これで国政選挙に耐えられる人材は集まるのか。

 とはいえ来年4月に行われる統一地方選狙いなら、少しは当選の可能性は見てとれる。ファースト政経塾への入塾を機に小池知事とお近づきになり、選挙に応援に来てもらえれば儲けもの。そのための「3万円の投資」は惜しくないだろう。

 なお2016年に始まった希望の塾は1期だけで1億6881万円もの入塾料を集めたが、2017年10月の衆議院選で希望の党が惨敗し、小池知事の「日本のトップに君臨する野望」が崩れると、第2期生の募集を停止した。現在は参議院選を前に、国民民主党との“合流話”が囁かれるが、同党の玉木雄一郎代表は「我が党に地方議員が参加するだけ」と言い切っている。

 もっとも国会議員を擁しない都民ファーストの会は政党交付金の受給資格を有していないし、単独で国政選挙にチャレンジしようにも、不利な点が多い。国政政党である国民民主党にくっついてこそ、旨味があるというものだ。

 国民民主党にしても、参議院選で小池知事が協力してくれれば、東京都選挙区で議席を獲得する希望が持てる。しかしそううまくWIN-WINの関係を築くことができるのか。

 ちなみに29日の講座にリモート参加した小池知事はいつもよりアイラインを強く引き、昨年の体調悪化の報道を吹き飛ばそうという意気込みが感じられた。今年の参議院選を逃せば、次の国政選挙はおそらく3年後。7月に70歳を迎える小池知事にとって、浮上のチャンスはそう多く残っているわけではない。

 今回の「ファースト政経塾」からいかなる人材が生まれるのか。いずれにしろ小池知事の命運と重なって見える。

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース