飲食店では「ご注文はスマホで」、病院でも「問診票はスマホで」…スマホ教室に通う決心をした70代男性

長岡 杏果 長岡 杏果

スマートフォンが普及し、スマホ決済やインターネット、メール、SNSなどさまざまことを、いつでもどこでもできる便利な社会となりました。スマートフォンは私たちの生活に欠かせないものとなりました。さらに新型コロナウイルスの感染拡大により、人との接触を避けるためにもデジタル化はますます推進されるようになりました。しかし、この流れに戸惑いを隠せない人たちもいます。それはスマートフォンになじみのない高齢者です。

スマートフォンでオーダーする飲食店

70代のYさんは、2年前までスマートフォンを持っていました。しかし使いこなすことができず、いまは持っていません。そんなYさんが、外出先に入った飲食店で困ったことが起きました。Yさんが席につくと、お水を持ってきてくれた店員さんから「ご注文はスマホでお願いします」と言われたのです。

Yさんはスマートフォンを持っていません。そのことを伝えると口頭で注文できたのですが、Yさんは場違いな店に来てしまったと感じてしまい、それ以降その飲食店に行くことはなくなったそうです。

病院の問診表もデジタル化

先日、Yさんはスマートフォンを持つべきかと悩む出来事がありました。Yさんが長年通院していたかかりつけ医が廃院したときの話です。かかりつけ医の廃院に伴い、近所にできたクリニックを受診すると、スマートフォンで問診表を入力するよう言われました。スマートフォンを持っていないことを伝えると、受付のスタッフが紙の問診表を渡してくれたのですが、やはりここでもスマートフォンが必要であることに気持ちが沈んだと言います。

Yさんはこのとき、スマートフォンをもう一度契約する必要性を強く感じたそうですが、以前持っていたときに使い方を覚えることができず悪戦苦闘したことがストレスになっていたため、スマートフォンを持つべきかどうか迷う日々が続きました。悩んだ結果、Yさんは今後のことも考えスマートフォンを再度契約し、スマートフォン教室に通うことにしたのです。

デジタル社会に不安を感じる高齢者に配慮を

デジタル社会は私たちの生活をより便利なものにしてくれます。しかしデジタル社会の加速と同じように、日本の高齢化もさらに加速していくことは明らかです。高齢者がこの時代の変化に取り残されることのないよう、高齢者のサポートや環境の整備、また周りの理解が必要ではないでしょうか。

高齢者の方の中には、スマートフォンを使いこなす方もいます。しかし一方で、苦手な方や手にしたことのない方もいるのも現状です。こうしたデジタル化に対して便利だと感じる人もいれば、不都合と感じる方もいます。お互いに配慮し合いながら共生していく社会こそが、デジタル社会と超高齢社会を迎えた日本にとって大切なことといえるのではないでしょうか。

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