なぜ人は雪かき中に空を見上げるのか―。思いを代弁する漫画が泣ける「除雪と降雪の賽の河原」「最近毎日これ」

竹内 章 竹内 章

雪が降ったら子どもたちは大喜びするし、雪景色だって美しい、でもね…。雪国で暮らす人たちの苦い思いを描いた漫画が話題です。この季節、雪かきを決してサボれないすべての人が、読後共感の涙とともに、秘めた思いを叫んでいることでしょう。「私は雪が嫌いだ、大嫌いだ!」

「くそ雪」のツイートとともに邑田(@murata116)さんが公開した漫画が、雪国の皆さんの涙を誘っています。漫画の主人公は幼少のころ、窓の向こうで雪かき中の大人が空を見上げるのを不思議に思っていました。月日がたち、毎日雪かきに追われる今、その意味を知ります。除雪しても除雪しても降り積もる雪、水気を帯びた雪は重く、中腰では長時間の作業は無理です。体力の限界で悲鳴を上げる体。伸びをしようと天を仰ぐと、無情にも雪が降り始めます。主人公は空に向かって…。

漫画には5万を超えるいいねがつきました。雪国に暮らすユーザーでしょうか。「わかる…限界になってると、なぜか空を見上げてる」「普段の仕事だけでもしんどいのに早起き+雪かきは地獄だよ」「除雪と降雪の賽ノ河原…」など共感や達観のコメントが多数寄せられています。北日本のある街に住み、例年雪に苦しめられているという邑田さんに聞きました。

ー雪かき、お疲れさまです

「17日から18日にかけては1時間の降雪はかなり少ないですが、マイナス気温なので溶けません。積雪は70センチ近くで、太もも辺りの雪が永遠にあります。最悪な日は早起き+雪かき+職場で雪かき+帰宅後に雪かきです」

ー漫画の冒頭、空を仰ぎ見る大人に主人公がファンタジーな空想をしているみたいです

「子どものころは雪降るの楽しくて仕方なかったんですけどね…。年と共に敵でしかないって認識が変わりました。10年前くらいに融雪機を購入した際、雪かきが間に合わないくらい降ってるんだとやっと理解できました。それからきちんと両親が毎日やってる雪かきを手伝うようになりました。身体中が痛くなってこれ地獄じゃん、と」

ー…雪地獄、ですか

「天気の良い日は雪庇(屋根からせり出した雪)がドンドン落ちてきて、それは凍ってたり濡れてたりでめちゃくちゃ重いので片付けるのが地獄です。放置すると、そこにさらにもりもり積もってスコップではびくともしない雪山が出来上がります」

ー記者も雪国(福井県)の生まれ育ちですがレベチすぎます。漫画が広く読まれたことには

「雪たくさん降るとしんどいよねってことが伝わってうれしいです。私が雪が嫌いだよってことも伝わったと思います」

お仕事の合間に質問に答えてくれ、「今から帰宅して雪かきです」の言葉でやり取りを終えた邑田さんへの取材。明日、筋肉痛のお疲れが出ませんように。

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