自分の親が亡くなった後、愛用していた食器やお気に入りの服、その他諸々を片付けていくのは辛いもの。整理するたびに、「もうコレを使う人はこの世にいないんだなぁ」と悲しみが押し寄せてきます。
そんな辛い中、父が書き遺した育児日記の存在を知り、父からの深い愛情を改めて実感することになった岡本かな子さん(@kanakookamoto)。
SNSで育児日記の画像とともに、「先月急逝した父の育児日記(私を育てた日記)ばかり読んでいる。だからね、育児日記とか保育園の連絡ノートとかとっておくべきだと思います。のちのち子供の宝物になります、ありがとうお父さん。」とつぶやきました。
“我愛娘、誕生!…本当にありがとう!この奇妙なよろこびを味わいつつ眠りに入るとする”
“立った!得意気な顔をして、神菜子が立った” “10歩近く歩く 歯も上にでっかいのが2本”
“熱を出す…これからも度々、熱を出したり病気をするであろう その度に成長するのかな”
“三輪車を手に入れ、乳母車と同じ白と黄色のツートンカラーにペイント。『神菜子スペシャル2号』と命名”
などと克明に綴ったノートは長い歳月が経ったことがわかる黄ばんだ色味。でも、みずみずしい筆致で綴る成長記録を読むと、わが子への愛おしい気持ちが色褪せることがない、と感じさせます。
Twitterで育児日記の画像を紹介する岡本さんには、
「泣けますね。愛情がたくさん伝わってきます」
「お父様もきっとうれしく思ってますよ」
「なかなか育児日記を残してくれる昭和の男性って居ないので、貴重な手記かと思います」
「泣けて仕方ありません。愛情のシャワーのお裾分けをありがとうございます」
「私も息子たちが生まれたときのことを思い出しました。遅まきながら当時のことを書き残しておこうと思います。お父様のメモから最後のチャットまで、感動の物語ですね。叙事詩のようだと思いました」
「母親が毎日書いていた日記を反抗期の高校生の頃に見て号泣しました」
「素晴らしいです。自分も書いておけば良かった」
など多くのコメントが寄せられています。
年末には、娘である岡本さんや孫に会うことを心待ちに、自ら高級蟹を注文。一緒に食卓を囲むことなく、旅立ってしまいましたが、遺された家族で父のやさしさを思いながらいただいたそう。
「これは12月3日の父との最後のチャット画面です。私達のために高級蟹をネットで注文し、12月10日に急逝しました。予定通り18日に蟹が到着し、家族みんなで涙しながら食べました。お父さん、最後まで本当にありがとう。育児日記はまたぽつぽつとアップしていきます」
書籍の装画や新聞連載小説の挿絵などイラストレーターとして活動する岡本さんは、今、育児日記を読みながら、父の書いた文章にイラストをつけ、Twitterで公開しています。
イラストには、父の筆跡にどことなく似ている日記文(岡本さん筆)とともに、現在の岡本さんから当時の父への返答コメントも。
「父との往復書簡」に対して、「もう父はこの世にはいませんが、なぜこんなことをするのかもよくわかりませんが、ただ父の文章に返信する気持ちで描いていきます」。それはまるで、育児日記を通して、亡くなってもなお、父と娘で会話をしているように思えます。
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