コロナ飲み薬「モルヌピラビル」と「アビガン」の違いって? どちらもウイルス増殖を抑える作用

ドクター備忘録

松本 浩彦 松本 浩彦

 前回コラム「エラー・カタストロフ理論とは」で「ウイルスは変異しすぎると自滅する」、で話が終わってしまいましたが、その実例をご紹介します。日本では9月になって感染者が激減しましたが、実はケニアでも感染者数がある時期を境に激減しました。ケニアのワクチン接種率は3%。ウイルスがエラー・カタストロフの限界を超えて消滅したと推測できます。ワクチン接種率2割のインドでも、ピーク時に比べて新規感染者が大幅に減りました。これらは新型コロナはワクチンによって抑え込まれたわけではなく、急速に増殖を重ねた結果、ウイルスとしての生存限界を超えて自然消滅しつつある、という説を裏付ける事実です。

 米メルク社が開発した飲み薬「モルヌピラビル」は、世界各国で承認され、日本も160万回分の供給を受けるとのこと。日本製の「アビガン(ファビピラビル)」と名前も似ていますが作用機序も似ており、どちらもウイルスが増殖するために必要な酵素の働きを止めて増殖を抑える核酸アナログ製剤です。

 さらにモルヌピラビルにはエラー・カタストロフの限界を体内であえて引き起こすことによって、ウイルスの自壊を進行させる作用もあるそうです。この両者の違いは、ミスコピーをどんどん起こさせるのがモルヌピラビル、紙詰まりでコピー機を止めてしまうのがアビガン、と考えると分りやすいでしょうか。これら飲み薬が普及すれば、コロナ撲滅の日は意外と近いかもしれません。

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