車の中に閉じ込められていた子猫 「私がいないと死んでしまうかも」と情が移り、ペットが飼えるマンションに即引っ越し

渡辺 陽 渡辺 陽

車の中に閉じ込められていた子猫

テオちゃん (3歳6カ月・メス)は、北海道に住む氏家さんの親友の義実家の庭に母猫と一緒にたびたび現れた。ある日、テオちゃんだけがポツンと1匹でいたのだが、それを最後に見かけなくなったという。

それから5日ほど経ち、義父の車の中にテオちゃんがいるのが見つかった。知らないうちに入り込んだようで、少なくとも3日間は閉じ込められていたようだった。

2018年7月4日の夜9時頃、親友から氏家さんのところに電話がかかってきた。珍しく焦っているようだった。「子猫(テオちゃん)が車の中にいたので保護したが、先住猫が3匹いて神経質になっている。1日でもいいから預かってくれないか」ということだった。

私がいないと死んでしまうかも

氏家さんは当時、ペット禁止のマンションに住んでいたので、子猫だと鳴き声が聞こえてバレてしまうのではないかと不安に思ったが、テオちゃんの保護の経緯を聞くと放っておけなかった。

外出先からすぐ受け取りに行き、連れて帰ったが、生後2カ月ぐらいの小さな身体で、衰弱していた。しかし、テオちゃんは不安だったのか、一晩中鳴きっぱなしで朝には声が枯れていた。翌日、病院につれていき健康診断をして、ワクチンの手配をしてもらったという。

「私は、幼少期から実家に必ず猫がいたので、いつかまた猫と一緒に暮らしたいと思っていました。時間が不規則な仕事をしていたり、住まいの問題もあって、なかなか踏ん切りがつかずにいたのですが、預かると決めた時から、これは手放すのは無理だなと予感していました。案の定、たった1日で情がうつり、1カ月後にはペットを飼えるマンションへ引越ししました。腰の重い私にしてはすごい行動力だと思います(笑)。頭で考えるより、この子と一緒にいられることが何より大事でした」

飼い始めた時、氏家さんは昼休みに時間を見つけては様子を見に帰ったり、ペットカメラでチェックしたり、初めて猫を飼う人のような感覚だったという。実家の時は誰かが必ず家にいたが、「この子は私がいないと死んでしまうかも」「私の責任だ」という初めての感覚を味わったという。

一緒にいてくれてありがとう

テオちゃんは大人しくて、頭のいい子だった。自分が愛されて大事にされているのも理解しているようだという。

「いつも私のそばにいたがって、当たり前のように主張してきます(笑)。2匹目の保護猫スズが来たあとも、私がスズを可愛がると遠くから冷たい目で必ず見てきます。見張られているような……そんな感じです」

今でも通院などの車中では、幼少期の思い出が蘇るらしく、とても怖がるそうだ。3日間ずっと閉じ込められていたのだから、そんな思いは二度としたくないと思うのも仕方がない。

氏家さんは、テオちゃんを迎えてから家で過ごすことがとても多くなったという。外食や外出にはほとんど興味がなくなり、外泊は一度もしていない。

「猫たちが心配なのもありますが、テオやスズと離れたくないんです。突然の出会いでしたが、本当に感謝しています。『いつも一緒にいてくれてありがとう』と伝えています。これからも、ずっと一緒にいられるよう願っています」

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