アナフィラキシーショックは薬物やタンパク質など、ある特定の物質が体内に入ることによって、即時型アレルギーが関係して引き起こされる命に関わる病態です。有名なのは、蜂(はち)によるケースです。
1度蜂に刺されただけでは、アナフィラキシーショックは起こりません。刺されたことによって蜂毒が体内で記憶されます。2度目に刺されると、体内に異物として記憶された蜂毒が誘因となり、さまざまな化学物質が体内に放出されます。
その結果、数分から1時間以内に蕁麻疹(じんましん)、吐き気、腹痛、呼吸困難、血圧低下、意識障害などの重篤な症状を来してしまうのです。呼吸困難、眼球浮腫、意識障害などを認めれば非常に危険です。
原因はさまざまです。抗生剤、痛み止め、CTの際に使用される造影剤などはよく知られています。先ほどの蜂やアリ、蛇などで起こります。最も怖いのは我々の身の回りにある食べ物で起こってしまうことです。
小児と成人では起こる傾向が違うのですが、卵、牛乳、小麦、カニ、エビ、果物、そば、ピーナッツなどが原因となることが多いです。最近、清涼飲料水でアナフィラキシーショックになった患者さんがいました。誘引物質が増えてきているので注意が必要です。
アナフィラキシーショックになった患者さんはエピペンという有効なアドレナリン製剤を常に持ち歩いておられると思いますので、それを使用することができます。それ以外の患者さんで同様の症状が起きれば、できるだけ早く病院に向かうべきです。
最近では、コロナワクチンを町医者でも投与しているところが多くなりました。当初アナフィラキシーに対応する準備が重要であることがうたわれていましたので、町医者でも対応できるところはあると思われます。