これは可愛らしい!高速道路の誘導員型ロボット 空気で膨らませ軽量の「エアー小太郎・小町」

鈴木 博之 鈴木 博之

高速道路を走っているとたまに人間の形をした誘導標示器を見かけます。誘導標示器は誘導員型ロボットとも呼ばれていて、ドライバーに交通規制を知らせる「注意喚起」という、とても重要な役目を担っています。高速道路の建設・管理技術に焦点をあてた「ハイウェイテクノフェア2021」で誘導標示器「エアー小太郎・小町」が展示されていたのですが、とても気になるところがありました。それはローマ神話に登場する「ヤヌス神」みたいに、表にも裏にも顔が付いていたのです。

なぜ、両面に顔が付いているのか、また交通整理で活躍する人形の役割や「エアー小太郎・小町」の誕生について、実際に使用しているNEXCOメンテナンス九州の担当者に伺ってみました。

コンパクトに、持ち運びしやすく

――そもそも誘導標示器はどういうときに使われるのでしょうか?

「エアー小太郎・小町は交通規制作業の際の誘導員型ロボットとして使用しています。従来は安全太郎というグラスファイバー製の製品を使用していましたが、重量が重い、場所を取るなど資材車への積み込みに苦慮していました。そこで、遠くから視認性の良いエアー太郎を開発しました。その後、空気で膨らますバルーン式で軽量化を図り、発電機内蔵(充電式)で収納をコンパクトにし、持ち運びしやすいキャリーカート式に改良したエアー小太郎・小町を作製したのです。昼間の視認性も良く、夜間は内照式のLED照明で明るくなっていて、一般車から視認性の良いものとなっています」

――エアー小太郎・小町のネーミングの由来を教えてください

「従来は安全太郎だけだったのですが、開発時には女性のエアーを作成してお客さまの気持ちの安らぎを図っては? との意見があり、女性版も作成しました。また1号機であるエアー太郎の身長が3.0メートルあったため、2号機は1.8メートルとコンパクトにしたことで小太郎と名づけました。エアー小町の方は、土木女子(どぼじょ)のネーミングが不評だったことから建設小町の名前から取ってエアー小町と名づけました」

――ところでエアー小太郎・小町と2タイプある理由はなんでしょう?

「男女共同参画の時代となっており、男性と女性がともに働いていける平等な社会を目指して2タイプ作りました。使い分けはお客さまのご要望に柔軟に対応できるようにしています」

――人形にも男女共同参画の波が来ているのですね。夜はオレンジの制服を着ているエアー小町の方がLED映えしそうですね。エアー小太郎・小町ともに顔が後ろにもついていますが、これにはなにか理由が?

「走行車線使用時と追い越し車線使用で向きが反対となり、旗が逆向きになるため、ひっくり返しても旗が走行側にいくよう考えています」

――なるほど、走行車線で使用するときは路肩側に置き左手を挙げていて、追い越し車線で使用するときは中央分離帯に置き右手を挙げるということですね。価格はいくらで寿命はどのくらいなのでしょうか?

「価格は2021年度では税抜で、TYPE1(DC24V仕様)が1基あたり52万5000円、TYPE2(AC100V仕様)が1基あたり38万5000円、TYPE3(AC100V・DC24V仕様)が1基あたり57万5000円です。寿命は販売開始から約3年経過していますが問題は発生していないため不明です」

エアー小太郎・小町は、電源を入れると15秒でバルーンに空気が入り自立し、格納すればコンパクトサイズになりキャリーバッグタイプなので移動もスムーズ。ロングセラーだった安全太郎は、硬質なグラスファイバーでリアルな人間型だっただけに、傷んだり汚れてきたりするとちょっとホラー感が出ているのもありました。また台の高さを含めた身長が3メートルのエアー太郎は威圧感があるのに対して、愛くるしい顔のエアー小太郎・小町の姿は癒されます。とはいっても、1.8メートルあるので日本人としては背が高いですね。

   ◇   ◇

【エアー小太郎・小町】

重量:25kg(ウェイトの設置不要)
動力:TYPE1(DC24V仕様)点灯約6時間、点滅約9時間
充電時間:約3.5時間
バルーン素材:ポリエステル繊維

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