宮崎県都城市高木町にあるガソリンスタンド「JA都城インターセルフSS朝霧」に昨年11月、新設された「虎の洗車機」が人気を集めている。洗車利用者は前年比月平均2~3割も増加。リピーターも増え、店の売り上げも伸びているという。
都城市内を国道10号線を北へ車で走ると、右手にガソリンスタンド「JA都城インターセルフSS朝霧」があり、眼光鋭い虎のデザインを施したドライブスルー洗車機が、道ゆくドライバーをにらみ付けている。その存在感はかなりのものだ。
同ガソリンスタンドを訪れると、ちょうど1台のファミリータイプのミニバンが洗車をするところだった。運転していたのは、「2週間に一度、この洗車機を利用している」という主婦(43)。話しかけてみると「虎の口の中に入っていくワクワク感がいいですよね。初めて利用したときは子どもと一緒だったのですが、子どもはもう大はしゃぎでした(笑)」と話す。
同ガソリンスタンドは2011年11月にオープン。6周年の昨年11月、それまで使っていた洗車機が消耗して交換時期にきたため、新しく設置したのが、長野の自動車関連機器製造メーカー製のこの洗車機だ。
担当のJA都城経済部燃料課の細山田利秀さん(40)は「当初はごく普通の新しい洗車機を導入する予定でした。でも、それでは洗車機をリニューアルしたことがお客様に伝わりにくい。ここは特にファミリー層が多いのですが、そうしたお客様にアピールするにはどうしたらいいか、業者さんと打ち合わせをするなかで『バスなどに施すように、洗車機をラッピングしてみては』とご提案頂いたんです」と振り返る。
図柄の候補はほかに、特産品の牛、パンダ、スーパーカー、ロボットなどがあったという。「それらは目立たなかったり、かわいすぎたりして、どれもピンとこなかったのですが、いかつい虎の顔を見た時、これだ!と(笑)。業者さんによると、こうしたラッピング洗車機の導入は九州ではうちが初めて。全国的にもまだ少ないそうです」(細山田さん)
いざ虎の洗車機を設置してみると、「想像以上の反響でした。導入から7カ月がたちますが、いずれの月も洗車機の利用者数が前年比で平均2~3割、多い時で5割ほどアップしました。なかには怖いという人もいますが、やはりにらみつけるような虎の絵のインパクトはかなり大きいようです。洗車するときは虎の口に車が飲み込まれるような形になるので、『すごい迫力』と驚かれる方もいます」(同)。
同店のサブマネージャー・白尾祐二さん(32)も、「『国道を走っていたら、虎と目が合ったから来た』という方や、『子どもが喜ぶので』と同乗するお子さんにねだられて利用される方も多いです(笑)」と話す。虎の洗車機がきっかけとなって、ガソリンを入れる人やリピーターも増え、店の売り上げは順調に伸びているという。
この洗車機、デザインだけでなく、最新のコーティング機能が備わっており、性能面で優れていることも人気の秘密だ。また、このあたりは桜島や新燃岳が噴火すると、「たまにではありますが、風向きによっては降灰して車が汚れることもあり、元々、洗車への意識やニーズが高い」(細山田さん)といった背景もある。利用者からは、「なんで虎なの?」とか、「店長さんが阪神タイガースファンなの?」などと聞かれることも。ちなみに細山田さんは福岡ソフトバンクホークスのファン。「プロ野球とは特に関係はないのですが、タイガースファンのお客様にも喜んでいただるとうれしいですね」と微笑む。
設置して最もよかった点は「『虎の洗車機があるスタンドね』と、うちの店のことをお客様によく覚えていただけたこと。これからも立ち寄ってみたくなるガソリンスタンドをめざし、他店との差別化やサービスの向上に努めていきたいです」と細山田さん。関西にあれば行列は必至かも!?