滋賀の「西川餅」が人気、初回生産分は4分で売り切れ 大胆なパッケージデザインも話題

天草 愛理 天草 愛理

 ミュージシャンの西川貴教さんと和菓子製造販売会社「叶匠壽庵」(本社・大津市)がコラボレーションした和生菓子「西川餅」が、人気を集めている。遊び心あふれる大胆なパッケージデザインも、目を引いている。

 西川さんは滋賀県彦根市生まれ、野洲市育ち。2008年から「滋賀ふるさと観光大使」を務め、県内で野外音楽イベント「イナズマロックフェス」を主宰するなど、滋賀県の地域振興に力を注いでいる。

 西川さんと叶匠壽庵の親交は、2019年から。ファンクラブ会報誌の撮影のため、叶匠壽庵の本社がある「寿長生の郷」を訪問したことがきっかけだった。

 日頃から食事に気を遣う西川さんだが、叶匠壽庵のよもぎ餅に舌鼓を打ち、気に入った様子だったという。叶匠壽庵広報担当者は「素材に対するこだわりや体に優しいものづくりに共感してもらえたのでは」と推察する。

 今回のコラボレーションは、ソロプロジェクト「T.M.Revolution」デビュー25周年記念ライブツアー「VOTE」のグッズの一つとして、西川さん側からのアプローチで実現した。

 デビュー25周年を祝う菓子にしたいと、昔から「晴れの日」に食べるとされるもちに決めた。「和菓子屋として得意なあんこやおもちにこだわりたいという思いもありました」と広報担当者。「滋賀県産食材を使ってほしい」という西川さんの要望を受け、滋賀県産もち米「滋賀羽二重糯(もち)」や伊吹山麓で栽培するヨモギを使用した「西川餅」が完成した。滋賀羽二重糯のこしを生かしつつ、滑らかな舌触りに仕上げたという。

 味は白い生地で粒あんを包んだ「白」、ヨモギを練り込んだ生地に粒あんを入れた「蓬(よもぎ)」、金ゴマを混ぜた生地にこしあんを合わせた「金胡麻(きんごま)」の3種類。広報担当者は「そのままはもちろん、フライパンで焼いてもおいしく召し上がっていただけます。おうち時間を楽しむ一つに加えていただければ」とPRする。

 包装は衛生面に配慮し、一般的にハムなどに用いられる「深絞りフィルム」を採用した。これにより、手を汚すことなく食べることができ、持ち運びがより容易になった。また、賞味期限が製造日から40日間と長くなり、時間がたってもできたてのように柔らかいもちを味わえる。

 ライブツアーのオフィシャルイメージを基にパッケージデザインもこだわった。ツアータイトル「VOTE」は「投票」の意味。西川さんが「滋賀県知事選に出馬するのでは」とたびたびうわさされることに乗じたもので、オフィシャルイメージはバラク・オバマ元米大統領を描いたポスターから着想を得たという。西川餅のパッケージは味に合わせ、スーツ姿のオフィシャルイメージと着物姿の特別バージョン2種類の計3種類をそろえた。パッケージと同じデザインのステッカー1枚を同封している。

 当初は、9月中旬開催予定だったイナズマロックフェスを皮切りに売り出す計画だったが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴いフェスそのものが中止になったため、地元を盛り上げたいという西川さんの思いを発信しようと10月1日に発売した。

 初回生産分は計3万5千箱あったが、西川さん自身がライブ配信で事前告知していたこともあり、オンラインストアは販売開始4分で品切れ、店舗も1、2日で売り切れになった。購入できなかったというファンらが相次いだめ、当初は滋賀県内の直営店と関東地域の一部百貨店のみだった取り扱いを、関西地域の一部百貨店にも急きょ広げた。

 商品だけでなく、西川さんの顔写真が印刷された納品用の段ボールまでも「欲しい」というファンがいるとか。広報担当者は「いつもは50代以上のお客様が大半ですが、この機会に若い世代の方たちにも叶匠壽庵を知っていただければ」と期待を寄せる。

 1箱5個入り。1080円。ライブツアーオフィシャルグッズ通販サイトなどでも購入できる。毎年、イナズマロックフェスの収益の一部を「滋賀応援寄附」へ寄せていた西川さんの思いを引き継ぎ、西川餅の売り上げの一部を滋賀県へ寄付する。

まいどなの求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース