マンホールから「ミャア、ミャア」悲しい鳴き声 子猫を救うため学生や守衛さんも地下へ…3日間の救出劇!

京都新聞社 京都新聞社

 京都工芸繊維大(京都市左京区)で9月下旬、地中の雨水管に迷い込んだ子猫が3日掛かりで助け出された。小さな命を守ろうと、犬猫の保護支援団体や学生、大学関係者らの連係プレーが光った救出劇―。子猫は元気で、市内で今月23日に行われる「譲渡会」に参加する予定だ。団体の会員は「多くの協力で救われた命。子猫を飼ってくれる里親さんが見つかれば」と願う。

 この子猫は野良で、生後約2カ月の黒猫。大学関係者によると、9月24日ごろから、同大学中央東門付近の地下から「ミャア、ミャア」とネコの鳴き声が聞こえるようになった、という。近くの側溝から地中の雨水管に入り込み、出られなくなったとみられる。

 保護された犬猫の譲渡会などを企画している住民団体「京都縁の会」の会員女性が連絡を受け、週明けの27日から本格的な救出作戦が始まった。マンホールを開けると約2・5メートルの深さがあり、横穴の雨水管から顔を出す子猫の姿を確認。餌を入れた網やかごを使ってすくい上げようと考えたが、子猫は警戒心が強く、逃げてしまう。市消防署員も協力したが、この日は捕獲できなかった。

 翌28日の作業では、「むやみに追い回しても捕まえられない」と方針を変え、会員女性が小さな捕獲器を持参した。守衛の高堤大吾さん(42)が、マンホール内のはしごを伝って降り、辺りをうかがいながら、狭い雨水管に捕獲器を設置。「ネコは前に飼っていたこともあって大好き。ずっと鳴いていて、かわいそうで仕方なかった」と振り返る。

 さらにラグビーの練習終わりの学生たちも騒ぎに気付き、加勢する。スマホのライトでマンホール内を照らしたり、においの強い餌を買いに走ったり。奥の方に逃げた子猫が戻ってきやすいよう、別のマンホール内の雨水管に板を渡すなどサポートを続けた。

 そして、翌朝。夜勤明けの高堤さんがマンホール内をのぞくと、仕掛けた捕獲器に子猫が入っていた。マンホール内に降りて捕獲器を引き上げたのは、授業前に偶然通り掛かった、機械工学課程1年の川口颯太さん(19)。「何も考えず、とにかく必死だった。助かってくれて良かったし、めっちゃうれしいです」。子猫はずぶぬれだったが、けがはなく、暴れるほど元気だった。

 子猫は現在、縁の会の会員宅で保護されている。人なつっこい性格で、雨水管の中で叫び続けたからか、子猫にしてはハスキーボイス気味の鳴き声という。

 縁の会は、犬猫の新たな飼い主を探す譲渡会を定期的に開いており、次回は10月23日午後1時から東光寺(京都市下京区)で行う。今回の子猫を含めて約30匹が参加する予定。

 救出劇について、縁の会の会員は「学生さんや守衛さんをはじめ、多くの人が自発的に行動してくれてありがたかった」と感謝しつつ、譲渡会への来場も広く呼び掛ける。「譲渡会に参加するネコは、虐待を受けたり野外で増えたりとさまざまな背景があり、終生飼うことができる温かい家庭を待っている。譲渡会は命のバトンをつなぐ場であり、多くの人に興味を持っていただきたい」

 譲渡会の詳細は、同会にメール(Kyoto.ennokai@gmail.com)で問い合わせる。

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