「もし、猫が行方不明になったら?」ペット探偵が探し方のコツ伝授「迷子チラシを使った計画的な捜索を」

岡部 充代 岡部 充代

 その仕事ぶりがドラマ化されたり(NHK『猫探偵の事件簿』)、人気ドキュメンタリー番組『情熱大陸』(MBS)で取り上げられるなど「ペット探偵」として知られるペットレスキュー代表・藤原博史氏が、オンラインでの『迷子捜しセミナー』を開催しました。

 主催したのはコピーライターやエッセイストとして活躍する糸井重里氏が代表を務める『株式会社ほぼ日』。運営する犬猫写真投稿SNSアプリ『ドコノコ』内には「迷子掲示板」があり、登録件数は月300件超。『ドコノコ』では藤原氏が監修した「迷子猫捜しマニュアル」「迷子犬捜しマニュアル」をダウンロードできるようになっていて(猫と犬では捜し方のコツ・ポイントが異なる!)、そのマニュアルに沿って迷子捜しをしたユーザーが自身の経験を生かして現在進行形で迷子を捜している人に協力、その人がまた次の人に協力……と「恩返しの輪」が広がっています。

 セミナーのテーマは「迷子猫捜しでの迷子チラシの使い方」。ペットレスキューへの依頼は約7割が猫、約2割が犬、残り1割が他の小動物や爬虫類いうことで、今回は猫が迷子になったとき、チラシをどの範囲にポスティングすればいいか、その際の注意点などについてレクチャーされました。ちなみに、コロナ禍で「おうち時間」が増えたことにより、保護猫や保護犬を迎える家庭が急増。屋内での生活に慣れていない子たちは“脱走”のリスクが高いため、迷子も増えていると言います。

 さて、迷子猫を捜すとき、多くの人が「迷子チラシ」を作成してポスティングをします。その際、藤原氏が「必ず準備してほしい」と言うのは、地名と1軒ずつ表札の名前が記載されたゼンリンの住宅地図。ポスティングが終了した家に印を付けるのはもちろん、どこにどんな“外猫”がいるか、その子たちの“餌場”はどこか、猫が隠れやすそうな場所はないか、ポスティングしながら観察し、気づいたことをすべて記入するためです。大切なのは情報収集。

「猫が隠れられそうな場所がないか、ちょっと庭を覗かせてもらうのにも、何も持っていなければかなり怪しまれますが、チラシを投函しながらなら見せてもらいやすいし、家の人がいればチラシをきっかけに話を聞くことができるかもしれません」(藤原氏)

 ゼンリンの住宅地図は全国のセブンイレブン、ローソン、ファミリーマートのマルチコピー機でプリントできます(A3カラー1枚400円)。行方不明になった住所を入力すれば、近隣の地図を購入できるのです。「いざというとき慌てないために、一度近くのコンビニでプリントしてみるといいかもしれません」と藤原氏。これはぜひ知っておいてほしい情報です。

 各家庭にポスティングする意味は他にもあります。

「似た猫を見たとき、猫好きな人ならチラシが貼られていたお店や電柱まで戻って連絡してくれるかもしれませんが、そういう人ばかりではありません。手元にあるほうが絶対的に連絡してくれやすいのです。私の経験から言って、チラシは非常に効果的です!」

 藤原氏はそう断言しました。

 では、どのくらいの範囲にポスティングすればいいのか。これは難しい問題です。なぜなら、外で暮らしたことがあるかなど猫の生い立ちや性格によって、移動距離はかなり変わるから。また、オスの外猫に追いかけられて迷子のメス猫が遠くまで移動せざるを得ないケースや、逆に迷子のオス猫がメスの外猫を追い求めて広範囲に移動してしまうケースもあると言います。

「都市部か農村部かによっても違いますし、半径何メートルと一概には言えませんが、情報が入らないようなら、徐々に範囲を広げたほうがいいでしょうね。それによって情報が入り始め、事態が急展開することもあります。それでもダメなら、近いところから2度目のポスティングもアリでしょう。3度目はしつこいと思われるかもしれませんが、2回は許される。忘れている人には思い出してもらえますしね」(藤原氏)

 実際、セミナー終了後に迷子チラシを範囲を広げて再度ポスティングしたところ、2日で発見できたといううれしい報告が2件。うち1件は無事に捕獲できたそうです。

 迷子チラシで悩ましいのは、「電話番号を載せて大丈夫か」「有力な情報提供に対する謝礼金は必要か」といったことですが、それについて藤原氏はこのように話しました。

「ペットの迷子チラシに関してトラブルの話はほとんど聞きません。謝礼金は良しあしですね。情報の数は増えるかもしれませんが、曖昧な情報が寄せられる可能性も高まります。なくてもチラシの効果は変わらないと思いますよ」

 そして、情報提供の連絡があった場合は、相手に話してもらうことを心掛けるといいのだとか。

「こちらが特徴を事細かく言って『こうでしたか?』と聞くと、『そうです』となりやすい。それよりも『どんな特徴でしたか?』と尋ねたほうが信ぴょう性の高いことを聞きだせます」(藤原氏)

 迷子捜しのポイントはいろいろあるようですが、大切なのは「計画的に進めること」と藤原氏。一度冷静になり、警察や愛護センターなどへの連絡、チラシ作成、住宅地図のプリント、協力者が必要な場合は手配、情報収集しながらのポスティング……と着実に進めて迷子を発見したいものです。

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