窓から家の中をのぞいていた猫 野良猫に怯えて逃げまどう姿を見て放っておけず、我が子に

渡辺 陽 渡辺 陽

窓から部屋をのぞいていた猫

蒼(あお)ちゃん(4歳・オス)は、2018年8月、千葉県に住む吉田さん宅の庭に現れた。

千葉県に住む吉田さんは、休日、何気なく視線を感じて窓を目をやった。そこには、やせ細った見知らぬ猫がいて、部屋の中をのぞいていた。吉田さんは、普段仕事で家にいないことが多いのでびっくりしたという。

「いつもは猫を見ても、責任を持てないのでごはんやおやつをあげません。でも、ガリガリにやせた猫を放っておけずおやつをあげました」

その後、数カ月間、吉田さんは蒼ちゃんにごはんやおやつをあげ続けた。蒼ちゃんは、気弱なようで、他の野良猫に怯えて逃げる姿を目にすることがあり、吉田さんは保護する決意をしたという。

「なんとなく普段の行動や怯える様子などから、元飼い猫なのか、あるいは病気なのかもしれない、私が守ってあげなきゃいけないと思いました」

11月23日、保護を決行。蒼ちゃんは吉田さんにだいぶ慣れていたので、玄関先に現れたところを抱き上げて、キャリーに入れた。

エイズキャリアの林檎猫だった

蒼ちゃんはやせていて、とても目が大きい子だった。最初、窓から家の中を熱心に眺める姿を見て、吉田さんは、「まるでもとの生活を懐かしんでいるようだな。もしかしたらこのあたりで飼われていた飼い猫かもしれない」と思った。

「病気かもしれない」とも思っていた吉田さんの勘は当たり、蒼ちゃんは林檎猫(猫エイズキャリア)だった。推定年齢1歳、獣医師の話では、病気が原因で捨てられた可能性もあるということだった。

「捕獲する時に、病気でもうちの子にすると覚悟していました。穏やかな猫生を送れるよう、幸せにしようと思いました。キャリアですが発症はしていません」

林檎猫でも先住猫と同居できるようだったが、万が一のことを考え、先住猫とは同居させず、息子の部屋で隔離して飼育することにした。先住猫と蒼ちゃんは、時々対面することがあるが、ケンカもせず友好的に振舞っている。

「同居も考えないわけではないのですが、蒼は臆病で、我が家の全ての猫と仲良くできるかどうか分かりません。蒼も息子の部屋とベランダの生活を楽しんでいるので、このままの方がいいのかもしれません」

信頼関係を築きたい

綺麗なグレーの被毛をしているので、蒼ちゃんという名前にした。とても臆病で、特にキャリーに入れられるのを嫌がる。

「キャリーに入れて捨てられたのか、異常なほどキャリーに入れられるのを嫌がります。動物病院に行く時も一苦労。必ずおもらしをするので切なくなります。怖さで失禁することがなくなるよう、たくさん幸せを感じてもらって、人間との信頼関係を築きたいと思います」

蒼ちゃんはとても賢く、「ごろんは?」と言うと、ゴロリと寝転がる。いったん心を許すと超甘えん坊になるところも可愛らしい。

蒼ちゃんを迎えて吉田さんは、野良猫に対する意識が変わったという。

「少しでも幸せにしたくて、家の周りの野良猫の保護活動をしようと思い、できることから少しずつ取り組んでいます」

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