ふくちゃん(8歳・メス)は、2013年6月27日、小学生に保護された。千葉県に住む吉田さんの息子が家に連れてきたので事情を聞くと、もともと猫を拾ったのは同級生の子だった。しかし、親に「そんな汚い猫は捨ててきなさい」と言われ、困って助けを求めたのだという。
「拾った子に、『きちんと責任を持ちなさい』と言って帰しましたが、心配だったので息子に『捨てることだけはしないように見てなさい』と言っておきました。同級生の子達はそのまま猫を置いてうちに帰ってしまったようです。帰ってこない息子を探しに行くと校庭にたたずむ息子とその肩に乗っている1匹、もう仕方ないなと家族に迎えました」
子猫は必死になって息子の肩によじ登ってつかまっていた。あまりにも小さく、ひどい猫風邪をひいていて、疥癬にもなっていたので、吉田さんは、「ボロボロで、このままでは死んでしまう」と思い、保護することにしたそうだ。
危機を乗り越えて
すぐに動物病院に連れて行って処置してもらったが、「どうなるか分からない、この子の生命力次第だ」と言われた。その夜、熱が下がらず上がるばかりで、ごはんも食べなくなった。吉田さんは、「もう駄目かもしれない」と覚悟した。しかし、翌日からごはんを食べるようになり、ふくちゃんは少しずつ回復していった。
吉田さんは、2011年に保護したしっぽちゃんの猫風邪が先住猫にうつったことを教訓に、隔離飼育を徹底した。ふくちゃんは1カ月ほどで先住猫と合流した。
人懐っこい愛され猫
先住猫のソラミちゃんが、みんなとの仲を取り持つように守ったり、そばにいたりしたので、ふくちゃんは一週間ほどで仲間になじめた。
「先住猫たちも、『また新しい子猫がきた!』という感じだったのかもしれません(笑)」
「ふくちゃん」という名前には、人間にひどい言葉をかけられたり、虹の橋を渡りそうになったりしたので、「たくさんの幸せ(福)がありますように」という願いが込められている。
ふくちゃんは、吉田家のにゃるそっく隊長。とても人懐こく、初めての人にもスリスリする犬みたいな猫なんだという。宅急便や生協の人とも仲良しで、吉田家の接待猫として、みんなに笑顔をもたらしている。
名前を呼ぶと元気よくお返事しますし、他の猫たちと追いかけっこをするのも大好き。毎日楽しい時間を過ごしている。