パチンコ店でワクチン接種→客「冗談かと思った」 大阪・天六の大型店が接種会場に、地元の病院とタッグを組んで地域貢献

山本 智行 山本 智行

 地元の病院とタッグを組んで、ホールをワクチン接種会場にする大阪のパチンコ店が話題となっている。接種できるのは従業員やその家族だけでなく、近隣住民もその対象としている。これまで各地のパチンコ店はコロナ禍において何かと批判にさらされてきたが、このパチンコ店は売り上げを度外視し、地域貢献を優先した格好だ。担当者にいきさつを聞いた。

 大阪市北区の新4円パチンコ&46枚スロット専門店!天六フリーダムがTwitterに「この度、加納総合病院様ご協力のもと、フリーダム店内をワクチン接種会場にし、大規模な職域接種会場として開放する事と致しました」と投稿。これには打ちたくても打てない“ワクチン難民”が反応した。

−−0歳の赤ちゃんがいるのですが、預ける事が出来ない場合は連れていく事は可能でしょうか?
フリーダム「お子様とご一緒に来て頂いて大丈夫です」

−−兵庫県民でも接種は可能なのでしょうか?
フリーダム「摂取券をお持ちでしたら大丈夫です!」

などと問い合わせが相次いでいる。

 会場となる大型パチンコ店「フリーダム」は、大阪メトロ「天神橋筋六丁目駅」を降りてすぐのところにある。ワクチンの接種予約は来月12日までで、店内のサービスカウンターで受け付けている。

 珍しいパチンコ店でのワクチンの集団接種は、日ごろの感謝を込め地域に還元しようとフリーダムを運営する株式会社「アバンス」(本社・大阪市)と「加納総合病院」(大阪市)とのパートナーシップにより実現する。対象者は同社グループの従業員とその家族、取引先企業はもちろんのこと、近隣住民および天六商店街振興組合員が含まれている点が注目される。

 広報担当者は「代表がこの近くにある加納病院と知り合いというのがあり、何かできないかと模索していました。一方でここ天六に店を構えて約20年、地域に支えられて来た。こんな時代なので、地域に貢献し、お客さんに還元したいと思いました。フリーダムの会員の方はもちろん、そうでない方も大丈夫です」と話す。

 今回の接種は、いわば同じ町内ともいえる天神橋筋7丁目に構える「加納総合病院」の協力があって実現。約1500人の接種を予定している。

 担当者によれば、当初は国が職域接種を声高に叫び始めたころに2000人規模の接種の方向で準備を開始し、7月中旬に開始したい意向だったが、国からの連絡はなく、その後ワクチン供給が遅れたことからここまでずれ込んだという。

 使用するワクチンはモデルナ社製で接種時期は、1回目が9月13、14日の2日間、2回目は10月13、14日と同じく2日間となっており、その間の4日間はパチンコ事業を休業して対応に当たる。

 接種方法は、ホール内のパチンコ台に沿って、間隔を開けて一列に座り、医師と看護師が移動しながら一斉に注射を打ち、接種を終えた人はその場に座ったまま待機してもらう。

 「施設ホール内は、徹底した自動換気システムを使用しています。また座席の間は1台ずつ間仕切りを施し、その都度除菌。またホール内各所にはアルコール除菌機器を設置し、万全の体制です」(担当者)

 気になる予約状況は24日時点で500人ほどとのこと。なお、ワクチンの数には限りがあり、予定数に達した場合はキャンセル待ちの受け付けに切り替える。

 今回の試みを受け、店内から出て来た30代の男性に聞くと「最初に聞いたときは冗談かと思いましたが、ありがたいこと」と話していた。アバンスは「あそびごころ」を通して生きる喜び・楽しさを分かち合い、明るく元気で笑顔あふれる世の中にしていきます、を企業ミッションにしており、今回の取り組みは、その一環のようだ。

▽詳細・最新情報はアバンスホームページ(https://www.avance-ent.co.jp/news/)で随時更新。

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