元アイドルで、現在も舞台やテレビで活躍中の俳優、加納竜さん(65)が監修、指導する劇団「ルーチアットステラ321」の公演がこの8月1日、神戸文化ホール大ホールで開かれる。加納さんはミュージカルや舞台の人材育成に尽力しており、劇団はダウン症児者等のメンバーで構成されていることでも注目されている。
劇団誕生の陰には新聞記事があった
加納さんは1975年に「エロスの海」でアイドル歌手デビュー。松竹映画「愛と誠 完結編」に主演以後もドラマ「西部警察」の刑事リュウ役を演じるなど、俳優としても幅広く、息の長い活躍をしてきた。
現在は俳優業のかたわら大阪芸術大学短期大学部メディア・芸術学科の「舞台芸術コース」の教授。その一方で、ミュージカルの指導者として育成にも力を入れており、その一環としてダウン症児者等のメンバーによる劇団「ルーチアットステラ321」の旗揚げ公演の監修・指導にもかかわってきた。
その背景として実は、ダンススクール「ミュージック・ボックス」や「大西正人エンターテイメントPro…」(本部・神戸市中央区)などを運営する大西正人さんと知り合ったことが大きい。加納さんは言う。
「神戸新聞に載った『ダウン症児者等によるミュージカル劇団を立ち上げたい』という大西さんの記事を、関西にいる私の知人が見つけのがきっかけ。その後に、私と大西さんをつないでくれました」
こうして出会った2人は意気投合。劇団「ルーチアットステラ321」の旗揚げ公演に向けて動き出したしたが、その矢先にコロナ禍で予定が狂った。「劇団員は集まったものの、練習もままならない日が続きました」
当初予定していた2020年8月の神戸文化ホールでの公演は中止に。神戸市内の会場で旗揚げ公演を開くことができたのは今年1月のことだった。「当初の規模ではありませんが、なんとか、旗揚げ公演を開催することができ、うれしかったですね」と、加納さんと大西さんが異口同音に語ってくれた。
夢の神戸文化ホールで仕切り直し
そして、夢だった神戸文化ホールでの公演を目指し、再び、加納さんと大西さんはタッグを組み、動き出したのだ。もちろん、コロナ時代とあって、指導する時にはマスクを着用したり、密にならないように距離をおいたり…と、神経も使ってきた。
ミュージカルの監修、指導は加納さんが、ダンスの振付は大西さんが担当。また、演技や歌唱などの指導には葉木綾香さんや酒匂由紀子さんなど多くのプロたちがかかわってきた。
加納さんの丁寧な指導は好評で、何事にも手を抜かない姿勢は舞台稽古の現場でも垣間見られた。「東京から毎月のように加納竜さんには指導に来ていただいています。おかげで出演者をはじめ舞台に携わる人たち全員が情熱をもって頑張ってくれました」と大西さんは話す。
加納竜さんは、なんと悪役でも出演!
神戸文化ホール大ホールでの待望公演「MUSIC BOX2021」は3部で構成され、第1部は「ミュージック・ボックス合同ダンスライブ&ルーチアットステラ321第2回公演」。この中で、ミュージック・ボックスメンバー14名で構成されている劇団「ルーチアットステラ321」の監修、指導を加納さんが担当する。
「2回目となる彼らの公演です。頑張ってここまできましたので、ぜひ、観ていただきたい。また、次回公演のためのアイデアもいただきたいと、今回、アンケートのお願いもします」
第2部は「Pro… ファミリーミュージカル第3回公演『あいと地球と競売人』」。こちらの監修、指導も加納さんで「地球環境と勇気の輪を広げよう!!をテーマとしたミュージカルだ。
「公募で出演されるメンバーも頑張ってついてきてくれました。私は前回に引き続き、今回も悪役で出演します。悪の加納竜を楽しんでいただければ、うれしいですね」
第3部は「Pro…スタジオダンス発表会&エンターテイメントショー」。大西さんは「第1部は、みんな全力投球です。大舞台でのお芝居に初挑戦で、自分との戦いでもありますが、経験すれば、大いに成長してくれるだろうと思っています。第2部はPro…スタジオが総力をあげて作り上げるミュージカルです。第3部はまさにこれぞ、エンターテインメントというショータイムです。3部とも期待していただければ、うれしいです」と意気込んでいる。
開催の8月1日まであと数日…。素晴らしい舞台になることを楽しみにしたい。